当番ノート 第50期
こちらの花、「桜かな?」と思うかもしれないが、これは「アーモンド」の花である。ナッツのアーモンドを想像する人が多いだろうが、植物としては春に花を咲かす落葉樹である。実が成るのは夏から秋にかけて。ちなみにアラビア語では”لوز (Lauz)”と言う。 ヨルダンでは首都アンマン、北部の街イルビッド、南部のダーナ自然保護区などで見ることができる。この写真は今年の2月にアンマン…
長期滞在者
5月3日 ゴールデンウィークの予定は真っ白だ。例年と同じく今年も神戸の実家に帰省する予定だったが、おとなしく家にいる。三密空間の極みである夜行バスで寝られない時間を過ごし、身体の痛みに耐えられなくなる一歩手前でサービスエリアに着き、一息ついてトイレで歯を磨いて、発車するまで5分ほど夜の風に当りながらベンチでボーっと過ごすこともできない。朝にバスターミナルに着くと、身体痛いし、中途半端に最後の最後で…
当番ノート 第50期
父の見舞い行ったり介護を手伝ったりしたあの時期は、振り返れば迷いばかりだった。やってきた全てのことが成功だったし、失敗だった。この世からいなくなってしまったのは、1mmも自分のせいではないのに、大きな敗北感があった。負けた、と思った。大切なのはどうやって過ごしたかなんじゃないの、なんていう言葉に、そんなのは嘘で生きていなくちゃ意味がない、と悪態をつけながら、すがっている。 — 入院中の…
当番ノート 第50期
「お店でカレーつくらせてくれませんか?」 レイくんがそんなことを言い出した時、前のめりな所がアンドサタデーの真帆さんに似ているなと思った。 それが確か2年半前くらいだったと思う。レイくんは都内の企業で働きながら、暮らしの拠点を逗子に置いていた人。今はちょっと都内に戻っているけど。 普段の仕事が目に見えにくい大勢を相手にする仕事なので、カレーを通して目の前の一人一人と接することをしたいと言っていた。…
当番ノート 第50期
5月6日に初めてのEPをリリースしました。 今回のコンセプトは”五大要素を辿る軌跡” 空・風・水・火・土の要素を5つの音楽的尺度で捉える、または移す(写す)。 そして、そこに視える(視えたような)根源と永久。物質と精神。有と無。 大きな幅を行き来してみる。時間と空間をこえれる宇宙(ある意味の超自己)旅行。 そのイメージをコアに抱き、音を紡ぎ5曲を収録しました。 また「…
当番ノート 第50期
気持ちの良い日々が続いている。この5月という時期は最高である。風が気持ちよく若葉が美しく光が心地よい。 そのタイミングで鳩が巣を作り始めた。今私の住む家は少し郊外にあって、3F相当の高さなのだが、ふと目をやると向かいの木に鳩の巣がある。コロナの影響で人の移動が少なくなって自然が戻って来たと言うニュースはよく流れているが、確かにいろいろな鳥を見る回数が増えている。しかし巣を見ると嬉しく、小躍りしたい…
長期滞在者
きっとあなたも、そちらのあなたもそうでしょう?御多分に漏れず僕もそう。いろいろ大変なことになってる。 ・・・・・・ のんきに構えている事態ではなくなって、しかしのんきに見えるかもしれないことに、実は新しくカメラを買った。新しく、といっても9年も前に発売された老兵を中古でだが。 本当はのんきにカメラを買い足すような状況ではないのだが、話は逆で、この状況で写真を続けるために何が必要かを考えて、不要なも…
当番ノート 第50期
「気づけばそうなっていた」ことについて書いてきたわけで。これはつまり衝動を扱ってきたということなんだろうと今になって思う。 衝動といって思い浮かぶのは、ボディペインティングのこと。写真を撮りたいと言ってもらって、これまで3度やることになった。 一度目は2019年10月の千葉の海にて。仕事が終わった後、海へ向かう電車に乗って1時間とちょっとの時間、揺られる。友人がセブンイレブンで買ったバスクチーズケ…
当番ノート 第50期
新型コロナウイルスの影響を受けてヨルダンから日本に一時帰国しているが、ヨルダンの職場の同僚や友人とは頻繁に連絡を取り合っている。ヨルダンでの新型コロナウイルスの情報はインターネットで拾っているが、現地の人からのリアルの声が実態を把握する上で貴重な情報源となっている。ヨルダンでも日本のニュースは時々流れるようで、「ラミの家族は大丈夫か」、「外には出ないで、家でアラビア語の勉強でもしてろ」と、温かいメ…
長期滞在者
この数ヶ月間で確実に生活のルーティーンが変わってしまった。 当たり前のように仕事場に向かい、休みもせいぜい2ヶ月に一度くらい、という生活が20年あまり続いていた。2011年の震災の後だって、ほぼ毎日仕事場に足を運んでいたのだ。zoomをはじめとするオンラインミーティングが急速に普及して、ギャラリーの仕事であってもいつの間にか店頭に出てやるべきものと自宅でやったほうが効率が良い仕事に切り分けるように…
当番ノート 第50期
どうゆうふうに悲しんだらいいのか、どうやって強くい続けたらいいのか。振る舞い方がわからない、その迷いに一旦区切りをつけたのは、思い返すと、半年の月命日だったのかもしれない。 — 半年の月命日は、奇しくも父と母の結婚記念日だった。 もういないのに祝うのはなんだか不思議な感じもしたが、悩んだ結果、プレゼントを贈ることにした。一人で結婚記念日を迎える、丸い背中が震える様子が目に浮かんだのだ。…
当番ノート 第50期
逗子の小さな神社に2500人が集まったのは、昨年の11月26日のこと。 抜けるような青空の下で、境内には珈琲の香りが漂い、陽だまりのような音楽が響いている。 これは、「逗子葉山 海街珈琲祭」の風景。 アンドサタデーが主催した、初めての大規模イベントである。 地元だけではなく東京や横浜からたくさんの人が集まり、普段人が多い訳ではない街に賑わいをつくった。逗子葉山の11の珈琲店は、どのお店も行列が途絶…