五月雑記。

長期滞在者

5月はほとんどの時間を作陶に費やした。
1年ほど前に無謀にもホテルの食器を引き受けてしまい、散々な思いをしながらいろいろ学びもしたのだが、
1ヶ月前にまたかなりの数の食器の注文が来たので、1年前のトラウマを抱えながらもそれに取り組んでいた。
去年とは違い、自分が好きに使える工房があるので、楽になった部分もあるのだが、
場所が狭いので、成型の終わった器を乾燥させる場所を確保するのに手間取ったりもしたものの、
ここまで概ね順調に進んでいる。
4週間かけて、少しやり残しているものがあるにせよ、ほとんどの成型が終わり、
後は乾燥、素焼き焼成、施釉、本焼成を数回繰り返せば完了だ。
あと2週間ほどで全て完成予定。
近年あまり感じたことがなかったのだけど、休暇が欲しい、と思う。
東南アジア辺りに遊びに行きたい。

その合間に読んでいるのが矢部良明氏の『古田織部の正体』で、『日本陶磁の一万二千年』と合わせ読んでいる。
さらにその合間にアニメ版の『へうげもの』を再見したりもしている。そろそろKindleでコミック版も買う予定。
松岡正剛さんが利休はルネッサンス的で、織部はバロック的だと書いてたけど、なるほどなあと改めて思う。
ならば小堀遠州あたりがロココってことか。この辺を見渡していると、やっぱり光悦が気になり始める。

5月の始めの週は友人の日本人夫婦がブリュッセルにフランス料理のレストランを開店したので、
以前から作りためてあった皿や器を提供したのだが、その縁で週末にそこに入り浸ることが重なった。
特に避けていたわけでもなく、最近は滅多に複数の人と一緒に会食するなどの機会がなかったのだが、
そのレストランでいろんな人との交流が増え始めた。日本人も多い。
実のところ、あまり大勢の人の中に混ざるのが得意ではない。
が、自分の作った器とそれを評価してくれる人がいる空間にいると、
少し自信のようなものを感じられるからか、
意外なほど社交的に振舞っている自分に気づいて驚く。
まあ、自信がないことには自信があるようなタイプではあるので、
こういうモードも一時の気の迷いのようなものだとは感じているにしても、
人との交流が増えるのは悪いことではないのだろう。

交流といえば、来年は日本とベルギーの国交成立から150年になるそうで、
そのためのイベントがいろいろ企画されているらしい。
そのことに関わっているという、とある日本人男性と話す機会があり、
また言わなくてもいいことを言ってしまった。
日本大使館が関わっている日本文化に関するイベントはどうしてこっちの人々のエキゾチシズムに媚びるようなものばかりなのだろう、エキゾチシズムというのは文化的距離感や、鑑賞する側の文化的優越感を前提にした上で、鑑賞される側からの文化的意義や意味の説明をあまり重要視しない状態の関係の中で出てくるものだから、いわゆる「交流」のためのイベントであればこそ、それは極力避けられなければならないものなのに、何の反省もなく異国情緒べたべたのエキゾチック・ジャパン的企画を連発し続ける役所の感覚が全くわからない、どうせ150周年記念で行事をやるのであれば、そういった悪癖を排して、どうすれば交流したりコミュニケートしたりできるのかということをしっかり考えながら、戦略的な文化事業にしなければ、結局また意味のないものになってしまうだろう、とかなんとか、そういうようなことを。
まあ、誰かがいつかはちゃんと言わなければいけないようなことだから、良しとしよう。
どうせなら大使レベルの人に直接言えたらなお良かったのだけど。
正統を突き詰めると異端になってしまうのは世の常なのだし。

ということで、今日から6月。
でもベルギーはまだ寒い。とほほ。