当番ノート 第36期
1995年の1月にフリーランスになりました。 それからも仕事は順調でした。 前回のコラムで書いたような長い旅回りの仕事の割合はだんだんと増えてきました。 家庭の事情などで長く家に帰れない仕事を嫌う同業者も多かったからです。 一方ぼくは、そうした地方を転々とするような暮らしが性にあっていたのでした。 また長い期間拘束されるので細々と仕事を取る必要がなくて楽だったというのもあります。 また年齢の近い演…
当番ノート 第36期
以前、ライターとして高校生向け情報誌の仕事をしていた時に、物理の定理や法則の名前を知る機会があった。 高校で物理なんて無縁の科目であったし、物理用語が意味するところは、まったく理解不能だったのだけれど、 なぜか時々、仕事の段取りや人との関わり方のことなどをぼんやりと考えているときに、 法則の名前なんかが不意に頭に浮かんだりすることがある。 そうして勝手な解釈で、その定義をつらつらと紡ぎ始める超文系…
当番ノート 第36期
来年の目標はなに?と友人に唐突に訊かれて、ほとんど頭を抱えたい気持ちになった。これを書いている今はまだ、2017年だ。 一年の抱負を決めてそれを実現することが、恐らく私はめっぽう苦手だ。 2017年の抱負は、英語を上達させることだった。どの程度なら上達したということになるのか曖昧だったせいもあり、これを達成できたかどうか、正直なんとも言えない。 留学して半年が経つけれど、授業は毎日難しくて毎日唸っ…
当番ノート 第36期
You can drop your names, identity, your job… etc., for now and just be. – 自分の名前も、社会的立場も、仕事や役職も手放して、今はただまっさらな自分として。 新しい一年、数字がめくれたからといって急に何かが大きく変化するか。 きっと、そういうことでも無いんでしょうけど まっさらなところから 自然に生まれてくる変化のひとつひとつ…
当番ノート 第36期
常に自分に課題を課す漢、それは私。 かれこれ3年間にわたり、毎日、1日1問の質問をし、答える。そんな課題を自分に課すと言う遊びをしている。 事の発端は「質問」と言う1冊の本との出会いだった。2014年の晩秋だった。 この本、開くと1ページに1つの質問だけが書いてあって、全部で365ページある。つまり365の質問が書いてある。答えはない、質問だけの本。とても潔い本である。 ちょうど年末に差し掛かって…
当番ノート 第36期
1995年の1月、立ち上げから3年間勤めた会社を辞めてフリーランスとしての第一歩を踏み出しました。 自分が舞台業界で暮らし続けていいのかを確かめたいというのが、フリーランスになった動機の根底にありました。 なので周囲の方や取引先の方に、フリーランスになったことを積極的には伝えていませんでした。 それで仕事がこなくなったら商売替えしてもいいやと覚悟を決めていました。 そしてどうなったかというと、会社…
当番ノート 第36期
photo by rika minoda 2014/5 in dogairisawa mashiko-cho tochigi pref. パーチクリン!! 何度、そう怒鳴られたことだろう。 中学2年のころ、週に数回、放課後を 学校の図書室の横にあった小さな小部屋で、小一時間を過ごしていた時期がある。 静かに読書をしていたわけでも自習をしていたわけでもなく、その小部…
当番ノート 第36期
カナダへ来てからしばらく経って気付いて、愕然としたことがある。ここにはミニシアターが無い。 東京にいた頃、ミニシアターで映画を観るのは月に一回程度の習慣だった。人と一緒に行くこともたまにはあったけれど、一人になって映画を観に行き、余韻をぼうっと持ち帰るのは今思えば自分にとって大事な時間だった。 本当に好きな映画は何度でも観るのでDVDを買う。レンタルして観ることもよくあるし、大きい映画館にも時々は…
当番ノート 第36期
昼下がりのジャーマンベーカリー。メガネをかけた坊主頭が、くわえ煙草で目の前の席に座った。 読書中の私。他にも席はたくさん空いてるっていうのに。 タバコをふかしながら話し始めようとする彼に、一緒に座るならその臭いのを消すように言うと「これは自分で買ったんじゃなくて人からもらったんだ」とぶつぶつ言いながらもみ消した。 「日本人?ここに住んでるの?」と質問をされ、しばらく滞在して近くのスタジオで絵を描い…
当番ノート 第36期
蕎麦っ食いな私。 そんな私が住まいしているのは、長野県上田市。 そう、言わずと知れた蕎麦処・信州。 しかし、そんな蕎麦処・信州に居を移してから、蕎麦を食べる機会が激減した。皮肉な悲劇である。 では、何故そのような悲劇が起きたのか? それは長野県が車社会だからである。車社会とは主たる移動手段が自家用車の社会の事である。 どこに行くにも車で、バスや電車などの公共交通はほぼ利用しない。我が上田市も公共交…
当番ノート 第36期
大学5年生の秋に、サークルの先輩たちと会社を立ち上げました。 メンバーは全員が20代で、先輩方はそれぞれフリーランスの照明家として活躍していました。 それまでもお互いしょっちゅう一緒に仕事をしていて、気心の知れたメンバーでした。 経営とかビジネスとかなにも分かっていませんでしたが、会社を作るにあたって少なくともぼくにはそんなに不安はありませんでした。 それぞれがフリーランスでやっていけてるメンバー…
当番ノート 第36期
photo by rika minoda 2017/4 in tokushima pref.kamiyama-cho 好きとか嫌いとか、相性が合うとか合わないとかそういうことの、その前に、 とにかくキミとは向き合いたくないのよね。 中学1年の後半くらいから、次第に私の方…