飲食業などというものを営んでいると、結局のとこ「お客様に喜んでもらってナンボ」という要素が少なからずあります。
人(お客様)に喜んでもらうということは、すなわち人に認められるということ。
「人に喜んでもらいたい」から来る「人に認められたい」という欲求。
そう・・・今の私はある意味、承認欲求の塊なのです。
何を言いたいかと申しますと・・・
本来、今回書くつもりだった内容の記事を、納得できる形でうまく書き上げられなかったわけでありをりはべりいまそかり・・・。
であれば、せっかくなら人に喜んでもらえるものを書こうかと思うわけでございます。。
というわけで今回は、ウケを狙いに狙い、媚を売りに売りまくりのパスタのお話・・・(笑)。
多くの人がパスタといってまず始めに思い浮かぶのは、恐らくスパゲッティだと思います 。
人によっては「パスタ=スパゲッティじゃないの?」という人も少なくないのではないでしょうか?
しかし、一口にパスタといっても色々あります。
皆さんが耳にしたことがあるかもしれないものをいくつかあげますと・・・
カッペリーニ、フェデリーニ、リングイネ、フェットチーネ、マカロニ、ペンネ、ラザニア、ラビオリ等々、いくつかは聴き覚えがあるものがあるでしょうか?
パスタと呼ばれるものには実際、数え切れないほどの種類と名前があり、あくまでも総称で、「誰かが新しいパスタを作る度に種類と名前が増えていく」くらいの勢いなのです。(ちょっと大げさ)
ですからその実、そりゃもう数え切れないくらいのパスタが存在しています。
私が把握できているパスタですら、恐らく実在するパスタ(その種類は300種類以上と言われている)の主要な1~2割程度ではないでしょうか。
このイタリア語である「パスタ」
多くは「麺類」という意味で使われていますが 、もっと広くとらえると「粉を練った生地」という意味になります。
そもそもの語源が「ペースト」を意味するものですので、 広義にはパン生地やケーキの生地も「パスタ」と表現することができるのです 。
ですが、今日は日本語の「麺類」とほぼ同義の概念をもつ「パスタ」に限定した話にしておきましょう。(というか、これ以上私には広げられません笑)
というわけで、このパスタ ・・・麺類という意味に絞って考えると、乾麺と手打ち(いわゆる生パスタ)に分けることができます 。
乾麺は皆さんご存知スパゲッティに代表されるもので、既に形が成型されて乾燥していて硬いもののこと 。
手打ち(パスタ)は手打ちうどんや手打ち蕎麦と同じく人間の手で粉と水分で練り上げた生地を人の手で成型されたもの、水分を含み麺に変成がある状態のもの。
私も日々、粉を水や卵で練りあげた生地を作り、薄く延ばして細長く切ったり、太めに切ったり、クルクル巻いてみたり、中にネタを包み込んだりしています 。
そんな手打ちパスタ・・・食べたことのない方も少なくないのではないでしょうか?
手打ちパスタには基本的に乾麺特有のツルツル、シコシコ感はほとんどありません。
もしかしたら、食べなれない方にはその食感に違和感を感じ、あまり得意ではない方もいらっしゃるかとは思います。
かくいう私も初めて手打ちのパスタを口にした時は、まったくおいしいとは感じませんでした。(笑)
が・・・数多く食べているうちに、粉の甘みやソースと交わる一体感、乾麺とは違うモチモチとした食感に、今では美味を感じるようになっています。
手打ちパスタには種類や配合はもちろん、作るお店や作る人により様々な味わいや食感がありますので、もし何かしらの機会に手打ちパスタを食べて合わなかったからと言って、一度食べただけですべての手打ちパスタを食わず嫌いにはならないでもらえたらなぁ・・・とは思います。
とはいえ、食べ慣れさえすれば「手打ちパスタ=乾麺よりおいしい」というわけでは決してありません。
当然、乾麺には乾麺のよさがあり、手打ちには手打ちのよさがありますので、単純にパスタだけを比べてどちらががおいしいということを言うことはできないのです。
あくまでパスタ(料理)はソースや具材と合わさって初めて評価ができるものだと認識していただけると幸いです。
さて、乾麺手打ちにかかわらず、星の数あるパスタ・・・どのように選びましょう?
長いものがいいのか、短いものがいいのか?
細いものがいいのか、太いものがいいのか?
薄いものがいいのか、厚いものがいいのか?
