長期滞在者
心の中がクリアでなければ先のことなど見えないと思っていた。 2019年11月23日、24日、私は東京国際フォーラムB7・B5で開催された日本最大級のデザインカンファレンス「DesignShip2019」で司会をしていた。デザイナーたちの様々な物語が語られた2日間のトリのKeynoteスピーカーとして登場した、レイ・イナモト氏。ニューヨークを拠点に世界を舞台に活躍しているクリ…
長期滞在者
自宅は単に仕事を終えて寝るための場所と割り切って、ひたすら仕事場の近くに居を構えていましたが、ついこの間電車で30分ほど離れた郊外の街へ引っ越しました。近郊農業の盛んなところで、目の前には広大な畑が広がる、のどかな風景の中で生活を始めたところです。 それまでは、駅の改札を出た瞬間、ありとあらゆる肉が焼ける匂いに包まれ、ほろ酔い千鳥足の人波をかきわけながら、たどり着く我が家は2分ごとに高速で通過する…
Mais ou Menos
ぴちゃん 明けましたね!2020年がスタートとなり、もうすでに半月がすぎようとしているのを思うと、すこしゾッとするね。 去年は私にとって、自分の病気や、これまでの生き方、考え方の癖と向き合う必要がある年でした。自分の心と体の状態をきちんと観察して、「無理しない」ことを学んだ一年になりました。今、これまでの人生で一番気持ちが楽なの。 自分の性格の良いところも悪いところも受け入れているし、過去のつらい…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
まだ出会って1年ほどしか経っていない彼女とは、いつもちぐはぐな場所で会う。いるべき場所としなきゃいけないことの隙間にある、ぽっかりとした時間を共有することが多いからだろうか。もちろん、私にとってはということなのだけれど。 そもそも、彼女はひと所に止まれない生活をしている。公演のために世界を飛び回るダンサーだからだ。出会って以来、そのダンスを観てみたいと思っていたけれど、残念なことに日本では彼女の所…
長期滞在者
今月の家日記は途中で書けなくなってしまった。 理由は、親しい友人が交通事故で亡くなってしまったから。 その友人がやっていたバンドのライブに、ここ2年、数えきれないくらい足を運んだ。 U2のライブも一緒に行ったし、これから先、もっと色々なことが一緒にできると思っていた。 その未来は永遠に来なくなった。 クリスマスや、大切な人たちの誕生日があった。けれどそれも夢の中の出来事のように通り過ぎていった。 …
Do farmers in the dark
表題:草を持つ人、食べる人、異次元に隠されたエビ天、オマールエビ こんばんは!今回もあいも変わらず、自分の展示のお知らせをしたいだけのいつもの日記みたいな文章になっています。すみません。 またも休日の事 何の努力もせず毎日、毎秒できるだけ気分良く過ごしたかった。どうしたらいいか。楽しいと感じる事柄のレベルをどんどん下げ続けるんだ。そして苦難には立ち向かわず、やむなき小さ…
お直しカフェ
こんばんは。はじめましての人が大半だろうに、でも身近な人や、遠く離れた友人にも読んでほしいなと思って、それでどちらかというと近況報告のような心持ちではじめた連載も早3年目。遂にやってきた2020。新年なのと、アパートメントのリニューアル間近なのとで、少しだけ改めての自己紹介をします。 お直しをする人の溜り場をつくる試み はじめてアパートメントで書かせてもらったのは、2017年10月から11月の当番…
長期滞在者
とても大事な人が、命に関わる長い長い手術をした。 幸いなことに手術は無事に終わって、病院で付き添っていた私は夜遅くに帰宅し、 疲れ果てた身体をベッドに投げ出すように眠った。 翌朝、私にとって世界で1番優しい人が、飛び降りて死んだという知らせがきた。 11月末から今日に至るまで、あのときのことをまざまざと思い出す1ヶ月だった。 思えばあの日から、私の「死」と向き合う日々が始まったのだと。 2019年…
長期滞在者
今年もあと1週間で終わるが、先日これまでアパートメントで書いてきたこれまでの記事を振り返る機会があった。 TOKYO ZINESTER GATHERING(通称ジンギャザ)というZINEのフリマイベントに遊びに行く当日の朝。 何も持たずに行くと、アウェーな感じになってしまうんかなと、自分も何か持参しようと前々から企んでいた。 持参するZINEには、アパートメントで執筆してきた記事からいくつかピック…
長期滞在者
尼崎から大阪梅田まで十キロ、その梅田に向かう道、もしくは梅田からの帰路。 自転車で行く阪急電車沿いのとある駅間。 高架になった線路の下をくぐる架道橋(トンネル状の通路)ごしに見える小さな古いコンクリの建物があり、自転車で通過する間だから見えるのはほんの数秒のことなのだが、毎回その古い建物を見るたびに、強烈な既視感に襲われる。 毎回毎回その建物の一階部分(架道橋越しなので一階部分しか見えない)を見る…
長期滞在者
ぼくの家には、子供の頃の家族アルバムというものがありません。今のようにカメラが一家に一台、という時代でもなく、小学校くらいの頃は、だいたい近所にカメラ好きのオジさんがいるとか、勤め先が富士フイルムだとかで、時々遊んでいるところを写真に撮ってもらったりしました。少し経ってお裾分けのように2、3枚自分が写っているのをもらったりするのです。そういう写真をぼくの両親はタンスの引き出しに、プリントをそのまま…