画家と7人の肖像
彼はきっと、あっという間に「知らない人」になる。 Photo by Kazuki Hiro このコラムを打っている最中、私は31歳になった。 ロンドンの15時に日本は24時を回り、私より先に私の誕生日を迎えた人たちから次々とお祝いの言葉が届いた。23時59分、送信ボタンに手を触れぬよう秒針を見つめる、あの1分間を知っている。誕生日の祝いは、私という存在が彼らの日常に忘れられていない証拠のようで愛お…
風景のある図鑑
銀 : argentum 銀は、原子番号47の金属元素。元素記号は Agです。 銀は可視光線の反射率が全ての元素の中で最大、つまり、最も明るい元素なのです。 この白く輝く特質から、銀は古来より純潔、女性の象徴とされてきました。 しかし、純潔は失われるものです。 銀は硫黄に晒されるとすぐに硫化し、黒ずんでしまいます。 この点で、普遍的な輝きを持つ金に劣るとも考えられてきました。 研磨された銀の表面は…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
私が初めてひとり暮らしをしたアパートは東京のはずれにあって、そこには私を含め同じ女子大に通う5人の女の子とひとりの外国人男性が住んでいた。 彼はそこに暮らす大学の先輩と同棲していたのだけど、まったく「どういう関係なのか分からない」。恋人というわけでもないらしい。まだ18歳になったばかりだった私は曖昧な関係のふたりを前に動揺したのを覚えている。 初めて顔を合わせたのは引っ越しが済んで一週間くらい経っ…
the power sink
表題:昼に公園に行く。どこかの違う次元に取り残されたような気持ちになる。でも公園でなくてもそんな気持ちになる事もあるよね。 今回も絵を載せます。最近、ここ1年くらいは2回に1回以上はうまく描けないと言ってしまっていたのですが、さらに今回はより悪く何か絵を描こうとして下書きしたけど下書きもうまく描けない様子を載せています。以前にも増して最近何事も打ち込めず、集中もできず1つの事に時間も…
日本のヤバい女の子
【11月のヤバい女の子/年齢とヤバい女の子】 ●辰子姫 ――――― 《辰子姫伝説》 秋田県の山あいの村に一人の女の子が暮していた。 素朴でやさしい、辰子という名前の子だ。幼かった辰子は数年のうちに、はっとするような美しい少女に育った。 周囲から「年頃」と言われ、周りの同年代の少女たちと同じく大人のように扱われ始めても、しばらくの間、辰子は自分の顔かたちに無頓着だった。子供のように野山を駆けまわって…
長期滞在者
ここ最近、iPhoneで電子書籍を読んでいる。今読んでいるのは、Joshua Fields Millburnの『Everything That Remains』。著者のJoshuaがミニマリストになるまでと、なってからのことを書き綴ったエッセイなのだけれど、この本を通勤電車の中で少しずつ読み進めるのが、ここ最近の楽しみになっている。JoshuaはRyanという友人とふたりで”the m…
長期滞在者
今月の頭に、引越しをした。 空っぽになった部屋をiPhoneのカメラに収め、2年半ほど住んだ家を後にする。新しい家は、自転車でわずか5分ほど。そんな近い場所に、更新でもないタイミングで引っ越したのは、恋人と一緒に暮らすためだった。 同棲は楽しみな半面、不安もあった。相手のこれまで見えなかった部分も目につきやすくなるだろうし、一緒にいる時間が長いぶん、ちょっとした行き違いをやり過ごせなくなる。ものす…
長期滞在者
わたしとRと、どちらということもなく、そのきわめて特徴的な声で鳴く鳥の存在に気づいた。4月の沖縄はもうだいぶ暖かくて、午前中に窓を開けて仕事をしていたりすると、この鳥の「ちゅっちゅっ・ちゅちゅちゅ!」という甲高い声が響く。わたしたちのあいだでどちらということもなく、その声の主は「ちゅっちゅ鳥」と呼ばれるようになった。休日の昼間なんかに、窓を開けはなした家のなかで「ちゅっちゅっ・ちゅちゅちゅ!」と聞…
長期滞在者
珍しく丸腰だった日。 意図してのことではなく、EOSとベッサ、どっちにしようか朝ずいぶん悩んで、よし、今日はEOS、とベッサを机に置き、そのまま馬鹿なことにEOSも玄関に置いてきてしまったという(嗚呼)。 カメラを忘れて家を出たら、その日は一日パンツを履き忘れているような嫌な感じがする、と誰かが言ってた。 そのとおりである。落ち着かないことこの上ない。 しかもこの、丸腰の時に限って、目につくもの目…
長期滞在者
先日、台北のフォトフェアーに参加していました。 海外の写真事情も、現地での人脈も特にあるわけでもなく、しかし東京での売り上げだけではどうにもならない閉塞感もあり、販路拡大のきっかけが得られればと考えて、初めて参加しました。 初めて降り立った台北・松山空港からタクシーで宿泊先のホテルに向かいます。パソコンからあらかじめプリントアウトしていたホテル名の記載された書類は全て英語で、それを運転手に見せれば…
長期滞在者
拍手の音だけが耳に聴こえる。 全ての司会を終えて、頭を下げた瞬間に聴こえた拍手の音を、そのまましばらく聴いていた。 声の仕事をしてきて、20周年となった、10月のその日。 私は今も、自分の声を誰かに届け、言葉を使った仕事をして、最後に拍手の中にいる。 その事実に、感謝しかない。 20年で出会えた全てのことが、今も私が声を伝えることができる場所へと導いてくれたと感じる瞬間だった。 国連UNHCR難民…
Mais ou Menos
———- まちゃんへ ここ数日、食べる物にすごく気を使って生活していることが嬉しいです。 今まであまり関心がなかったけど、食べ物が体や脳に与える影響を身を持って感じています。ヴィーガン(食に関しての)チャレンジをして、砂糖も控えめにする生活は今のところいいことばかりです。何がいいかっていうと、寒くなってきたけど、うつっぽい気持ちになっていないこと、体が軽いことな…