開かずの箱

第4期(2012年8月-9月)

ここアパートメントの一週間に一度やってくる締切に 一週間の間に 
そんなに劇的な出来事なんてないわぁと 学生時代に授業中に回しあった手紙やら
過去の手帳たちが入ってる、見るのも恥ずかしいような開かずの箱の封印を解いた

そこにすっかり忘れていたものがはいってた
それは簡易家計簿のようなもの。

上京組であった私は大学時代、家賃と高熱費は親に送ってもらっていた
生活費と遊び代はバイト代で稼いで、という経緯もあって 小遣い帳よろしく簡易家計簿みたいなものに
翌月に支払われるバイト代の 光り輝く使い道をもう前の月にあれこれと予定をたてては
その予定と、実際その月に遊んだ(使った)お金を記していた

日記を書こう!と決めてしまうと意気込んで書けなくなるのに 
お金が絡むと どこに誰と行っていくら使ったか、大雑把にだがちゃんと書くものだ

 そこに感情の移入はなくてただ、○◯ちゃん、と△△へ、
◯◯町のカラオケボックスで二時間〜、森高千里「so blue」要レンタル
など一言なのだがその感想のない味気ないお金の用途とそれに添えられたメモが
一層当時のすっかり忘れていたその時の気持ちまでもを運んでくる

so blueは一浪して一個あたしより上だった○◯ちゃんが
クラスメイトのだれそれにフられて歌ったんだよな、わたしはその時まだまだあの子と順調なラブ状態で、
結局 その彼氏には振られた頃にはその歌を歌った女の子がハッピーラブだったんだよな、とか。
日記は極めて内密で自分の中の理想の自分の部分でしか書いていないわけだから家計簿のほうがよっぽどその時の感情を忠実に残すのにはいいんじゃないって気付きがあった

 それから、こういう類のことは一度始まると終わりを知らない
その箱は(整頓なんてされていない)訳の分からない物達が”有象無象に一緒たくたになっていて
忘れ去られていたものがどんどん出てくる。

 当時ハマっていたモノクロ映画達の影響でジャズのうんたらもきっとわからなかっただろうに(今でもわからないけど)
大学生時代に聴いていたコルトレーンのMDなんかが出てきた
映画に酔いしれ、音に酔いしれ、お酒に酔いしれ、そしてそういう自分に酔いしれてた日々にキュン。

 妹と某ファミコン雑誌の読者イラストコーナー「こんなアイテムあったらいいな」という欄に
投稿しようとあれこれ考えて描いていたスケッチブックがでてきてキュン。(これは小学生の頃)、 
某RPGゲームでは主人公のキャラクターに好きな名前をつけられるのだけど 
家族の名前をつけてしまって途中キャラが死んでしまい涙したことを思い出してはまたキューン。

それから海外へ旅した際に買ってきた東南アジアのよくわからない神様っぽい偶像や
(どの国で買ったかも今ではわからない)、闇で光る神の遣いの象の置物だとかそういうたくさんの神様の方々もでてきた。
うわ〜このへんてこ加減、なんでこんなに重たいものを旅先でそれも海外でわざわざ買ったのだろうと
今となっては思うけれど、たくさんの神さまと久しぶりにお会いして懐かしさでいっぱいになってきたところで、スペイン、アンダルシア地方でジプシー達から胸に押し付けてられ半分強制的に買わされた感のある、やっぱり神様っぽい偶像を手にした途端、彼?の手が一本ぽろっととれてしまった  

日本だって商売の神様、安産の神様など神道的側面がたくさんあるし
多神教ということで一緒の箱でもOKじゃん、ってその箱にご安置?(放置ですね)していたのが
こういうのは ちゃんとバチがあたるものだなぁ、どの神様も長いことにかけてないなかったからだ。
(かといっていつでもかまってちゃんの神様がいたとしたらそれはそれでなんだか大変そうだけど。)
 そしてこの瞬間に、誰かから呼ばれた気がして(これは嘘)、わたしの一夜の思い出迷子体験はあっけなく終わりを迎えた。 

(写真はその開かずの箱ではなくって、ほんものはもっと年期が入っていて色なんかも地味である)