まちゃんへ
3月に入って、だいぶ日も長くなってきたね。
新しい仕事も始まって、これからどうなるのかなあという不安もあるけど、日々目の前のことを一つ一つ取り組んでいます。
アクションノート、日々の良いことを書き出して、やりたいことを書くというのが、続けていて良いことだなと感じています。
目につくようにしておくのがいいのかもしれん。
新しい職場では、自己紹介のときにカミングアウトするかいつも悩むんやけど、カミングアウトしてきた。
そのほうが自分の気持ちが楽やから。
自分は自分でいこうっていう気持ちにもなれるし。
それが言えたことで気持ちはすっきりしている。
カミングアウトするかどうかで悩んだり、トイレに行けるかで悩んだりしたけど、今のところ無事トイレにも行けている。
最低限のことやけど、まずそこができないと前に進めないので、一安心。
日々の小さなことだけど生きづらさがあって、そういったことが少しずつストレスになっていくから、自分はストレスに弱いと落ち込むんじゃなくて、今の社会で生きるには、落ち込んだりすることも多いけど、そんな自分でもいいと思うようにして生きていきたい。
落ち込む自分が悪いんじゃない。すぐに鬱っぽくなる自分でもいい。自分の全部をもっと受け入れてあげたい。
そんなふうに最近思えるようになってきた。すぐ忘れがちやけど、もっと自分に優しくしていきたいです。
2021.3.8
P
Pちゃん
お便りありがとう。とても嬉しいです。
新生活1週間目、なんとかなりましたね。新しいことを始めると、やっぱり慣れるまで時間がかかるけれど、焦らずにやっていこう。
今、ベル・フックスの『フェミニズムはみんなもの』を読んでいるけれど、そこでね「コンシャス・レイジング」についての章があったんよね。意識を高めることを意味するんだけれど、よく日本で言われる「意識高い系」とかではなくて、自分の中にある問題のある考え方、それこそ性差別的な考え方や、染みついた思考の癖とかをきちんと自覚することを通して、問題解決の方法を探るための場をつくる大切さについて書いてるの。
私もぴも、今の社会では生きにくくて、それで自分たちのことを絶え間なく責め続けて生きてきたね。でも、2人で病気や休職を通して、自分たちの考え方の癖や、内面化していることに自覚的になった。自分たちを許して、受け入れられるようになってきた。ぴのほうが私よりストイックだから大変だけれど、お手紙を読んでたしかに変わってきているなと感じました。
この先も、難しいことやつらいことたくさんあると思うけれど、自分たちを守る考え方を身につけられてきているので、今までよりは上手に世渡りできるかもしれないね。自分を騙しての世渡りじゃなくて、騙さず、揺るがずに。
そのためにも、やっぱり軸を一本強く持つのが大事なのかも。
わたしが大好きな言葉を、最後に。
忘れかけてしまいそうな日々の中で、ふと思いかえし、流れの中に立ち止まって、「あの気持ち、あの気持ち」とつぶやくと、まわりからだんだんとおくまで、ゆっくりと波が静まっていき、間違わない方向の石が輝いて見えた。
『夕方らせん』銀色夏生著 「若草のつむじ」より
それに足をかけ、次に飛び乗り、進んで行く。
困った時は、遠くを見よう。近くばかりを見ていると、迷うことがあるから。
Maysa