いつもずっと遠くへ行きたかった

第26期(2016年4月-5月)

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遠くがあることを知ったのは 広大な自然のある土地を 
テレビで見たときだったかもしれない
部屋に寝転び目を閉じて 風の音だけをききながら その映像を頭の中で広げ 
自分がその土地にいる想像をし 何度も遊んだ

物語があることを知ったのは 新学期に教科書をもらったときだったかもしれない
新しい教科書の物語がある部分を 授業ではじまる前に全て読んだ
私は図書室へ通うようになり 誰かと話したり学んだりすることよりもっと
物語の中へ没頭し 遠くへ行くことを望み  本のなかで語られる言葉を信じた

本当のことを なにも知りたく無かった
生活の中の暴力や怒りや憎しみや理不尽さを

それから 音楽を聴いて色を知り 絵を見て囁きを聞き
映画を観て景色を見つけ 本を読んで物語に触れる 
そういったことが いつも私を遠くへ運んでくれた

目を閉じたときのほうが ずっと鮮やかで広かった

深夜2時の街灯のぼんやりした公園や 早朝5時の青い景色を
おばけのように彷徨い歩くことは 私を切り離すことだった

私にもできるだろうかと 書いてみたことと描いてみたことがあるけれど
そこにはどっしりと私が現れていて とても居心地が悪く うまくはいかなかった

記憶が過去になると 私を離れて どんどん遠くなる
写真を撮ることは そういった感覚になんだか近く
本当であり本当ではない 私であり私ではない
そんな遠くの景色を 捕まえることができるようで あつめている

日本からみたフランスは遠かったし フランスからだともう日本は遠い
戻る場所 帰る場所はなく だから遠くへ行くことばかりを考える

それで 次は何処へいくんだろう

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