長期滞在者
このアパートメントでは、自分が声の仕事をしているときの写真を多く使ってきているが、この写真を見たときに2020年のことを思い出すのだろう。口の前にシールドをして司会をするようなことになるとは、1年前には全く考えもしなかった。 2020年12月2日。「日本を代表する、外国籍人材活躍の現場」にスポットライトを当てる、Global one team Award 2020。記念すべき第1回で司会を務めた。…
当番ノート 第54期
みなさんこんにちは、イラストレーターの高松です。 この連載は神奈川県の西の、山の途中にあるあなぐらのような自宅にて、ボイスレコーダーに録音したトーク内容を書き起こして投稿しています。全8回の4回目です。 – 少し伝えるのが難しいのだけれど、昔から、物と物の距離と、そこに発生する意味に興味がある。 例えば絵を描く時。手を伸ばしている人がいて、その手の先にはリンゴがある。こういう時、この人…
当番ノート 第54期
雪を知らない。国立近代美術館で山元春挙の「雪松図」を見ながら、唐突に思った。 山元春挙(1871〜1933)は京都画壇の重鎮で、円山応挙の流れをくむ画家だ。「雪松図」は金色の屏風に背景もなく、重たい雪を背負った松のみ描かれている。雪は画面向かって右から降っているのか、幹の右側にのみ付着し、水平に広がる枝と松葉には、のしかかるようにぼってり積もっている。山元が描いたのは、軽やかなパウダースノーではな…
長期滞在者
今年も残すところ1週間、今回がもちろん今年最後の投稿。 今年最後は、これまで出会った同僚たちについて書いていきたい。 偶然同じ会社に入社した人や、アルバイト現場で出くわした同僚たちの中には、直ぐに意気投合できるような人から心の中が解せない人まで様々な人達が混ざり合っている。 が、趣味や感覚も異なるからこそ、共に過ごす中でとても愛すべき瞬間もやってきた。 こうした偶然出くわした同僚たちについて振り返…
当番ノート 第54期
サンタクロースの存在を何歳まで信じていたのか、よく覚えていない。でも、サンタクロースを信じていた理由なら覚えている。 小さい頃のこと。クリスマス当日の朝、起きてすぐにベッド周辺でプレゼントを見つける。昨夜はわがやに忍び込んでくるサンタクロースの姿が見たくて、眠らず見張っていたつもりだったのに、いつのまにか寝てしまった。プレゼントは、たいてい私が希望していたとおりのおもちゃ。どうしてサンタクロースに…
当番ノート 第54期
数年前のこと。 久々に群馬に帰省することになったので、私は「この機会にどこかしら散歩しませんか?」と友人のKさんに連絡をした。 Kさんはやわらかな雰囲気をまとった所作の美しい女性だ。一緒にいるととても安心できて、互いに喋らない沈黙の時間さえも心地がいい。言うまでもなく私の大好きな友人のひとりである。 件の連絡に返ってきた返事は「ぜひ!」というものだった。場所はお任せとのことだったので、彼女の最寄り…
当番ノート 第54期
12月も後半である。街路樹は煌びやかなイルミネーションで彩られ、あらゆる場所で赤と緑の装飾品が目に入る。無宗教である私も、このお祭り騒ぎみたいな雰囲気に浮き足立ち、購買意欲を煽られ、にんまりしながらショーウィンドウを覗き込んでしまう。年末のご褒美として自分に何かを買ってもいいが、どちらかと言えば、親しい人たちに何かを贈りたい気持ちにさせられる。ふと、それが増幅し、サンタさんになりたい、という大仰な…
当番ノート 第54期
みなさんこんにちは、イラストレーターの高松です。 この連載は神奈川県の西の、山の途中にあるあなぐらのような自宅にて、ボイスレコーダーに録音したトーク内容を書き起こして投稿しています。全8回の3回目です。 先週の記事を書いている途中、そういえば生活の中で、習慣にしている事柄がいくつかあるということに気がついたので。今日はそのいくつかの中から白湯の話。 – 毎朝、白湯を飲むだけの時間を作る…
スケッチブック
1) 紅葉、イチョウ、楓。そして名前をしらない、木々の落とし物。かしゃかしゃとブーツをくぐらせて、ふわりと巻き上げる。 秋の出口に、お約束のように思い出すことがある。 10代の昼下がり、盛大な紅葉の中にゴロンと寝転がったら友達が私に落ち葉をかけていった。葉っぱ布団はふんわりと軽くて、いい匂いがした。おそらくその何日か前に雨が降ったのだ。「さあ、願いを全部いうんだ!」と友はおどけた。私はぽつぽつと話…
当番ノート 第54期
前回、煉瓦色が自然と集まってくるという話をしていた。よくよく見返すと、マニキュアや口紅、アイシャドウやマスカラまでも赤茶色というか赤褐色というか、赤と茶色の中間あたりの色が多い。意識的に集めているわけでは無く、気が付けば手が伸びている。 なんでだろう。 それはきっと、この色に安心感があるからかもしれない。 そしてこの安心感は「似合ってくれそう」な信頼感と、「大地」を連想する安定感からきていると思う…
長期滞在者
仕事が超繁忙期で、何かとストレスも積もるので、無理に一日休んでウサを晴らすことにした。とりあえず自転車で100km走ろうと決めた。100kmという距離に別に意味はなく、ただキリのいい数字ということ。家(尼崎)から片道50kmの地点を探せばいいのである。夏に頻繁に和泉市の光明池まで通っていたときは片道40kmだった。もう少しだけ遠いところ、と目星をつけてGoogle Mapで探す。河内長野市・河内長…
長期滞在者
先月訪れた赤崎の港町から米子空港からの帰路の途中、バスに乗って皆生温泉に立ち寄り、街の中を少し歩きました。塩谷さんが地元の街並みや大山の景色を写していた頃、岩宮武二さんは、この温泉街で療養生活を送っていました。入院生活を送る仲間や、看護師さんとのふれあいをカメラに収め、のちにいくつかの写真が発表されることになります。温泉街は米子市から少し離れた海岸線沿いにあって、旅館が立ち並ぶ街はずれは松林の美し…