当番ノート 第45期
自分の読書遍歴を言ってくださいと言われたら、答えはノーだ。ノーセンキューです。 読書は、その人の考え方を形成する材料だ。どんなものを好んで食べてきたかで、その人を形作るものの一部が垣間見える。許されるなら「装丁がすごく素敵で買ってみたら中身も面白かったんですよね」って受けごたえで、見栄えのいい且つちょっと中身は難しめの本を並べて見せて、世の中を渡り切りたいと心の底から思っている。 さて、30半ば~…
Do farmers in the dark
表題:5発の銃弾が僕の頭を突き抜けたので走馬灯が見えると思ったんだけど、見えたのはただ色と何でもない形だけだったのでとても悲しかった。今まで楽な事ばっかりしていたからだ。もっとしんどい事したり、なにか頑張れば良かった。いつも色んな事を努めて忘れていたけど、忘れなければ良かった。 本当に毎月すみません。今月も前月に引き続き、自己紹介を書いています。悪いことに前月より本格的に自己紹介にな…
当番ノート 第45期
19年くらい前、(だいぶ前ですね。)ビューティフルライフというドラマがありました。しがない女子中学生だったわたしは毎週かかさず見てたんですね、ビューティフルライフ。その中で、どうしても印象に残るシーンがあって。物語中盤で、なにかいさかいが起こり、解決に向かい、キムタクが常盤貴子の車椅子を足でクルッとまわして正面から抱きしめて、抱きしめられた常盤貴子が「ねえ柊二、こんなに抱き合っていてもどんなことを…
長期滞在者
7年以上もこの家で暮らしているのに、全員で揃って電車に乗り、どこかへ出かけるのは初めてだった。それくらい、のこの家の住人たちは趣味もライフスタイルもバラバラなのだ。そしてそんなお互いを尊重しているがゆえに、「みんなで揃おう」とはなかなかならない。 みんなで中華の円卓を囲む。簡単にできそうに見えて、機を逃してしまうと難しい、そんなことが実現できた。 5月1日(水) 平和な祝日かと思いきや、朝から蕁麻…
当番ノート 第45期
いらっしゃいませ。 ここはアパートメントの中にある小さなお店「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。 ありきたりのどこにでもあるようなお店。 ふらりとたどり着けたあなたはラッキーね。 期間限定でオープン中よ。 私は店長のミス・モモコよ。 今日は雨だから、暑さを吹き飛ばすモヒートなんていかがかしら? あら、いつも通りのジャックダニエルソーダ割り? 男は「定番が好き」なのね?もっと冒険してみたら?…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
「マネキンが動いたのかと思った」とお客さんが驚いたのは、1度や2度ではなかった。あまり変化のない表情には、ますますそう思わせるところがあった。当時働いていたインテリア・ファッションのお店の、後輩だった女の子のことだ。 しょっちゅう変わる髪の毛の色はパフェみたいに可愛くて、白い肌と淡いメイクが人形らしさを際立たせる。彼女が着るお洋服はどれも個性的に違いないのだけど、彼女の世界観とぴったりあっているた…
長期滞在者
日本に住む友人からの情報で、 ジョージ秋山の『アシュラ』がアニメ化されていた ということを初めて知り、驚いてすぐに検索してみたら、 とある動画サイトで案の定すぐに見つかった。 2012年の作品。監督は『TIGER & BUNNY』 『神撃のバハムート』などのさとうけいいち。 震災の翌年の公開というのも 何か思うところがあってのことだったのかもしれない。 原作の内容は物凄い、というか、 凄ま…
当番ノート 第45期
不思議なんだけれど、大人には何故か 妙な高さへの拘りがある気がする。例えばそれは、マンションに住むなら高い階がいいとか、ドレスを着る時はハイヒールじゃないと自意識が萎えるとか、高層ビルにある会社に勤めているから鼻が高いみたいな 「高い」に越したことはないという変な拘り。 まってまって。 確かにマンションの最上階に住んでれば自慢になるだろうし、10cmヒールを履けば、頭身も脚の長さも見栄えが良くなっ…
当番ノート 第45期
「文章を寄稿してみませんか」と当アパートメント編集長からお誘いを受けた。 快諾した数日後、後悔した。 これが仕事やアートショーのためのプロモーションならば、是が非でも期日内に何らかをひねり出して命と引き換えにでも差し出すのだけど。何もないところに自分事をポンと置くことの行為。当件に関しましてはビジョンもゴールも報酬もない。自由意志で自発的に書きたいことなど持ち合わせていないのだと、自分の空っぽさに…
当番ノート 第45期
昔から、これだな!となにかをさだめることが苦手です。 ものごとを決断するってとても難しい。 くだりのエスカレーターとか、小さい頃ほんとむりでした。 乗るときにどちらの足から出せばいいかわからなくて。 混んでるところだとどんどん後ろから人が来ちゃうし。 大学生の頃は、映画が好きで、よくDVDを借りにいってたんですけど、 なかなか何を借りるか決められず、 これを借りることによって私の2時間はなくなって…
当番ノート 第45期
いらっしゃいませ。 ここはアパートメントの中にある小さなお店「ヴァーチャルスナック・モモコ」へようこそ。 ありきたりのどこにでもあるようなお店。 ふらりとたどり着けたあなたはラッキーね。 期間限定でオープン中よ。 私は店長のミス・モモコです。 ゆっくり腰掛けてハイボールでも飲んでいってくださいね。 さてさて、今日はこないだ来たお客さんについてお話でもしましょうか。 まず、スタンダードの量産型新宿お…
当番ノート 第44期
けっきょく、わたしにとって町とはなんだったか。 アパートメントの連載の話をいただいてから二ヶ月のあいだ、これまで訪れたいろいろな町をよすがに、経験したこと、考えることを書いてきた。わたしはまちがいなく「町」というトピックに惹かれていて、どうにかそれを自分を通して書いてみたかった。 思い入れのある町とない町のこと。同じ町に重なったいくつかのできごとのこと。町に紐づく、あったかどうか不確かな記憶のこと…