毎回すいません。今月もすごくどうでもいい事を書いています。とにかくユーモアのセンスが無いんだ。常軌を逸したつまらない人間。一年中誰にも気の利いた事言ってない。あいづちしか打ってないよ。「ホー」や「ホンホン」や「アッ」「そうスネ」「スイマセ」しか言ってない。どうか許して欲しい。でも歩いたり、ご飯を食べたり、寝たり、タバコを吸ったりで自分自身はそれなりに楽しく生活できています。クソぅ!ではよろしくお願いします!
最高なレクリエーション、西瓜は甘くないが品質は最高級。
ある日、公民館のような、病院のような施設で行われるレクリエーションに参加した。とにかく公民館や、建て替えをしてない病院は照明の具合が最高に良い具合だよ。とっても薄暗くて。
時刻は午前中、11時ごろだと思う。男女の高齢者たちが何人かいた。10人から15人くらいか。私はその中で1人だけ若く、30代だった。お婆さんになりかけのおばさんみたいな年齢のおばさんもいた。なかなか大きめのエレベーターで催しの会場に行く。するとエレベーターにぞろぞろと乗り込む際に、やたらお洒落なおじいやんが、
「いいものを着ないといけない」
というような、そんな事を言った。
サングラスをかけていた。白髪の短髪で、たしかに洒落たジャケットを着ていた。腰のラインがしっかりあるような上質な灰色っぽい柄物のジャケットで、ズボンは上質そうだがラフな形だった。私は確かに良いものを着ないといけないと思ったが、そのおじいやんのファッションが全体的に洒落てるのか、それともダサいのか分からなかった。でもいいもの着てるんだ。確かにいいもの着ないといけないなと納得した。私はパジャマではないがパジャマにすごく似ている服を着ていた。
そのおじいやんはまた一言、二言お洒落は大事で、どうこうという事を言っていたが、だれも返事をしてないようだった。もしかしたら誰かが
「おォ」
とか何か言ったかもしれない。でもやっぱり誰も返事してないように感じた。私は心の中でなるほどお洒落は大事だとすごく納得したが、やっぱり無言で、おじいさんに返事はしてなかった。私はエレベーターの奥の方でそのおじいさんの隣にいたのだけど、サングラスをしてたから誰に話してるのかが分からなかったんだ。
思い返せば多分、私に話しかけていたんだと思う。
そうこうしているうちにエレベーターに無事全員乗れた。ちょうど満員。エレベーターのドアが閉まる前に、公民館の職員が笑顔で私達を見送っていた。何故か職員は何人もいたなあ。
エレベーターのドアは閉まり、上の階に上がったと思ったのだけど、なぜかエレベーターはいまだ発進していなかった。ドアが閉まりきっていない。
1番前にいる、上品なお婆さんになりかけのおばさんの指が、エレベーターのドアに挟まっていたんだ。
何故エレベーターのドアは指が挟まってるのに、すぐ開かないのかと思った。現代のエレベーターは指が挟まってたら開くのだろうと勝手に思ってたが違ったようだ。そしてドアが開くので無ければなんで上品なおばさんの指は未だに潰れたり、ちぎれていないのだろうかと思った。エレベーターのドアはちょうどいい力でおばさんの指を挟んでくれてるんだろうか。
おばさんは指が挟まっちゃったというような事を、はにかんだ様子で、
「指が挟まっちゃったぁ」
と言った。
案外大丈夫なのか?それともなんかはにかみながら言ってる感じだけど実はもう指は潰れ始めてるのか?と思いつつエレベーターは満杯で私は1番奥にいたので、すぐに動けずにおり、まわりの老人や老人になりかけの人達も、「オゥ、オォ」と言ってるだけで動いて無かった。
するとドアの向こうで見送ってくれていた公民館の職員のおばさんがなんかうまいことやってドアを開けてくれた。職員のおばさんも、指を挟まれちゃったおばさんも、なんか笑ってた。
そしてエレベーターは無事発進して2階で降りた。2階しかない建物なんだ。1つ上がるだけで大変な思いをしたなあ。心配で私の心臓の筋肉に凄い負担がかかったよ。
すぐにレクリエーションをする部屋があり、何となく私たちはその部屋にゾロゾロ入った。
部屋には折り畳みパイプ椅子が人数分ほど座れるように用意されていた。ごく自然に、過度にだるそうに、私たちは折り畳みパイプ椅子にぞろぞろ詰めて座った。
最上位のコックのような風貌のヨーロッパ人の先生が目の前に現れた。
先生はとにかく、創造性、個性、ギャグが大事、内なるそれらを爆発させて、クリエイティブな料理を作って欲しいと言った。折り畳み椅子に座った私たちは、極度に創造性も無く、無個性で、ギャグも全く持ち合わせていないように見えた。私たちは黙って聞いていた。みんなぼんやりしている様子だったが、同時に居心地が悪そうに見えた。私は料理を作るのはおっくうでまっぴら御免だったし、きっとみんなもそうだったと思う。お洒落なおじいやんは創造性や個性の観点で少し見込みあるように見えたがどうだろうか。黙っていた。サングラスをかけているから表情は見えない。多分私たち同様何も無いだろう。つまり彼もただ良い服着てるだけだ。
今のいままで自分が何のレクリエーションに参加しに来たのか分かって無かったが、まさか料理を作るレクリエーションだったなんて。
ヨーロピアンの先生は手を叩き、
「さあ皿によそって!」
と号令をかけた。
おぉ?料理を作るのは面倒だと思っていたが、もう料理は作ってあって皿に盛るだけなのか!そういえば見渡す限りの完成された料理が部屋を囲むように並べられている。なんという素晴らしいレクリエーション…!ただよそって食べるだけだね!創造性、個性、ギャグを一体この状況でどう発揮すればいいか分からないが適当によそって食べるだけだ!うまそうだ!食べてとは言われてないが即食べるだけだ!
ハム、肉、ローストビーフ、肉、肉のなんやらが多いなあ。部屋中に手を加えられた肉料理。
何十種類もの料理がそれぞれ皿に盛られている。
1つ最初に気になった料理が、西瓜、トマト、程よくカットされた牛肉をとりあえず混ぜたような料理だった。珍しい料理だがとりあえず肉が入ってる!肉はうまいだろうから、それはもうとにかくうまそうだ!
うーん、西瓜の味。
先生が、それは新しく作った料理です。私も食べてみます。と言って少し味見した。
「うーむ、普段使っている西瓜が日本で買えなかったから、日本の最高級の西瓜を買ったんだよ。とっても甘い西瓜だと思ったのに、あんまり西瓜甘く無かったね。」
と言った。
私はあらためて西瓜を味わい、
「いやいや、やっぱりかなり上質な西瓜を購入されている。これは甘みは無いが、だからと言ってまずい事も無く、ほんのり僅かな甘味がある。やはり品質は最高級だ。甘い、苦いでは無く、こう言ったどっちつかずの曖昧なものを商品として作る事が本当に難しいんだ。かなり良い西瓜を購入されたようですな」
先生は
「アー。」
と言ったよ。
そして僕は西瓜を避けて、肉を食いまくった。ひと段落したら他の肉料理もたらふく食べたいと思っている。