あたたかさを知ったのは 犬を抱きしめたときだった
捨て猫や捨て犬を2度拾い 怒られて また凝りもせず犬をもらってきて
それから13年間そばにいてくれた友達だった
静かに静かに寄り添ってくれた 君のあたたかさは私を優しく撫でてくれた
まいにち まいにち 河川敷をいっしょに散歩した 風が気持ちよかったね
君は太陽と土のにおいがしていた それから私の腕のなかで最後に眠った
こころのどこかで 美しく無垢な生き物を 私は支配していたのではないか
という気持ちで もういない君に泣きながら何度も夢のなかで謝っていた
半年ほど前 新しく2匹の猫の友達と暮らし始めた
猫を保護する団体から声をかけられて 引き取った子達
抱こうとすると腕からするりと飛び出し逃げていく
甘えてきたのかなと思うと 加減せず引っ掻いたり噛み付いて腕は血だらけ
親兄弟を知らない子達なので ルールや加減なんてわからないんだ
最初はお互い恐る恐る接していた 知らない部屋知らないひと 怖かったね
今はそれなりにうまくやっていると思う 手にひっかき傷で血が出ることもほとんど無い
遊びたいときに遊び 食べたい時に食べ 甘えたいときに甘える
食べ物盗んだり 部屋をめちゃくちゃにするので 掃除をすることがとても増えたけれど
私の膝の上に体を預け 無防備にすやすや眠り 悲しいときにはそっと隣にやってくる
美しい目の色をした自由で気高く 日向のにおいがする
無垢な君たちに触れることは 私のやわらかな よろこび
けれど ときどき窓から外をみて鳴いたりする君をみて思う
ねえ太陽の下を歩いたり 狩りをしたり 草のなかを散歩したい?
どんな形の鳥がいるのか 木はどんな香りがするのか 知りたい?
いつか君たちに外の世界を見せてあげようね
自由を奪い部屋に閉じ込めて”ペットを飼う”ということの傲慢さにときどき苦しむ
いのちのとなりに居ることの あたたかさと厳しさ