道草。

長期滞在者

いきなり余談から。
今期はアニメもドラマも面白いものが揃っていて、チェックするのに時間配分が大変である。
前期が散々だったから、たまにはこういう時があってもいいのだが、いや、大変である。
物語シリーズの本領を久々に発揮してる感のある「終物語」、
それと同じく西尾維新原作で、こちらは実写ドラマ「掟上今日子の備忘録」(ガッキー最高!)、
前期から引き続き昭和テイスト満載の「うしおととら」、久々の当たりガンダム「鉄血のオルフェンズ」、
モンキーパンチのテイストをなかなか忠実に再現しようとしている「ルパン三世」の新シリーズ、
力の抜け具合いと戦闘シーンの作画のハイクオリティのギャップが素晴らしい「ワンパンマン」、
衣装もキャストも脚本も演出もええ塩梅でんなぁと毎朝見てしまう朝ドラ「あさが来た」、
半沢直樹のスタッフが続編が作れないその鬱憤を晴らすように力を込めていると思われる「下町ロケット」、
などなど、いや、大変である。まあしばらくは、引きこもっていても退屈しなさそうである。
余談以上、以下本題。

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確か、小学1年まで岡山市北部の万成(まんなり)というところに住んでいた。
最寄りに小学校がないのでバス通学していたのだが、なぜか帰りは徒歩と決められていた。
今グーグルマップで確認したら、徒歩で45分ほどの行程だ。
5、6歳の子供なら一時間以上はかかるだろう。
あまり活発な方ではなく、体力のない子供だったので、途中にある小高い丘を
当時は一山越えるつもりで息を切らせ、長い道のりをうんざりしながら
とぼとぼと歩いた記憶はまだ残っている。

学校の方からは、寄り道をしないでまっすぐ帰宅するように、
と毎日のようにお達しがあったように覚えているが、
途中に木材製材所や石材店、そしてその資材置き場もあり、
その丘の道は草木が騒々しいほど茂り、
水田や畦道の脇を通る道もあり、
小川や用水路にも頻繁に行き当たるような帰り道、
子供に寄り道するなという方が無理というものだ。

ほぼ毎日のように帰りが予定の時間よりも遅くなるので、
母親と教師が連絡を取り合っていたのか、
度々担任に「道草を食べていないで、まっすぐお家に帰りなさい」と注意された。

注意されると、一応まっすぐ帰る努力はしてみるのだが、
ふと道端にスズナが生えているのを見つけたら、つい一本手折って鈴にして、
耳元で振り、サラサラサラサラという音にしばらく聞き入ってしまうし、
レンゲを見つければ紫色の花弁をとって蜜を吸い歩いてしまうし、
用水路に亀がいるのを見つけるとしばらくジッとその様子を眺めてしまうし、
資材置き場に庭石の大きなのが置いてあれば登ってみたくもなるし、
そんなことだから、まっすぐ帰るなんて、ほぼ不可能なことだった。

そんなことが続いたので、一度担任に特にひどくお説教されたことがあった。
なんでそんなに道草をするのか、と。
子供心に帰り道を想いながら「無理なものは無理」と考えていたのを覚えている。
が、おそらくそれには反論もせず、ただまた同じ道を帰って行った。
帰りながら「なんで寄り道することを道草を食うというんだろう」という疑問が湧き、
さらに「自分は寄り道をする癖がどうしても治らないんだから、
いっその事、本当に道端に生えている草を食べて回ろう。
そうすると何か面目が立つような気がする。」
みたいなことを考えて、その日から帰路で目にする雑草を
片っ端から味見していくようになった。
好んで食べたのは紫酢漿草(ムラサキカタバミ)というやつで、
字の通りちょっと酸っぱい味がして、癖になる味だった。
雑草で酸っぱい味と言えばイタドリだが、
イタドリは誰もかれもがそれが食用になることを知っていて、
近所の子供達も時々食べるのを見かける程だったので、
メジャーなものに当時から何かしらの反感があったのか、
なるべくイタドリには手を出さないようにしていた。
確か、当時の友達の一人が外で遊んでいるときに
イタドリを食べようと言い出した時に、
そんな素人くさいもの、俺は食べない、
みたいなことを言って手を出さなかった覚えもある。

イタドリというのは日本じゅうどこにでも生えているようなものだが、
東アジア原産の種で、もともとヨーロッパにはない。
が、知人の話によると、かのシーボルトが日本から観賞用に持ち帰ってきたらしい。
ところが、日本では天敵のイタドリマダラキジラミなどがいるので、
そこそこにしか成長しないイタドリはヨーロッパでは無茶苦茶に繁殖してしまったらしい。
しかも恐ろしく根の力が強くて、建物の壁も壊して伸びるのもあるそうで、
各地で被害を出しているらしい。
イギリスでは、イタドリマダラキジラミの輸入さえ決めてしまったということだ。
で、もちろん我がベルギーにもあちこちに生えているらしく、
そして、さすがにのんびりと何の対策もされていないせいか、
うちの近所に最近になって整備され始めた公園にも群生地を見つけた。
イタドリの藪
ここまでになると、竹藪ならぬ虎杖藪である。
どうもあんまり有効な使い道も無いらしく、放置されているのだが、
これからどれだけ野放図に繁殖していくのかを眺めるのも、
楽しみなような気がする。

とまあ、今日このイタドリを見ながら、上のようなことをつらつら思い出したりしていたのだが、
22年前に日本が息苦しくなり、ヨーロッパに渡ってきて、やりたい放題に生きている自分のことを思うと、
このイタドリのたどった経緯が、他人事のような気がしなくなってきた。
まあ、まさか天敵に当たるものなり人なりをわざわざ輸入して、
ぼくを駆逐しようなんていう暇人はいないだろうけど、
まあせめて、何かの役に立つようなものにはなっていこうかなとは思う。
そういう意味では、この迷惑なイタドリも、何かに使えるんじゃないかとも思う。
とりあえず、いずれ幾つか刈り取ってきて、焼き、その灰を釉薬にしてみようかとも思っている。

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