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かさねのせかい はざまのものたち

かさねのせかい はざまのものたち

はざまのものたちが撒いた タネは
ヒトから芽吹いても 育つことができないこともある

タネが芽吹くと ヒトは毎日ユメをみる
憶えていないのは タネがヒトの虚(うろ)に落ち
溶けてしまったから

はざまのものたちは それでも 好んでヒトにタネをまく

古林 希望

古林 希望

絵描き

私が作品を制作するあたって 
もっとも意識しているのは「重なり」の作業です。

鉛筆で点を打ったモノクロの世界、意識と無意識の間で滲み 撥ね 広がっていく色彩の世界、破いて捲った和紙の穴が膨らみ交差する世界、上辺を金色の連なりが交差し 漂う それぞれテクスチャの違う世界が表からも裏からも幾重にも重なり、層となり、ひとつの作品を形作っています。

私たちはみんな同じひとつの人間という「もの」であるにすぎず、表面から見えるものはさほどの違いはありません。
「個」の存在に導くのは 私たちひとりひとりが経験してきた数え切れない「こと」を「あいだ」がつなぎ 内包し 重なりあうことで「個」の存在が導かれるのだと思います。

私の作品は一本の木のようなものです。
ただし木の幹の太さや 生い茂る緑 そこに集う鳥たちを見てほしいのではありません。その木の年輪を、木の内側の重なりを感じて欲しいのです。

Reviewed by
マスブチ ミナコ

子どもの頃にタネを撒いて芽が出るかワクワク毎日土の表面を見つめた
生まれたての芽には、立ち上がる為の土はどれほど重いんだろう
そんな姿に感動したことと、もう少しあとに「芽引き」をしないといけないことが悲しかったことを覚えている
はざまのものたちは そんな風に無邪気にタネをまく人の子どもに似ているかもしれない

彼らは人によって撒くタネの数を変えたりするのだろうか
色々な種類のタネを持っていたりするのだろうか
違う植物がたくさん重なったように見える絵を見ると、きっとたくさん種類がある気がする

怖い夢、リアルな夢を見ると寝起きの気分が悪かったりもするけれど
気になって意味を調べると、「夢占い」だと怖い夢がいい意味だったりもする
それは、はざまのものたちのチカラだったのかもしれない

大人のように振舞わなければいけなかった子どもの頃、虚に吸い込まれていったであろう夢たちが
なぜか最近ハッキリと夢が記憶に残ったまま目が覚めるので、少しだけ書き留める
それを貯めておいて、今度は彼らに夢の束を渡してみたい

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