長期滞在者
誰もいない森で木が倒れたら、音はするのだろうか? 聞く人がいる、とは、どういうことなのだろうか? それはつまり、鼓膜、耳小骨、その奥の蝸牛が空気振動を電気信号に変え、脳に送るということ。では、倒れた木自身は、己が倒れた音を聞いていないのだろうか? 思えばここ2年ほど、小説というものを殆ど読んでいませんでした。小説は、全ての主語が人間です。そうでないとしても、例えば擬人化された動物だったり、高度な人…
the power sink
今回も絵を載せます。見て頂けると嬉しいです。最近の自分はというと、少し体重が増えています。それ以外にあまり胸を張れるような、人に話せるような事をしていないのが残念ですが、割と元気です。 それではよろしくお願いします! わけのわからない、歪んだ、突起物がついた視界がとても遮られるメガネをかけたスキンヘッドの恐ろしい人。帽子はおしゃれをしている。 飛び出している黒い楕円 丸…
Slow times
みみのない象の上で、小鳥は自分の輪郭が薄いことについて悩んでおりましたが、 輪郭があやふやな分、中身がしっかりしている という結論に達した模様です。
長期滞在者
9月。言うまでもなくヨーロッパでは年度始まりである。 今年のベルギーの夏はそこそこ暑い日もあり、 季節感のない気候が常であるこの国にしては、 夏らしい夏だったと言っていいと思うのだが、 そこまで暦に沿った季節感を出さなくても…、と思うくらい、 一日から一気に気温も下がり、秋めいた。 そして、そこいらの学校だとか商店だとか役所とかもお仕事再開。 それにしても。 学校が夏休みだったのはわかるが、役所や…
Native Language
はてなを浮かべる
「自分」と「それ以外」に思えてしまうのはなぜ? 薄い層の積みかさねで息がしづらいのかな? 囲まれていたいと思うのは変かな? 気付いていないだけで優しい目隠しをされてる? 深い時間に溶けて、陽を浴びると戻る これっていつまで続くの? そのままを伝えるって一生…
長期滞在者
「せかいいちおおきなイモをねがったらどうです?ふゆじゅうたっぷりたべられるし、このたねをうめて、みずをやって、まっているだけで、ほかにはなにもしなくていいんですから」 『ジェイミー・オルークとおばけいも』より 「お昼ごはんなあに?」「今日のお昼はじゃがいもよ。」じゃがいも?それが献立の名前ではないというごく当たり前のことに気付いたのはだいぶ大きくなってからのことだった。粉吹き芋でもポテトサラダでも…
日本のヤバい女の子
【9月のヤバい女の子】 ⚫︎なよ竹のかぐや姫(竹取物語) ----- 《竹取物語》 「今は昔、竹取の翁といふものありけり。」彼は野山にまじりて竹を取り、妻とふたりで暮らしていた。人生は穏やかだった。 男はある日竹やぶで光を放つ竹を見つけ、そして小さな女の子を見つけた。夫婦はよろこび、感謝して、自分たちで女の子を育てようと決めた。その日以来翁は竹やぶでたくさんの砂金を見つけ、どんどん富んだ。女の子も…
長期滞在者
先日、仕事の休みの日に、ひっそりとした韓国料理店に足を運んだ。山間の人気が少なく、そこに店があることさえわからないような場所。以前より、連れの母がどうしても連れて行きたいと言っていたお店だった。冷麺と美味しいチジミをいただいた。 そこで、韓国からきたというお店のママさんと出会った。わたしは、基本初対面の人とはそれほど多くのことは語らない。だけれど、ものを言わなくても、なんとなく理解してくれる人とい…
長期滞在者
皆様はじめまして。クボと申します。友人に誘われ、このウェブマガジンに参加させてもらうことになって、私はすこし困っていました。様々な活動をされている方が日常的な思いや思考を綴る場所という説明を受け、さて、自分はここで何を書けるのだろうか、と。 この十年来、私は文化/社会人類学という学問をやっています。日々感じること、思うことの大半は研究とつながっていきます。例えばTVをつけバラエティ番組をだらだら…
長期滞在者
すこし前、ブルーム・ギャラリー(大阪)で林直さんの写真展を見た。 いろいろ重層的な意味合いで素晴らしい展示だったんだけれども、とりあえず今はあえて画質のことだけに限って書く。 まさに銀塩感材の精華ここに極まる素晴らしいモノクロプリントだった。今さらながらフィルムと印画紙というものの底知れなさを知る。 写真・映像というのは他のアート分野に比べて道具や材料への依存度が高いので、道具の事情で大きく趨勢が…
長期滞在者
高校野球 夏の甲子園大会は今年が100回目だとか。 近年の戦いですと、4~5年前の千葉県は習志野高校の戦いぶり。超一流のエースもパワーヒッターもいない小さな市立高校が緻密なチームプレイで次々と強豪校を破っていったのが印象に残っています。とりわけ初戦の対静岡高校のときに見せた、満塁からのトリプルスチール。つまり三塁ランナーが、ホームベースめがけ飛び込んできて1点をもぎ取ったあのプレーは格別です。 ト…