長期滞在者
11階1111号室ー 入院当日は、電車の遅延で遅刻しそうになるなど、ハラハラした幕開けでした。1週間家を空けることや、面倒くさがりなパートナーの食生活がどうなるのかなど、心配ごともたくさんあり、ついつい常備菜を作りすぎてしまったり。でも、これから先は何があっても受け入れるしかないという覚悟のせいか、気持ちは前向きでした。 わたしに割り当てられたのは、病棟11階1111号室、スカイツリーが見える、窓…
当番ノート 第34期
何故人は酒を飲むのか。 段々とだらしのなくなる表情、でかくなる声、人でも喰らったのかな?というようなワインで真っ赤に染まった唇、目は座り、ロレツは回らなくなり、ふらついて絡まる足下。話した事はもちろん、どうやって家に帰ってきたのかもわからず、鞄を開けると何故だか大量の豆。きっとあの後も何件かハシゴしてしこたま飲んでしまったのだろうなとすっからかんの財布を見て思い、誰かに迷惑なぞかけていないだろうか…
長期滞在者
家族がばらばらになったのは、去年の2月のことだった。 僕が幼い頃は主に父の酒癖の悪さが原因でよく家族喧嘩になっていたけれど、今回の事の発端は父ではなかった。父が年齢を重ね、あの赤ら顔と怒声が昔話になりかけた頃、こんなことが起きるとは。いくつかの問題が連動しながらめまぐるしく進行して、あっという間に縁を切る、なんて言葉が飛び交うようになっていた。 仮に相関図を書いてみるとする。それでいうと僕は誰にも…
当番ノート 第34期
ようこそ、私のアパートメントへ。 この夏は「岐路」、つまりあの時人生変わったなぁ〜と思うことを振り返っています。 岐路の思い出に再び考えを巡らせると ”新しい生き方”を模索できるような気がしています。 今日はミンダナオの文化のない場所で感じたことがテーマです。 私の経験が直接的にあなたの役には立たないかもしれないけど、 何かピンとくるものを共有できたら良いなぁ。 あぁ、そんなに急がないで。 よかっ…
当番ノート 第34期
類は友を呼ぶって良く言いますが。私は本当にそうだと思います。 友人を母に紹介した後に「どこで知り合ったの?」と聞かれると 「友達と呑んでるときに紹介された」 「よく行く喫茶店で紹介された、今は飲み仲間」 「墨田の○○さんのイベントで知り合った人」等々・・・ よく行く喫茶店や飲み屋で知り合った人が多いんです、知り合い方が学生の頃とはかなり異なり、正に意気投合して仲良くなる事が多いのです。だから、類…
当番ノート 第34期
大学生のある時期、とにかく朝日が見たかった。 真直ぐな水平線に浮かぶ太陽。熊本にいたときは地理的に見えなかったし、憧れだったのは確かだけど、帰省帰りの大きな荷物を抱えたまま、真夜中に何キロも歩いて見に行くほどの衝動に僕を駆ったのは、フェネスの”Endless Summer”だった。 僕が買った”Endless Summer”はオリジナルのジャケットじ…
当番ノート 第34期
一点の傑作を作るには自分の特性を知ることだ、熟知する事だ、痛みを伴うほど。特に欠点を、少なくとも私には。 2001年春に富山を出郷して丸3年が経ち、ようやく私は全てを手に入れた。作品を作るためのアトリエ(旧西塩田小学校という廃校)、軽トラ、制作資金(月収16万円の深夜のレンタルビデオ屋さんスタッフ)、住居(離れで居候)。あとは作品を作るだけである。作るべき作品は既に模型まで用意してあった。久し振り…
当番ノート 第34期
「愛し合ってるかい?」 というのは日本人ロックンローラー忌野清志郎の有名な決め文句だが。 「愛し合っているかい?」というのはジョンレノンとオノヨーコが言う分には納得がいくが、 私達日本人にはどうも違和感があり、日常でそんなことを決め文句に使っている奴がいたら率直に言って野暮ったいし、 気味が悪いし、うざったいし、信用ならない。 なにかしらのセミナーに勧誘されるか、質問の意図がわからずに助平なことを…
当番ノート 第34期
たかだまなみです。 ようこそ私のアパートメントへ。 多少、悪趣味なアートを飾っていますが、どうぞどうぞ中へどうぞ。 ドリンクに氷を入れて平気ですか? この夏はというと、29年間の岐路を振り返っていますが、実はあんまり気持ちの良い作業でもないんです。 思い出したくないことは、汚れて手入れの必要な靴みたいに、いつまでも放置されがちだし、 例にも漏れず私も長いこと放ってきたんです。 否、放ってきたという…
当番ノート 第34期
地域との挨拶 まず、私が子どもの頃、30年位前の話を。 墨田区は地域と家庭の絡みが比較的、他より濃い土地柄だと思います(都会のわりに)。朝の通学路では出会う大人だいたいに挨拶を交わしながら、小学校へ通学していました。私だけでなく私の友人も同じように挨拶をしていたので、地域の空気全体が通学中の子ども達を見たら送り出す。こんな雰囲気が街に満ちていたんだと思います。子ども会も盛んで、プール旅行…
長期滞在者
どういうわけか、夏は毎年必ず、とてつもない緊張感を抱える仕事が入る。 2017年の夏は、バスケットボール女子U24 4カ国対抗2017での競技MCがそれだった。 8月12日、13日、15日に開催されたこの試合で、私は12日と15日の2日間を担当した。 国際試合でのMCを務めるのは初めてのことで、前日となった11日夜のリハーサルからわくわくしていたが、 同時に、経験したことのない国際試合の空気に飲み…
当番ノート 第34期
運転免許を取って以来、一度も運転していない。 東京に来るまでの人生の中で、熊本の市電以外の電車に乗った回数は片手で数えるほどで、遠出するとなれば足は父の車かバスだった。僕は車社会のただ中で育った。でも東京圏の鉄道生活が長くなると、レールに沿って進んでいる安心感に慣れ切ってしまった。たまに狭い東京の街をぶっ飛ばすタクシーのお世話になることもあるけれど、乗車中も彼らの仲間には絶対になりたくないと思って…