先日、琵琶湖が見渡せる道路沿いをひとりで歩くことがあった。ここしばらくは、せっかく仕事が休みでも疲労困憊で家でひたすら寝たり、なにもせずぼんやりするばかり。無印で新しい枕を買う目的で、久々に人の多いところに外出した。
晴れているのに、山沿いではよくしまける。晴れているかと思ったら、数秒後には雨がちらつくような日なのに、不思議と寒さは感じなかった。春の気配。濡れないようストールを頭に巻いて、とぼとぼ歩く。歩くと、自然と頭がいろんなことを考える、思い出す。
仕事のこと、パートナーのこと、家族のこと、過去のこと、これからのこと。頭の中で淡々といろんなことが波のように行っては返しを繰り返す。だけど、そんな諸々の考えは、雄大な琵琶湖をみると散りじりばらばらになってしまう。まあ、いっかって。思考停止なのかもしれないけれど、ほんのいっとき、何も頭にない空白の時間がないと息がつまる。目の前にある景色を、そのあるがままを目に焼き付ける。観察して、味わう。
かも、かいつぶり、潜水の上手な名前も知らない水鳥。この鳥を、「素潜りジョニー」と名付けよう。あのかものつがいは、水面ずっと逆立ちしてるな。山の向こうに見える筋のようなものはなんだろう。あ、琵琶湖大橋が見える。きれい。どっかで子どもが泣いてる。そういえば、風が止んでるな。なんか、あのおじいさん、鼻歌歌ってて楽しそう。あの子らまだ逆立ちしてるや、なんか水の中にいるのかな。そういえば今日の夕飯、どうしよう。
そして、一息。
気づけば、また日常の思考に戻っている。だけど、ぼんやりする前とはまったく質の違う思考になっている。足取りも軽い。だからね、やっぱりひとりぼっちの時間は必要です。