鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
ひとつの場所に集まることが白い目で見られるようになってしばらく経つ。新型コロナウイルスの流行で、会うことはそのままあぶないことになった。 おたがいが無自覚に他人を感染させる可能性を持ち、誰の唾液も毒とおなじように扱われる。だからみんなマスクをし、レジのカウンターには透明なビニールの壁が張られ、そして、飲食店やライブハウスや美術館は扉を閉めた。 昨年十一月まで週に一回「しょぼい喫茶店」を開けていたわ…
長期滞在者
毎月1回、FOOL’S MATE channelで(ニコニコ生放送、FRESH)で放送している、動画生放送番組『Butterfly Vision』。vistlipのギタリスト、Yuhさんがメインの番組で、sadsのドラマー、GOさんにもご協力をいただき、私はMCとしてこの番組に出演している。 4月の生放送はどのような形で行うのが良いかということを、番組に関わる全員で検討した。そして、ソ…
長期滞在者
“lettre” 女性名詞.「レットル」と読む. フランス語で “lettre” は、文字、手紙や書簡、文学および文学的な教養、などを指す. “écrire en lettres d’or”という言い回しがあり、「金の文字で書く」、つまり重要なこととして「記憶にとどめておく」という意味になる. 文字に起こすと、霧散…
長期滞在者
様々なことがリセットされる中、自分でルーティンを作り、生活リズムを固定化する必要がある一方、下手したらジャンキーに成り兼ねない状況が続いている。 私が勤めているベンチャー企業でも、コロナとの付き合い方やコロナ収束後に向けた動きについて、ビデオ会議を繋ぎ、国を跨いだメンバー達と意見交換する。マレーシア、シンガポールもトップダウンで強制力を伴った対応が取られている。日本では今後収束まで1年もしくは2年…
長期滞在者
仕事の帰路、自転車で武庫川沿いの自転車道を走っていて、暗中、河川敷をジョギングする人を追い抜いた。風の強い夜だった。びょおびょおと風の音の巻く中、追い抜いたはずのランナーの足音がざん、ざん、ざんと横から離れない。僕は20km/hくらいの速度で走行しているから、すごいなぁ、この向かい風でマラソンの国際レースくらいのペースで走ってるんだなぁ、と感心したが、いつまで経っても音が消えないので、さすがにちょ…
長期滞在者
通勤電車は少し人が減りました。 ギュウギュウ詰めではないけれど、都心に近づくとそこそこ混んでいます。つり革を掴む人がほとんどいないのと、車内で話し込む人がほとんどいない。ひたすらスマホの小さな画面と向き合いながら、いつも以上に他人との関わりを持たないようにすることで、目に見えない火の粉が自分に降りかかることを避けているように見える。 マスクとアルコール除菌剤は、相変わらず品薄だ。毎日ドラッグストア…
鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
「ポエムイズマネー」の日には、白紙をたくさん持っていく。それからカラーペン、マスキングテープ、そして、前の晩につくったたっぷりのマドレーヌ。看板にはこう書く。 「詩を書くとあなたの詩でマドレーヌを買えるよ!」 ここは、「マドレーヌがもらえる」でも、「マドレーヌと交換できる」でもなく、かたくなに「買える」だ。だって、今日はポエムイズマネーだから。今晩だけは、詩を書くことがお金のかわりになる夜なんだか…
Mais ou Menos
まちゃんへ 今日は病院の日やね。まちゃんがコロナにかからへんかいつも心配しています。 その分自分も持って帰らんようにしんとと、気をつけてる。 少し前にまちゃんの目眩がひどくなって少し寝たきりみたいな状態になったときは、本当に心配した。 今少し落ち着いているみたいやから安心してるけど、春やからホルモンバランスが乱れやすいんやろうか? 自分のほうは、薬効いてて、前より随分動けるようになってると思う。ク…
スケッチブック
色々なことが取りやめや延期になってようやく、日常を広げて考えられる感覚がある。地球の裏の友達と、数年ぶりのやりとりが再開している。「そっちは大丈夫?」「そっちの様子はどう?」なんて、いままでにない共通言語で会話をしている。 怖いんだよね。と布団の向こうで声がした。これから、たくさんの人が亡くなって、大事な人が死ぬかもしれないのが怖いんだよね。 SNSを1ヶ月閉じていても平気だったのが、いつのまにか…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
人生における運命の出会いというのは、何回か訪れるのかもしれない。それは恋愛に限らず、その出会いがどんな風に実を結ぶかも重要じゃない。出会った地点を振り返ったときにそこから新たに迷子になったような気がする出来事を、私は運命と呼びたい。 彼の企画する音楽イベントに初めて居合わせた日のことが忘れられない。その日は、その後数年にわたって続くこととなるイベントの初回だった。「上海の夜」。それがサックス奏者で…
長期滞在者
日常に少しずつ忍び寄る感染症の恐怖。 何気ない日用品が買えなかったり、たくさんのニュースが流れてきて、とても強い風を毎日全身で受け止めているような気がする。 実家に帰ることもだんだんためらわれてきたし、海外にいる友人たちの様子も気になるけれど、まずはじっと家で耐えて過ごそう。 台風がきちんと過ぎ去るように、この事態もきっと収束していくはずだから。 それにしても・・・今月は寒暖差が激しすぎて、体がく…
お直しカフェ
28歳のクリスマスに上司と社長に呼び出されて、年明け1月いっぱいで会社をやめてほしいと言われた。1ヶ月と少しの猶予があったので労働基準法的な問題はなかったと思う。「使い捨てられたと感じます」と発するのが、その時できた精一杯だった。娘の単身東京暮らしをずっと心配していた家族にはまさか言えず、帰省して心ここにあらずなお正月を過ごし、初詣で神様にだけご報告して何とか頑張りますとお伝えした。 *** 先月…