プリミティブ・エイプリル

長期滞在者

今年のベルギーはわりかしあったかくて4月はしっかり春めいていた(ちなみに5月になってから少しまた寒くなった)。去年の今頃はまだ雪が降ってたんじゃなかったろうか。腰痛持ちとしては非常に有り難い気候である。腰痛というと、腰自体に問題がありそうに思えるのだけど、実はやっぱり背骨と股関節の使い方が悪いと腰にくるという事を最近実感している。例えば、電気ろくろを長時間使っているとテキメンに腰痛がますのだけど、これはろくろを回すときに使うペダルの配置に問題があって、それを考慮に入れて、体の位置をろくろに対して少し斜めにして作業すると股関節への負担が減るという事がわかり、それからずいぶん作業が楽になった。あと、腰周りの筋肉がこわばってる時は、ヨガの太陽礼拝のポーズを数回繰り返すだけでかなりほぐれる。とくに背骨をそらせる運動が良いらしい。朝の水泳のあとは簡易ヨガとタイツ先生の股関節ぐるぐる体操をやってバランスを整える事にしている。

ヨガというのは「つなぐ」という意味の言葉から派生したらしいのだけど、ヨガといって頭の中ですぐにつながるのは倉敷にある瑜伽山である。行基上人が1300年くらい前に開山したらしいのだけど、真言宗の寺と神社が隣り合わせになっている。ちょっとまえまではこの山のことは全く知らなかったのだけど、何年か前の新年に実家でゴロゴロしていたら知人が「瑜伽山に初詣に行こうかなあ」と言い出したのを聞いて、「ユガサン?おぉ、それはヨガの山という意味に違いない。」と勝手に解釈した上で、喜び勇んで便乗初詣したのが瑜伽山初体験だった。で、瑜伽行唯識派というのがあったくらいだから、唯識の寺があるのかと思ったら、真言宗。しかもすぐ隣に神社。しかもその翌年からはリラックマの絵馬を売り出したそうな。そんな変な神仏プラスα習合の山、調べ始めたら絶対面白い事がわんさか出てくるに違いない、と思っていたのだけど、ベルギーに戻ってからはそれっきりである。まあ、飽き性なので仕方がない。島国特有の「オリジナル」なんかには頓着しない、想像力と妄想力とスキの精神が日本文化の核だなあと改めて思っておくにとどめておくのもいいかもしれないとも思うし。

話題を変えて、近況報告。先月末から小学生向けのパフォーマンスに参加している。4人のミュージシャン(歌手、ギター、キーボード、ドラム)とオレの5人のグループ。ラール・フリュフテン(へんな果物)というバンド名の基本ポップバンドである。小学生向けにしてはちょっとかっこ良すぎるオリジナル曲を演奏しながらのパフォーマンスで、メインもチーフは「仮面」。グループメンバーも仮面を付けるのだけど、子供たちにもそれぞれ自分で仮面を作ってきてもらい、鑑賞中はみんなそれをつけてなければならないという事にしてある。多い時は150人くらい、少ない時は50人くらいの子供たちを相手に公演をするわけだが、そのくらいの人数の仮面チルドレンが揃うとなかなか壮観である。ちょっといつもと違う異界な雰囲気の中、アップテンポで盛り上げていくと、子供たちも最後には踊りだす。なんだかんだ言っても子供たちの中にはけっこうプリミティブな感覚は残っているものだなあと思う。

プリミティブとかいうとなんだか退行的な感じがしてしまうものだけど、多分それは違うのだろうなと思う。カテゴリーの細分化とリファレンスばかりが多くなってしまった論文で言い訳がましく世界の辻褄をなんとか合わせようと躍起になってる科学や、そんな言い訳さえもしないままに欲望を細分化してとにかく多くの劣情や物欲を掘り起こそうとする資本主義に対して、何のためにそういう諸々が必要だったのかという大元を見直したり、統合し直したりするための、さらにこの先にあるものとしてプリミティビティや魔術的感覚は必然だと思う。これからの子供たちは、もっと原始文化や魔術を学ぶべきなんだろうと思う。というか、世界がそっち方向に向かってバランスを取り戻そうとするべきなんだろう。もっと遊べ、もっと狂え、と言うべきか。白川静だなあ、やっぱり。

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