当番ノート 第55期
最近乾燥してない?と友人に尋ねたら、え、茨木のり子の詩のこと言ってる?と聞き返された。思わず私の感受性と尊厳は瑞々しさを保っているかと自問自答していたのだが、駄目なことの一切を時代のせいにすることは、本当にわずかに光る尊厳の放棄なのだろうか。今の私は、社会由来の苦しさを無視されながら叱咤激励するマッチョイズムを感じて苦しくなる。 障害者雇用で時短勤務から社会復帰しようと思い、勇み足で転職エージェン…
長期滞在者
友部正人に大道芸人という唄がある。 (耳で聞こえた通り書いており、一部表記違う可能性あり) 『大道芸人は路上を目指す。 けして舞台になど上がらない 炎天下だって氷点下だって 衣装はいつだっておんなじだ 赤い着物で踊り狂えば 世界中の車が交差点でブレーキを踏む 飛行機に乗ってパリにまで行く だけどオリンピア劇場に出るわけじゃない 名前も分からない街かどに 自分の劇場を立てるのだ 大道芸人の天使の言葉…
長期滞在者
ふと、街頭でナンパされたことがほとんどないな、と思い至った。 「どこそこで希望ちゃんを見かけたが、声をかける前に姿を見失ってしまった」と友人知人から申告される程度に私は歩みが早く、なおかつ考えごとをしながら歩いていることが多く、険しい表情をしょっちゅう浮かべているという指摘を受けることが無関係ではなかろう。もちろん、とっつきにくい容姿であることなど、理由はほかにもあると考えられる。 (ナンパに関し…
長期滞在者
あなたには、夢がありますか? 夢をかなえた人 夢をかなえられず、あがいている人 夢を探して迷っている人 夢なんてなくても楽しく生きている人 世界にはたくさんの夢があって、たくさんの人がいます。 僕は夢のおかげで、なんとか生きてこられた男です。お金がない時も、好きな女の子にふられた時も、自分に絶望した時も、 夢のおかげで、なんとか楽しく生きてこられました。 22歳から探し続けて、やっと…
当番ノート 第55期
「たくさんある!」と喜んで食べ始めたものは気がついたらすぐ「もうこんだけしかない…」となる。いつもいつもそうだ。絵と言葉を繰り返しボンドやら何やらでくっつけたり離したりした日々も終わってしまう。膨らんだパンは、型の中で「形通り」になってしまう。もっと膨らみたくても、行き先がない。 「何か」の中でしかものをつくれない区切りがあるから「終わる」こともできるのだけど、たとえばサグラダファミリアみたいに、…
当番ノート 第55期
ここのところ、なんだかずっと居心地が悪い。居心地が悪くって、ずっと寂しくて、ずっと帰る場所を探しているような気がしている。 私は自分が居心地が悪い場所にいたことに、居心地がいい場所に行ってからじゃないと気づけない。嫌だったのかとか、無理していたかどうかが、その場を離れて見ないとわからない。ずっと馴染めなさをどこかで感じながら、馴染めないのを自分の実力不足だと思い込んでしまう癖がある。きっと、そもそ…
当番ノート 第55期
小学生の時、「おじいちゃん」「おばあちゃん」と一緒に暮らしている友達を羨ましく思うことがあった。彼らが話す「おじいちゃん」「おばあちゃん」の言葉には、家族としての距離感があった。 私の両親は福岡出身で、千葉で核家族をしている。両家共に祖父母達は福岡。私にとって「おじいちゃん」「おばあちゃん」は夏休みになると時々会う、血の繋がった顔見知りの「おじいちゃん」「おばあちゃん」だった。 会社を辞めて千葉の…
長期滞在者
先月、書き上げ間近に飛び込んできて僕の原稿を混乱させた「旗振山」情報。今日はその続きを。 大型の手旗信号を使って20km程度の拠点間を次々中継、大阪・堂島の米相場を全国各地に伝達していく「旗振り通信」というものが存在したという話。はたして20km先の手旗信号などというものを、人は判別できるのだろうか。これは実地で見てみるしかない。実際に旗振山に行ってみよう、と思い立ったのだった。 検索すると近畿で…
長期滞在者
2月から3月にかけては、毎年美術系の学生たちの卒業展やゼミ展が各所で開かれます、 荒削りで言葉足らずではあるが、それを補って余りある勢いが心地よく、なるべくたくさん拝見するようにしていますが、コロナ禍の状況で今年はほとんどが中止です。代替えとしてウェブで作品を公開したり、ということが多いようですが、中には箱詰めして宅配するUberのような方法を考案した学生たちもいて、その環境適応能力が素晴らしいと…
当番ノート 第55期
武士は食わねど高楊枝とは見栄を張りやせ我慢している時に使う言葉だが、私にとってのアロマテラピーがちょうどこれに該当する。高校卒業した後に始めたので、もう8年の間私の大きな味方になってくれている大事な趣味が香りだ。 とにかくアロマオイルは高い。比較的安い柑橘系などの精油でも、一本600円はする。正直同じ値段で3日分のタンパク質が買える、などと猛スピードで算盤を弾いてしまう。生活保護を受給しはじめてか…
長期滞在者
10年前の私へ。 あなたにはここからとてつもない苦しみが待っているよ。何度も自分を終わらせたくなると思うほどに。 今、目の前で起きていることが信じられなくて混乱していることでしょう。車が海にのみこまれていく映像をスクリーンで見た瞬間、足の震えが止まらなくなって、自分でその足をぎゅっと押さえたよね。理解をするよりも先に、身体が震え出した。 翌日、家へと帰るとき。目の前に広がる青空。咲き始めたばかりの…
Mais ou Menos
まちゃんへ 3月に入って、だいぶ日も長くなってきたね。 新しい仕事も始まって、これからどうなるのかなあという不安もあるけど、日々目の前のことを一つ一つ取り組んでいます。 アクションノート、日々の良いことを書き出して、やりたいことを書くというのが、続けていて良いことだなと感じています。 目につくようにしておくのがいいのかもしれん。 新しい職場では、自己紹介のときにカミングアウトするかいつも悩むんやけ…