925号室

第29期(2016年10月-11月)

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これからどんどんあなたとすごした季節がやってくる。

もうすぐ季節はあなたに出会う。

はじめて袖を通したセーターから
小さく出した指先が向かう先へ、

両手でつつんだカップの中
紅く染まったホットワインからあがる
シナモンの香りの湯気の奥へ、

表情も無くなった横顔が
「春のにおい、」とつぶやいたとき
かろやかに痛んだその場所へ、

そして、

一人天井を見つめて聞いた
蝉のざわめきのなかへ、と。

これからどんどんあなたとすごした季節がやってくる。

あなたのかたちに
すっぽりと穴の空いた季節たちが

行儀よく、無作法に、

どんどん、どんどん、やってくる。

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今週は、いつかの9月25日に、ことばを継ぎました。

季節に嫉妬していたときがあって

あんなにも360度、全方位的に

だれしもを包み込める、

一瞬にして時を超えたどこかへ連れていけるなんて

いくらなんでもずるいって、おもった。

だから、いまわたしはこうして

季節に負けじと文字を書いています。

平面の文字が、ふんわりと立ち上がるその時まで

そうっと、そうっと、

息を吹き込んでいます。