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2F/当番ノート

なんでシンガポールでけん玉なのか 2

当番ノート 第26期

こんにちは、シンガポールでけん玉をやっている松尾です。

前回はシンガポールの子供たちのけん玉がうますぎて、意気消沈しているところでした。
もともとけん玉をシンガポールに広めるつもりでいたのに、既に広まっている。しかも、15年やっている俺よりもうまい!さて、どうしたものか。

9月中旬頃から、Haze(霧)が立ち込めるようになりました。スマトラ島で森林を焼いた時の灰がシンガポールまで飛んでくるのです。変な臭いがするし、肺にも悪いです。ひどい時は見通しがかなり悪くなります。今年はHazeの始まる時期が早いようです。運が悪い…

せっかくの夜景も台無し

せっかくの夜景も台無し

そんな中、練習はどうだったかというと、人がほとんど来ないこともありました。シンガポールにけん玉を広めると言っているのに、自分の身近な人ですら巻き込めんなんて…続ける意味あるんかなって思うこともよくありました。
NUS(シンガポール国立大学)の学生は宿題が多く、特に学期の中盤、終盤には締切に追われています。クラブ活動が日本よりは盛んではないような気がします。しかも僕はまだローカルの友達も少なかったので、口コミにも頼れません。クラブを立ち上げて人を呼び込むというのはなかなか難しかったのです。

それでも、ありがたいことに重ねて足を運んでくれる人もいました。実際にけん玉を触ってもらうと、面白くてまた来てくれるという人もいます。意外に思うかもしれませんが、初めて練習に来てくれた人でも、とめけん(玉を剣先に指す技)が1回は入ります。飛行機(玉を持って、剣を指す技)ができるようになる人もいます。飛行機ができれば、日本ではけん玉がうまいと言われるレベルです。

10月にクラブの名前をKendama Club Enに決めました。人の「縁」を大切にし、「円」になって切磋琢磨していきたいという思いがこもっています。実は他にも掛詞になっています。縁、円(日本語)、恩(中国語発音En1)、Enjoy,Entertain(英語), Enteresan(トルコ語「面白い」)。最後の方はこじ付けに近いですが。

Enの集合写真

国際色豊かなEnの仲間たち

当時書いた記事がこちらです。クラブの発展に思いを馳せています。
http://aebsjpn.com/2015/11/15/15/00/28/28

Big Projectへ
シンガポールではけん玉が流行っていると書きました。でも、それはまだまだ子供の間だけです。けん玉を見たことはあっても、Kendamaという名前を知らない人はまだまだたくさんいます。シンガポールにけん玉が入って、2,3年くらいしか経っていません。マレー系の子供がプレイしていることが多いので、けん玉がマレーの伝統玩具と思っている人もいるようです。日本の玩具であると知っている人は少ないです。
日本では、学童保育などでむしろ推奨される類のものですが、シンガポールでは必ずしもそうではないようです。子供たちがけん玉で遊びすぎて勉強の妨げになると考える人やけん玉を振り回すのを危険だと思っている人もいます。けん玉に対して少なくともマイナスの印象を持っていない、日本とは対照的だと感じました。

NUSの外でもけん玉の普及活動をしたいなと思いました。僕らだからこそできる、何かをやりたいと思いました。Big Projectと作戦名を付けました。
最初はむしろ、シンガポールにけん玉を広めるという目標を立てた以上中途半端ではいけないという義務感が先行していた気がします。

「シンガポールの団体になくて、自分もしくは自分たちにあるものは何か。自分たちはどうしたら社会的に価値のあることができるか。自分たちはどんなイベントに対して本気になれるか。」

ある友達は大きなことがしたいという意見でした。一方、僕はサイズというよりもそのイベントに関わってくれた人がけん玉を続けて楽しんでくれるということを重視していました。例えば、シンガポールの小学校や中学校などに行き、けん玉を教えるという活動です。

まずはシンガポールの状況を知り、全力で頭を使い、色々な人に相談すること。
たまたま、シンガポールのけん玉会社CerealKendamaを作ったNUSの学生がEnのFacebookページに連絡してきました。よし、会おうということになりました。

初ミーティング

初ミーティング

技を教えあうなど、普段のクラブの活動ではできないことができ、とても楽しかったです。彼らも本当にけん玉が好きなんだなと直感的に分かりました。まさか海外のプレイヤーとけん玉を楽しめる日が来るなんて。10年前には思いもしなかったことです。
こいつらとの出会いは間違いなく留学生活のハイライトになると思います。今後も僕の投稿に何回か登場します。

さらに、小学生の頃に大変お世話になった、日本けん玉協会の北摂支部の方とskypeで相談しました。半年ぶりです。シンガポールでも元気にやっているねと話が弾みました。
それにしても、10月末なのに、シンガポールにいると季節感を感じないものです。日本はもう秋かとしみじみしました。

CerealKendamaのメンバーがEnの1学期の最後の練習に来てくれました。パフォーマンスをしてくれ、新しく来た人にもけん玉を教えていました。僕自身、この日のためにパフォーマンスを練習して、披露しました。親子連れやアメリカやカナダ人の学生にけん玉を楽しんでもらい、非常に印象深い練習になりました。

1学期間熱心にけん玉に取り組んでいた、アメリカ人の学生と。アメリカに帰ってしまう。

1学期間熱心にけん玉に取り組んでいた、アメリカ人の学生。

そんなわけで、1学期の練習が終わりました。けん玉を間違いなく、好きと言えるようになりました。1学期過ごす中で、自分の存在意義も見えた気がします。
けん玉を好きというのは技術には関係ない。楽しむことが大事なんだ。
自分は技術では劣るかも知れない。でも、精緻さでは勝てるかも知れない。シンガポールの人が知らない技も知っている。人に教えることは楽しいし、技が出来た時の笑顔を見るのは嬉しい。クラブの活動、Big Projectはけん玉の楽しさを人に伝えられる。もっと誇りに思おう。

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告知 けん玉イベント”Kendama Fest! Japan X SG” (4/30まで、毎週告知していきます。)
今月末、クラブ主催でけん玉イベント”Kendama Fest! Japan X SG”を開催します!
https://www.facebook.com/events/1703933343182294/
4/30(土)、シンガポールにて開催予定です。日本、シンガポールのけん玉有名プレイヤーが参加します。フリースタイル大会、日本けん玉協会による指導会、座談会、けん玉団体パフォーマンス大会、向井六段によるパフォーマンスという内容です。
けん玉を見るのもよし、選手として参加するのもよし、けん玉の話を聞くのもよしというイベントです。是非、お越し下さい!!

松尾 健司

松尾 健司

けん玉歴15年。小4のときにけん玉4段を取得。交換留学先のシンガポール国立大学(NUS)にてKendama Club Enを立ち上げ活動中。4月30日にシンガポールにて、Kendama Fest! Japan X SGを開催する予定。
他に鉱物採集、語学、旅行を趣味にしている。

Reviewed by
青木 直哉

シンガポールでは勉強の邪魔になるから、という理由でけん玉とか、まぁそういうことに限らず、(ジャグリングでもよく言われる)いわゆる「遊び」を敬遠する人も多いみたいです。

果たしてけん玉っていうのは、「余計な」ことなんでしょうか。

松尾さんは、けん玉を通して、自分の「挑戦」をしている。

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