当番ノート 第53期
カナダ南西端の都市、ビクトリアへ出張している間、日中自由にできる時間は限られていたので、昼飯休憩の合間を惜しんでレコード屋に足を運ばざるを得なかった。 会議場からチャイナタウンへ向かおうと廊下を歩いているとき、柱に貼ってあるポスターに目が止まった。 “Discover our 5 Seasons” 「5つの季節」とは一体?という疑問が頭をよぎる中、足早に通り過ぎる。 ビ…
長期滞在者
コロナ禍で遠出することが無く外出する頻度は確実に減ったが、ここ1-2ヶ月は遠出することが増えた。 <出張> 職場で様々な地域に入り込む案件が増える中、国内を出張する機会が増えた。 免許を持っているものの、学生時代に取得してから一度も運転していないためレンタカーを使うこともできず、コロナ禍ではあるが電車で移動せざるを得ない。 (満員電車や地下鉄を除き)基本的に電車に乗ることが好きだが、それは小さい頃…
当番ノート 第53期
これまで「出来事」の意味を模索するような記事を書いてきましたが、これ以上この言葉を広げるエピソードをつづらずに一つの着地点を探すことにしますね。まとめると、出来事は目的と結果が異なることで生まれる。習慣化されている人の営み。出来事によってできることは、モノの用途・意味が変わること、過去の認識が変わること、日常が少し変わること。(テネットと出来事を結び付けたのはエキサイティングだったなあ) 私は建築…
当番ノート 第53期
前回触れたように、私は父に愛されていた。それを象徴する、わかりやすいできごと一つ紹介しよう。 24歳のとき、友人としてもかねてから付き合いのあった同い年、同郷の男性と初めての入籍をする。当時東京で暮らしていた我々があいさつに行くのとは別の機会に、先方のご母堂と私の両親が対面したそうなのだ。その場にいたわけではないので詳細は分からないのだが、「ふつつかな娘ですが」とかなんとか言いそうな場面で、父は予…
当番ノート 第53期
物忘れが激しくなったら老化の始まりだ、と言われたことがあったものの、そもそも記憶力に自信のある私だ。そんなことはありえない、そう考えるのは至極当然のことだった。 高校の暗記系科目などは、すべて満点を取るのはあたりまえで、月末に実施されることになっていた複数の〇〇検定を月の頭から勉強し始め、「そのレベルから始める人はいないからやめておきなさい」と国語や英語の教師に言われようとも、気分が乗ってしまった…
長期滞在者
小学生のころ1~2年だけヤマハの音楽教室に通っていたことがあり、短い期間なので残念ながらこれと誇れる楽器の熟達には至らなかったのだが、楽典の基本は子供なりに学んだ。なので楽譜は読めるのである。読めるといっても、まぁあれだ。サリエリがモーツァルトの総譜を見ただけで涙を流す、みたいな「読める」ではなく、時間をかければ解読できる、というレベルなのだけれど。 中学高校のころYMOの一大ブームがあり、市立の…
当番ノート 第53期
この夏、友人が1歳すぎの赤ちゃんを連れて自宅を訪れた日のことを思い出す。驚いたのはきみが赤ちゃんを手厚くかまっていたこと。 きみは布団にもぐりこんで「どこにいるでしょう?ここよ、ここよ」と声だけで示したり、おもちゃのレジスターにプラスチックのカードを押し当てて「はい、ポイントをつけました」などとお芝居をして、初対面の赤ちゃんを大いに喜ばせた。 これまで自分より幼い子を公共の場や交通機関で見かけるこ…
当番ノート 第53期
小学校5年生のときだったか、国語の授業でリレー小説を書かされた。4人か5人くらいの班の中で回して書いていくかたちだった。あるときからそれは僕にとって忘れたい過去だった。実際、今では自分が書いた内容は忘れ去ってしまった。 僕が第一走者になった物語は「何を書けば良いのかわからない」と同じ班のクラスメートに言われた。独りよがりな設定でリレーが繋がらず、殆ど一人で書いた。6年生の卒業前、学校の図書館の衆目…
長期滞在者
先日鳥取県は赤崎という小さな港町へ出かけてきました。 目的は日本のピクトリアリズム期を代表する塩谷定好さんの記念館に一度行ってみたかったのです。東京ではあまり話題にのぼることが少ないですが、大正モダンの時代から綿々と続く「芸術写真」の聖地なのです。はたして、鳥取駅から汽車を乗り継いで2時間弱、赤崎の駅に降り立ったのですが、黒く焼かれた西日本杉板壁と黒っぽい瓦葺きの低い屋根の建物が、肩を寄せあうよう…
長期滞在者
待ち望んでいたその日は、こんな輝かしい天気の日に良いことが起きないなんてあり得ないと思うくらいの青空が広がる朝だった。 これから大事な仕事に行くという日の朝には、U2「Beautiful Day」を聴く。2000年10月30日に発表された、U2にとって10枚目となるスタジオ・アルバム『All That You Can’t Leave Behind』からのリードシングルとなったこの楽曲は…
Mais ou Menos
まちゃんへ 展示会お疲れ様でした。 無事たくさんの方々に見に来ていただいて、終えることができて感謝です。自分たちの作品を、自分たち以外の人に見てもらえる喜びを知りました。終わったところで早速やけどまたやりたい。 今回の展示会で一番印象に残ったのは、まちゃんのカーディガンが着る人によって、すごく印象が変わること。これは自分たちで着るだけじゃ知ることができなかった新たな発見やった。 あと、展示会を予約…
当番ノート 第53期
昨年秋に病死した父は、自分の親や一部の兄弟、親戚にまで変人扱いされている人間だった。私も、父を変人だと思っている。ただしそれは、親戚たちが言うのとはまったく別の意味。 父については『発達ナビ』のコラムでも二度触れている。(1回目 2回目) 当時は勉強不足、私の自己理解の浅さが伴い、父を「ASD(自閉症スペクトラム障害)様の傾向がある」と記したが、実際はADHD(注意欠如多動性障害)の傾向が強いよう…