ドトーのジャニュアリー。

長期滞在者

前回同様、締め切り直前の早朝である。本来、何か書くときには大体一週間前からちょっとずつ準備して書くようにしているのだが、前回同様、ドトーの様な一ヶ月をなんとか溺れずに乗り切っているうちに、あ、明日月初めの月曜日じゃん…、となったのであった。そうはいいながら、早寝早起きを旨としているぼくとしては昨日の夜はさっさと寝ることにして、早朝水泳の前にささっと書いてしまおうという魂胆なのである。

去年の年末に、とある奇特なクライアントから、食器のセットを作ってくれとのオーダーがあった。もちろんこれは陶芸家としての仕事である。全部で12種類くらいの器や皿をできれば18セットほど作って欲しい、今のところまだ締め切りは先だからゆっくり取りかかってもらって構わない、という感じで頼まれ、何とかなると思いますよ、任せて下さい、という感じで(ぼくがやきものをやってるといっても始めて1年半になるかならないかのほとんどずぶのシロートだということは向こうも知っているので、本当に奇特なクライアントだなあと思いながら)軽ーく引き受けてしまった。とは言え、何でもいいからテキトーに、というわけではなく、一応「インダストリアルなワビ」な感じ、というお題が出されていたわけだけど。

うーん、まあ、早速試作とかしながら対応していこうと思っていたら、急遽の帰省があったりして、実際に作り始めたのが年明け。試作を始めて一週間くらい経ってから、急遽締め切りが2月の末になったとの連絡。あまりにも無理すぎるスケジュールなので、アイテムを7つくらいにしないと出来ないですよ、と返信したら、それでとりあえずオッケーということになったので、それでもかなりスピードをあげて仕事続行。ぼくは自分の工房を持っているわけではなく、ブリュッセル市内にある芸術アカデミーに通いそこの設備を使っているので、他の学生さんたちとそれを共有しているわけだけど、急に狂ったようにろくろを挽き始めたぼくを見て、何事かと思っていたらしい。
そんな中、再び連絡が入り、実は締め切りが2月7日になったので、それまでに仕上げて欲しい、よろしく、という連絡が入った。締切日が3週間も切り上げられるなんて、あり得ねえだろと思いながらも、なんとかメドを付け、さらに高速作業に突入したのだった。

さて、とりあえず、粘土の成形は出来たものの、焼き物は焼かなければ焼き物にならない。当然である。しかも、釉薬をかける場合は普通素焼きという行程を入れて、二度焼くのが一般的である。ので、素焼きをするために窯に入れ、出来上がるのが先週の金曜日のはずだったのだが、なんと焼成途中で窯が故障したらしく、焼き上がらずじまい。(こういうときに限ってこういうことが起きるものである。)
素焼きをするにも本焼きをするにも最短でも3日はかかるので、これでは間に合わないかもしれん、ということで、焼き上がってないものにムリヤリ施釉して、さらに施設内でまだ稼働可能な小さめの窯をいくつかフル動員して、うまく行けばなんとか締め切り前日にすべて仕上がるだろう、というところまでこぎ着けたのが先週末の土曜日だった。つまりはまだ、この一件は落着していないので、このあとどうなるかはまた次回のお楽しみ、ということにしておこう。乞うご期待。

ということで(上記の隙間にもあれこれハプニングが続出したのだけど割愛)、昨日は久々にちょーぐったり状態で、それがゆえに、「アパートメント」用の原稿にも手が付けられず、宮部みゆきの『おまえさん』を読んで過ごしたのであった。いや、宮部みゆき、すごし。