当番ノート 第48期
新しいラーグを習うときの歓びは、何にも代えがたいものがある。 一つのラーグについて、その動き方をだいたい習得し、ゆっくりなテンポと速いテンポの曲を一つずつやって、曲のなかでラーグを発展させる試みを何度かレッスンを重ねてブラッシュアップする。 「これまでやってきたラーグはだいぶ良くなったね、じゃあ、新しいラーグをはじめようか。」 先生からのこの言葉を聞くとき、私の気持ちがどれほど高ぶるか。 先生は少…
当番ノート 第48期
前回の「ブラフマ・ムフールタ」のコラムの最後に、定形晟さんの『インド宇宙誌』からの引用を載せた。1日は30ムフールタに区切られ、3ムフールタでひとつのまとまりを成し、結果的に昼と夜がそれぞれ5つの部分に分けられるということであった。 このムフールタとの関係性はちょっと調べられきれなかったのだけれど、3時間ずつ、1日(24時間)を8つの「プラハル(サンスクリット語ではプラハラ)」に区切るという考え方…
当番ノート 第48期
いよいよ12月20日に公開を控えたシリーズ最終作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』楽しみですね~。あれ?なに?『スター・ウォーズ』観たことないって?あらま~そんなわけで今回は『スター・ウォーズ』シリーズをわずか5分で解説……ではなくてなんで『スター・ウォーズ』ってこんな話題になんのよ?っていう話です。 ●『スター・ウォーズ』ってなんだ? スター・ウォーズって~のは~スカイウォーカー家の…
当番ノート 第48期
インドの朝は、特別だ。 私がはじめてインドを訪れたのは2008年の冬、大学3年生のときのことだった。デリー、アーグラー、バナーラスをまわる一週間のツアー。 多くの旅行者と同じように、「インド臭い」「神聖な」ヒンドゥーの聖地、学問の都でもあるバナーラスに魅了され、いや、きっと他の旅行者たちよりも少しばかり魅了されすぎて、バナーラスについて卒論を書いてしまったほどだ(1)。 バナーラスには二泊したんだ…
当番ノート 第48期
突然ですが皆さん、なんか好きなもんありますか?答えはイエスかノーかだとしたら俺はこう答えます。 「イエス」と。 自信満々で答える、しかもかなり食い気味に。 だって好きなんだもん。 「洋楽ロックと映画」が。 みんなは洋楽ロックと映画好きかい?俺は大好きだ。 私ロックス、第1回目『ロッキー』について暑苦しく語る回でございました。2回目はこちら偏愛について多いに語ろうと思います。 むしろ第1回目でそれ語…
当番ノート 第48期
gurur brahmā gurur viṣṇur gurur devo maheśvaraḥ | gurur eva paraṃ brahma tasmai śrīgurave namaḥ || 師はブラフマー神であり、師はヴィシュヌ神であり、師はシヴァ神である。 師はまさに最高のブラフマン(宇宙の原理)である。かのような師に私は帰命する。 このたび、当番ノートを執筆するお話をいただき、はじめて…
当番ノート 第48期
こんにちは。ロックスです。いや誰だよお前って、ロックスって言います。 今日からアパートメントの新たな住人になりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 得意ジャンルは映画。映画ライターなんて仕事もしてまして映画についてとことん語る連載にしていこうかな、と思っています。 ってことで記念すべき最初に取り扱う作品はこれです。 『ロッキー』 映画ライターなんて仕事してて1番好きな映画が『ロッキー』…
当番ノート 第47期
大きく息を吸った。澄み切った空気。 大きく息を吐いた。白く曇った水蒸気。 僕は、このアパートメントを出る。 ガラガラとスーツケースを引くかのように、僕はここで書いた文章を引っ張って また新たな旅に繰り出して行く。 世界は沼だったとして、生きづらさは人間が抱えた砂袋のようなものだ。 袋の中に入った砂が重くて、抱えた人間は沈んでいく。 浮かべば簡単に呼吸が出来るのに、抱えた砂袋のせいで浮かび上がれない…
当番ノート 第47期
アパートメントにきてまだ2ヵ月なのに。 1人だけれど、そっと誰かがいてくれるようなこの場所が大好きになった。心地よくて、何でもできて、ここは少し天国に近いのかもしれないとまで思う。寒くなってきたので電気ヒーターで足元を温めている。赤いケトルでお湯を沸かす。いつも飲みすぎるコーヒーはお休みにして、私は砂糖多めのココアを飲もうと思う。 昨日の晩のこと。お風呂から上がって体を拭きながら、ふと、鏡に映った…
当番ノート 第47期
洋子は自分の薄情さに失望した。父方の祖母が死んで、悲んでいない自分に気づいてしまったからである。 「祖母が死んだ」という母からの留守電を聞いたのは、友人である美央との楽しい飲みがひと段落した頃だった。それより前の時間にもう1件、知らない番号からの留守電が入っていたのを、洋子は飲みに行く前に気づいていた。けれども、どうせカード会社からの勧誘とかでしょうと思って、すぐに聞かなかった。 「もしもし、…
当番ノート 第47期
(以下、文字起こしでさえない概要のようなもの) こんばんは、藤宮ニアこと中西須瑞化です。 月曜日の夜、みなさん1日お疲れ様でした。今はお家でゆっくりされている時でしょうか。それとも、仕事終わりの帰り道だったりするのでしょうか。 今日でわたしのアパートメントの連載も終了です。 もし、ここまで見てくれている方がいたら、本当にありがとうございます。 正直言うと、最後は何をしようかなと考えている間にあっと…
当番ノート 第47期
ぼうっと、生きることがどれだけ大切か。 すれ違う街の人々、過ぎ行く喧騒、いつもどこかで急かされているような気がする。 渋谷のハチ公、新宿のバスターミナル、上野の中央改札、待ち合わせの日々。 行き交う誰かを見て、ふと想う。 どうしてこうも、大人は忙しなく動いているのだろう、と。 僕は、煩いのも忙しいのも苦手だ。 制限時間があるテストは嫌いだし、遅刻しそうな時間も嫌い。 東京は、誰かが何かを急かしてい…