当番ノート 第53期
前回、私が寸借詐欺師と(半ば意図的に)遭遇した話を書いた。私自身が納得したうえでの行動あっても、相手を増長させ、新たな被害を生み出した可能性も否定できないと認識しており、現在は深く反省している。これを「借金」にすべく、次回1000円を回収する決意を心新たにした。 さて、今回も横浜中華街でのできごとについて書かせていただく。薄い鉛筆の殴り書きのような記憶の中、そこだけがくっきり描かれ、彩られた壁画の…
長期滞在者
昨年9月の記事で取り上げたベトナム/カンボジアへの旅の半年後、今度はアメリカを旅した。 アメリカ大統領選が佳境を迎え、全米の地図をテレビで目にすることが多くなったことで、11年前にアメリカを旅した一か月を振り返りたくなった。 <往路> 成田から飛んだのか、羽田から飛んだのか、降り立った空港からどう移動したのかまったく覚えていない。大学は春休みに突入していたが、前日の夜まで終日バイトをしていて機内で…
当番ノート 第53期
2014年、長い長い大学時代を過ごした関西を、就職のため離れ、上京することになった。ただ、別に初めての東京だというわけではなく、学部時代に某省の研究機関(和光市)で研究をする機会があったので、1年くらい和光市と関西を往復する日々を送っていたことがある。研修で訪れた人が宿泊する寮みたいなところにしばらく住んで、気が向いたら西に帰って研究し、タイミングが来たらまた上京。端的に楽しかった、お金ももらえる…
当番ノート 第53期
きみは次の春が来たら、これまでのお友達とはさよならをして、ひとりこの町の小学校へ向かう。わたしの仕事の関係で引っ越し後も上手く転園できなくて、きみは6年間、隣町の保育園に通っていた。そこでたくさんの友達ができて、いつも帰りの車内では「今日は誰と何をしたか」をこと細かに教えてくれた。 みんなとは3月でお別れなのだと説明はしているものの、きみは学校が離れても友達のままだと信じてやまない。その証拠に、「…
当番ノート 第53期
2010年、モスクワ・シェレメーチヴェ空港。 初めての海外旅行で、僕はウィーンへ向かう飛行機への乗り継ぎに失敗した。 幸いにもこの日、同じ理由でモスクワで夜を明かさなければならなくなった人が20人ほどいた。世界各地から集められた20人は、まずホテルのロビーらしい場所に通される。 “トゥゲザー?トゥゲザー?ノー?” いかつい制服の青年が、同じグループっぽい集団ごとに声をかけながら、客の組数を数え歩い…
長期滞在者
スポーツ系の自転車にはフレームサイズというのがあって、同じ種類の自転車でもいくつかの大きさのパターンが用意されている。身長や股下長から割り出した「適正サイズ」の自転車に乗るべきである、といろんな自転車サイトを見ても書いてある。でも僕はこれをあまり信じていなくて、そもそも僕は今乗ってる自転車の前に、今から考えるとえらく小さな自転車に乗っていた。5年もそれを使っていたので今さら「サイズが大事」とかいわ…
長期滞在者
「8ヶ月ぶりです」この言葉を言う機会が多くなってきた。 8ヶ月ぶりに結婚披露宴の司会の仕事をすることができた。8ヶ月ぶりにライブハウスに行ってライブを観ることができた。8ヶ月ぶりにイベントの舞台で司会をすることができた。 少しずつできることが増えてきてはいるが、新型コロナウイルスの影響からは、まだまだ安心できるにはほど遠い状況の10月。私はラジオDJとして、 23周年を迎えた。 ラジオDJとして、…
当番ノート 第53期
タンポポの綿毛のようだ、と言われたことがある。 と言っても、ふわふわで可愛らしいという意味合いではなく、いつどこに飛んでいくともしれない、ひとところに根を張ることがなさそう、というイメージらしく、似たようなことは何度も言われたことがあった。要するに、根無し草だ。 しかし実際の私はさほど引っ越しの経験はない。22歳で親元を離れるまではずっと同じ家で暮らしていたし、35歳で帰郷してからも、同じ地域で暮…
長期滞在者
活気のある商店街を歩いていて、そこにお肉屋さんがあると、ついそこのご主人の姿が気になる。お肉屋さんのご主人というのは、こちらの勝手な思い込みで申し訳ないが、いかにも美味しいものを知っていると思わせる雰囲気を全身で表現しており、あぁ、この人の作ったコロッケは間違いなく美味しいよね~と思わせるような何かを身に纏っているように見える。 物心ついた昭和の頃から平成~令和に至るまで、時代が変わり人々の価値観…
当番ノート 第53期
突然だが、数年前に買った真鍮(しんちゅう)のボールペンが臭い。おまけに色もちょっと汚い。購入したとき、店員さんは「経年変化(エイジング)」で味が出るからと言ったので、自分が老けるたびにこのボールペンも老けていくのだなあと感傷的な気持ちになって買った。それが今、ちょっと汚くてサビ臭いのを我慢しながら使っている。何年かすると色もにおいも馴染んでくるのか。そして、これを味わいというのか。というか、味わい…
当番ノート 第53期
昔、きみを産んだとき。どういう話の流れだったか「へその緒を切る時は母体も赤ちゃんも痛くないんだよ」と誰かから言われ、その後に続いた言葉が「髪の毛と同じで」だった。 へその緒と髪の毛が医学的に同じとは思えないけど、その時は「そっか、それならば反対に、”髪の毛切っても痛くない”ってことの方が不思議だな」と感じたのを覚えている。 髪の毛は体の一部なのだけど神経が通っていない。神経…
Mais ou Menos
まちゃんへ 急に寒くなったね。うちらが作っているブランケットやカーディガンが活躍してくれる季節になってきた。ここ数日、メンタルはずいぶん落ち着いていると思う。 自分の好きなことを積極的にやりたいという気持ちが起きて、それを実行できて嬉しいです。 編み物の練習も少しずつやって、もっと上達して色んなものが作れるようになりたい。いつも教えてくれてありがとう。 展示会、楽しみなやなぁ。家も整とんしつつ、気…