女でいるコンプレックスのこと

第29期(2016年10月-11月)

女でいることにコンプレックスを感じる時がある。
女でいる自分や女性を見て、女って苦手だなと思う場面に遭う。
もっと女を楽しめたら人生違うと思うが、自分は女を楽しめていない気がたまにする。
オカマちゃんたちが聞いたら、代わってよ!と言われそう。

なぜ女でいることにコンプレックスを感じるのか、女でいる自分に劣等感を抱くのか。

私の働いている職場は男性が多いのもあって、女性を優遇というか大切にしているように思う。
男性社員は、女性社員に対して優しく、男気を見せる中年世代は頼りになると素直にそう感じている。
入社して間もない頃、「うちの女の子に渡しておいて。」と電話でのやりとりを聞いて、違和感があった。
『女 の 子 ?』
女の子というのは、若くどちらかというと幼い年齢の女性を指す言葉だと思っていた。
その部署には22歳から30代後半の女性がいた。発言した人の中では、おそらくその全員を「女の子」として括られていた。
それ以降、女性社員を『女の子』と言っているのを聞くと、何か違うと感じる。
みんな女の子は卒業している年齢だと思う。

同じように、『OL』という言葉も私はどうも苦手だ。
初対面の人に「仕事は何をやっていますか?」と聞かれた時、「会社員です。」と答えることが多い。
仕事内容は事務である。そして別の言い方をすると、私はOLでもある。
職業を聞かれた時に答えたい順位はこんな風だ。

会社員>事務員>>>>>OL

会社員は、会社に属している人を指す言葉であるので、該当している。
事務員も、仕事の内容が事務をしているので、あたっている。
しかし、OL・・・。
日頃この言葉は「私OLやっています!」とか「あの人OLさんらしいよ~。」という風に使われている気がする。
OLという言葉の印象が女性的で、その言葉の枠に自分は入っていない気がして、劣等感を感じるのだと思う。

OLシューズを履いて、万人受けする服装を着て、髪型も清楚にし、女性らしく振舞う。
ダメだ・・・自分は彼女たちと同じようにできない。
動きやすい、走れる、足が痛くないという理由で、私は社内でスニーカーを履いている。
OLシューズは入社した時から抵抗があった。
あれを履いたらOLになってしまう・・・と謎の価値観があり、今でもそれが奥底に残っている。
社則が厳しくなく、こんな私にも優しい会社で良かった。
女性らしくできないと開き直れるわけではなく、女性の魅力を容姿から最大限活かしている彼女たちが羨ましい。
女性に生まれてきて良かったと、感じることが多々ありそうだ。
自分にはあまり実感できないことなのだろう。

しかし、そんな当社でも、私にとってのピンチが毎年くる。
会社行事で外部の方々が来社する時は、女性社員総出でその行事に参加させられる。
きれいな服を着用し、ヒールを履き、受付等で並ばされる。
こういうのもたまには良いのでは・・・とすら思えない。
毎年毎年、そのイベントから外してもらいたいと私は祈り続けている。
が、女性社員が少ない会社なので、有無を言わさず参加させられる。
女というだけでそこに立たされている気がしてしまうのだ。
(その通りなのかもしれないけれど・・・)

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もうひとつ、女でいることが嫌になる時がある。
それは、銭湯や温泉施設での脱衣所にある洗面台で、ドライヤーを使って髪の毛を乾かすことだ。
これもどうしても苦手なのである。
男性にはイメージしにくいかもしれないが、女湯の脱衣所では、風呂上りの女性陣が服を着て、何を気にするかというとドライヤーが空いているかどうかだ。
みんな興味ないように見えて、しっかりドライヤーがいつ空くかをチェックしている(ように見える。)
どこがいつ空くかも把握している(ように見える。)
私はというと、そのドライヤー戦争から身を引く気でいるのだが、
苦手意識からか、それとも他の女性たちと同じなのか、やはりドライヤーの使用状況を確認してしまう。
そして、いつ見ても誰かが使っていて変わりはない。
ドライヤー使用者は、なぜか誇り高い雰囲気で風を受けている。
鏡越しに見ると、ドライヤーのテレビCMに出演しているかのように自信が溢れ、髪を乾かす自分を見ている。
この雰囲気も苦手だ・・・。

まず、ドライヤーで人と争いたくない。争うぐらいならすぐ譲る。
争いたくない為、私は脱衣所で首を振りながらくるくる回る扇風機の風で、髪を乾かすこともある。
髪の毛が短い時は、自然乾燥でいけるでしょと、半分濡れかけたまま女湯を後にする。
しかし、そんな自分の気持ちとは裏腹に一緒に来ていた友人とか母が
「濡れたままだと風邪引いちゃうよ、ちゃんと髪の毛乾かしなよ。」みたいに言われる。
このまま立ち去りたい私は、再び戦場に戻り、ドライヤー待ちの列に並ぶことになる。
「いや・・・やっぱりいい・・・」と言えない自分が嫌になる。
すでに身支度を整えている友人を待たせ、苦手な場所で髪の毛を乾かす。
鏡に写った自分とドライヤーの風。テレビCMのような自信は溢れず、ほそぼそと風を受けて髪の毛が乾くのを待つのだ。

会社の男性にこう言われたことがある。
「女でいるのが嫌だからって、お前は女なんだから。男にはなれないんだよ。」と。
本当にその通りだと思う。
女が嫌だなと思っていても、男にはなれない。女として生まれてきて、生きている。

女性として憧れている人がいる。
同じ女性として彼女がいるなら、私はこれからも強く生きていけると思う。
彼女の名は、おそのさんだ。
皆さんご存知、ジブリの魔女の宅急便に出演しているパン屋のおそのだ。
彼女の豪快な笑い方、さばさばした性格、そして愛情を持って人に接する姿。
ありのままの自分自身や周りを受け入れ、キキの着ているワンピースを素敵だと褒める。
寡黙な旦那さまが、おそのさんに惹かれている理由もわかる。

私は、おそのさんのようになりたいと思っている。
しかし、この前おそのさんは年下ということが判明した。
いい歳して、おそのさんに憧れていていいのだろうか。
私は40歳になってもおそのさんに憧れているのだろうか。
年下の人に憧れるって、おかしくないだろうか。いい加減自分がしっかりしろと思ってしまう。
それでも、私に持っていないものを持っている、おそのさんに憧れる。
誰かを励まし、温かく見守りたいのだ。そしてワハハとどんな時も笑っていたい。