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3F/長期滞在者&more

「今年いろんなことが起きても、笑顔で進んでいこうと思える曲をお届けしましょう。」【[Alexandros]「明日、また」(2017年11月29日リリース)】

長期滞在者

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「音楽がわからなくなってしまうよ。」

極限まで落ちた。
身体が動かない。起き上がれない。朝も昼も夜も眠りの中にいるような状態。

「本当に自分を見失ってしまったら、音楽がわからなくなってしまうよ。」

それはいつも、最後の最後で、私を救う言葉だ。
飛び出した。ここにいたら自分が全てダメになってしまう。
そうだ、前から気になっていたバンドのライブを観に行こう。

その会場は、自分が通っていた大学の近くだった。
当日券を買って、ライブが始まるまでの時間、卒業以来初めて自分が通っていた大学の構内を歩いた。
大学時代、最も長い時間を過ごしていた放送研究会の部室に行った時に、当時の自分の感情が鮮明に蘇った。
まっすぐに音楽だけが好きで、番組を作って、そんな音楽たちを自分の声と言葉で紹介することが大好きでたまらなかった。
その時、私の頭の中には真っ先に、あの頃夢中になっていたOASISの曲が鳴り響いていた。

そのバンドのライブを観るのは初めてだった。
冒頭から、すっと気持ちを掴まれた。歌声も、鳴り響く音も、ボロボロになっていた私の心に響いて仕方がなかった。
曲が進むごとに、もう一度自分の中に血が流れていくように、私自身を取り戻していった。
そして、ライブの中で、思いも掛けないことが起きた。
自分のルーツといえる音楽体験を思い出した直後に観に行ったライブで、バンドのヴォーカリストがOASISを歌い出した。
何が起きているのだ? と思ったくらいに驚いた。心が震えずにはいられなかった。随分と泣きじゃくった。

その時にはっきり思った。
これからは本当に自分の心が好きだと思う音楽の傍にいる時間を何よりも大事にしていこうと。
そのことだけを忘れないでいれば、私は何も迷うことはないだろうと。

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新しい年を音楽と共に迎えられたから、それだけで今年は良い年になるんじゃないかと無条件に信じてしまう。

2017年12月31日から2018年1月1日を、COUNTDOWN JAPAN1718の会場で過ごした。
12月31日は自分の誕生日。この日は、ストレイテナー、ACIDMANと好きなバンドも多く、
1月1日にはビッケブランカや打首獄門同好会とライブを観てみたかった出演者もいて、
誕生日と年明けを、心が弾むアーティストのライブで過ごせたことはこの上なく嬉しいことだった。

カウントダウンの瞬間は[Alexandros]のライブを観ることを選んだ。
「ワタリドリ」でスタートしたこの日のライブは、「starrrrrrr」「Adventure」と、
私が初めて彼らのライブを観た日から、自分にとってくじけそうになった時に聴いてきた大事な曲が続き、
共に歌いながら、この一年をまっすぐに振り返った。
彼らの音楽をライブで聴くことで、私は2017年を清々しく締めくくることが出来た。

この日、私が一番聴きたかった曲は「明日、また」だ。

2017年11月29日にリリースされた、シングル「明日、また」。
最初にこの曲を聴いた時に、イントロを聴いただけでわくわくした。
あぁ、とても好きだと心も身体も嬉しくなってしまう曲。
1月1日が目前に迫った時刻に、ステージからこの曲のイントロが響いて、
「明日、また」と共に新年を迎えるんだとわかった瞬間、喜びで飛び上がってしまうほど心が踊った。
同時に、カウントダウンという大事な場面を、最新のシングルでライブをする彼らの姿は眩しいくらいにかっこよかった。
そして、曲の間奏で2018年0時0分を多くのオーディエンスと迎えた直後に、この歌詞が歌われた。

「明日、また 泣きじゃくる時が来たとして 怯まず笑えば あなたは今まで以上に 強く在れる」

新しい年。良い年にしていきたい。
しかし、今年も様々なことが起きるだろう。

前進したいけど、理由があって前進できなかったり。
上手くいきそうな感じがするけど、なかなか答えがでなかったり。
向かい風にどう立ち向かっていいか葛藤することもあるだろう。

けれども、2018年を迎えた瞬間に聴いたこの歌が在れば、きっと全てを投げ出さないでいられる。
悲しくても、苦しんでも、絶望に苛まれても、思い出そう。
今年は大好きな音楽とともにスタートしたではないか。あの時に自分の中に力が湧いてくることを感じたではないか。

「明日、また」を演奏している時に、ふと見上げたステージからの光が、
まるで未来が、こっちだ! と引っ張ってくれる光のように見えて、思わず手を伸ばした。
音楽と共に煌めいていた光から、大丈夫、明日は必ず輝くからと言われているような気持ちになった。

忘れるな、音楽はいつも味方でいてくれることを。

ライブが終わって、そういえば、大学時代の友人が会場にいるはずなのに会えていないことに気づいて、
どこにいるのかとLINEで連絡を取ったら、
「あけましておめでとうございます。アレキではしゃぎすぎました。」という返事に思わず笑ってしまった。
あの頃、未来がどうなるかわからなくても、音楽が好きで将来そんな仕事につけたらいいねと語り合っていた仲間が、
お互いなんとか自分がやりたいと思っていた仕事を続けて、
今もこうやって、音楽には無邪気に笑顔を見せている今があることが嬉しかった。
合流してライブ後に一緒に飲んだビールは、格別に美味しかった。

明日がどうなるかなんてわからない。
そんな言葉を言う機会が随分と増えた。
でもその言葉を使う時は、絶望ではなく希望を含んでいたい。
泣いても、落ち込んでも、私たちには音楽がある。

音楽と共に、今年も生き抜いていこう。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ〜12秒に乗せて)

2018年、私は[Alexandros]のライブで新年を迎えました。
大好きなライブで、今年最初に聴いた音楽が、この曲です。
今年いろんなことが起きても、笑顔で進んでいこうと思える曲をお届けしましょう。

[Alexandros]「明日、また」

武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
宮本 英実

人生は選択の連続のように思う。その時の自分が選び取ったその瞬間は、すべて必然なのではないだろうか。武村さんが年越しの瞬間に選んだ居場所はやはり音楽の場所で、[Alexandros]のステージ。そこで鳴らされた曲、「明日、また」。選び取るすべてが、どれもこれも自分であり、これからだ。明日も今年もまた、音楽と共に。

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