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3F/長期滞在者&more

「むき出しになった熱情」【lynch.「OBVIOUS」(2018年7月11日リリース)】

長期滞在者

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このアパートメントでの連載でlynch.の曲で言葉を巡らせるのは2回目である。
2016年1月16日に公開した「EVOKE」。
この文章を書き上げた時、私はとても怖かった。公開まで怯えていた。

果たしてこの想いが伝わるだろうか? 

たった1人にだけ、事前に読んでもらった。
「どう思う?」と尋ねる私に友人の彼はすぐにこう言った。
「大丈夫ですよ。これは伝わりますよ」と。
そうして公開した記事は、多くの人に読んで頂けた。感想もたくさん頂いて、心から嬉しかった。
好きな音楽で想いが繋がることが、私にとってはこの上ない幸せだった。

彼が亡くなって、この夏で2年になる。
lynch.がとても好きな人だった。出棺の時、lynch.の「ETERNITY」が彼を包んでいた景色が今でも目に焼きついている。

そのことが常に自分の中で心を大きく支配していた。
だから、lynch.のライブを観ていても、よく泣いてしまっていた。それが正直な気持ちだ。

いつかまたここで、彼らの曲と共に言葉を綴る時は、彼らのライブを見て、心の底から熱情に駆られた時。
そうずっと決めていた。

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2018年8月19日。
TOUR’18 「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」、横浜Bay Hall。
2018年7月11日に発売されたアルバム『Xlll』を引っさげて、
7月14日広島CLUB QUATTROから始まったこのツアーの関東シリーズのスタートとなるライブに向かった。

横浜はかつて自分がラジオ番組を届けていた場所。
そして今でも、横浜の海の傍で、よく一人の時間を過ごしている。
自分にとってずっと大切にしてきた地で、彼らのライブが観たかった。

アルバム『Xlll』の収録楽曲「THIRTEEN」で幕を開けたこの日のライブは、
ライブハウスで観るには贅沢だと思うほど、終始圧倒的なスケール感があった。

2018年3月11日の幕張メッセでのワンマンライブ、
そして、2018年6月24日に行われた、LUNATIC FEST. 2018への出演と、
立て続けに広大な会場での経験を経た彼らは、明らかにその姿を進化させていた。

ヴォーカルの葉月の艷やかで情感豊かな歌声が、
オーディエンス一人ひとりの奥まで確実に響いていることを感じずにはいられなかった。

ステージで彼が笑うと、目の前の世界がどんどん明るくなる。
彼の心の中がそのまま表情になった笑みは光だ。

彼はとてもはっきりと自分の願いや夢を口にする。
それが確実に、望んだ未来を引き寄せている。

それはこのアルバム『Xlll』に収録された楽曲の歌詞からも感じ取れる。

「誓い交わした あの場所へ」(「THIRTEEN」)
「夢に見ていた景色を あなたにも見せたい」(「FIVE」)

このアルバムの言葉たちは、未来にまっすぐに向かっている。
ライブでこのアルバムの楽曲にダイレクトに触れたことで、より一層その意味をくっきりと感じた。

夢が持つエネルギーは、人を生かす。
その溢れ出るエナジーは彼らの音楽に触れる人たちに、好きという感情を呼び起こす。
自分の中に湧き上がる「好き」という事実。
その嬉しさや喜びは、何よりも、この世界を生き抜くための確かな力だ。

アルバム『Xlll』の12曲目に収録されている「OBVIOUS」をこの日のライブで聴いた時、
イントロが鳴り響いた瞬間から、この楽曲が私を支配した。

「ブチかませ腹臓の底から」

「好き」をひたすらに追い求めたい。
その感情を誰に何も遠慮することなく、ブチまけても良いとされる空間。
互いのその感情の解放が生み出す熱量が、こんなにも明らかになる曲が、私は好きだ。

「輝いている。
煌めいている。
美しさに、溢れている。」

この言葉が事実となって、今目の前に在る。
こんなにも輝いている。

私はこの事実の中で息をしている時が、好きだ。
彼らの音楽に触れ、数多の熱情をこの身でしっかりと感じて、彼らについて語り合う日々が、好きだ。

気づけばlynch.は、どうしようもないほどに、私の人生に濃密にその存在を刻みつけている。

この夜のライブの帰り道。
私は一人でずっと思いを巡らせていた、あの海に向かった。

逃げ出すように一人見ていた海の景色は、いつ見ても切ないだけだった。
けれどもその夜は、夏の熱の余韻の中、ただただ綺麗な光を湛えていた。

まっすぐにこの今を愛しむ。
目の前の光が導く未来は、きっとこれまでの全てを凌駕する、極上の幸せと悦びであると、私は信じている。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ〜9秒〜16秒”に乗せて)

現在ニューアルバム『Xlll』と共にツアー中のlynch.。
11月4日に行われるファイナルとなるTOKYO DOME CITY HALLは早くもソールドアウト。
駆け上がる今の彼らが観たいと思うあなたは、今すぐツアー日程をチェックして、
チケットがある場所には迷わず飛び込んで欲しいです。
そして、この曲で、最高の汗をかいて下さい。
むきだしになった熱情が絡み合うひたすらに気持ちの良い曲。

lynch.「OBVIOUS」

武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
宮本 英実

光。lynch.のステージから受けた眩いほどの光は、武村さんの未来の糧となり希望となった。いつだって音楽は人生のシーンとリンクしては、その時々の大事なことを感じさせてくれる。武村さんが紡いだ言葉が、いつも以上にキラキラ輝いて見えた、8月の文章。

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