もちろん、好きなパスタ、食べたいパスタを選ぶのが1番ではあるのですが・・ここからは私の持論ですのでご参考までに。。。
私がパスタを作る際にベースとして大切にしていることは「一体感」。(慣れてくると、そこにアクセントを加えたり、意図的にバランスを崩したりする事もありますが・・・それはまた別のお話)
ではパスタにその「一体感」を出すためにはどうしたらいいのか・・・?
手っ取り早いのは「麺」の存在感と「ソース」の存在感を合わせることです。
麺は太さが太ければ太いほど、厚さが厚いほど麺の存在感は増します。
ソースは重ければ重いほど存在感が増しますし、具材は硬ければ硬いほど、大きければ大きいほど存在感が増します。
これらのバランス、存在感を整えることにより「一体感」のあるパスタが作りやすくなります。
皆様が手に入れやすく、親しみやすいスパゲッティで説明しますと・・・
シンプルなオイルベースのようなサッパリとしたソースには細めの麺を、
カルボナーラやミートソースのような濃厚なソースには太めの麺がお勧めです。
また、同じスパゲッティ(ロングパスタの乾麺一般に言えることですが)を語るうえで、太さとは別に忘れてはならない大切な要素・・・
それは乾麺をブロンズ加工とテフロン加工という二種類に分類できるということ。
ブロンズ加工のパスタとは、パスタの表面に細かい溝があり、手で触ると少しザラザラとしていて粉が吹いたような見た目のパスタです。
細かな溝にソースが絡みやすく、もっちりとした歯ごたえであることが多いのに対し、
テフロン加工は表面に溝がなく、ツルっとした触感と見た目のパスタ。
喉ごしがよく、しこしことした歯ごたえであることが多いのが特徴です。
どのような製造方法によりこのような違いが出るかという話は・・・少しマニアックなので割愛しましょう。(笑)
皆さんの家に常備している(?)パスタはどちらでしょうね?
ちなみにそれぞれの麺のソースとの相性はと言いますと・・・
サラッとした軽いソースにはブロンズ加工のパスタの方がよく絡み、テフロン加工だとソースがツルツルと滑り落ちてしまい味の乗りがよくありません。
逆にしっかりとしたソースにはブロンズ加工だとソースが絡みすぎて重たい印象になり、テフロン加工だとバランスがとりやすくなります。
これらはあくまで私の持論であり、誰に言わせても必ずの正解とは限りませんが、ぜひ参考にしてみてください。
というわけで、最後に一皿、皆様にも試しやすいパスタをご紹介しましょう
「フレッシュトマトと季節のフルーツの冷製スパゲッティ」
1人前
フレッシュトマト 70g
お好みのフルーツ 30g
ビネガー 5g
塩 2g
砂糖 3g
オリーブオイル 30g
スパゲッティ 80g
ミント・バジル 数枚
リコッタチーズ 大匙1
7月も既に下旬・・・まぁぁぁぁぁぁぁぁ暑い。
こんな季節にアツアツのパスタなんて食べたくないですよね。
というわけで本日は冷製パスタです。
さて、まずはトマトを湯剥きしましょう。
面倒くさい方・・・いいです、しなくても(笑)
ただどうせパスタをゆでるのにお湯も沸かさにゃいかんわけですから・・・
また、今回に限らず、湯向きはお湯を沸かすのが面倒臭いから嫌いだという方・・・裏技としては、ヘタの部分からフォークをさしてガスコンロの直火で皮目を炙ってください。
氷水に落とせばペロッと剥けますよ。
さて、そんなトマトは湯剥きを終えたら一口大にカットしてください。
プチトマトだったら半割でいいですね。
カラフルなプチトマトで作ったら彩りがより綺麗になるでしょう。
そしてお好みのフルーツをトマトと同じくらいのサイズにカット。
今の季節だと・・・・例えば桃などがいいんじゃないでしょうか?
ちょっと前までならサクランボやアメリカンチェリー、もう少ししたら葡萄や無花果なども合うでしょう。
料理にフルーツはちょっと、という方・・・「酢豚にパイナップル」を想像していませんか?
今回は「トマト」というフルーツに近い野菜と合わせることにより、酢豚とパイナップルとは全く違う、素敵な相性のハーモニーを楽しめると思います。
無理強いはしませんが、まず一度ぜひ試してみてください。
どうしても嫌だという方は・・・レシピのフルーツ分、トマトの分量を増やしてください。
さて、トマトと果物のカットができたら蓋つきの瓶のような密封容器にトマト、フルーツ、ビネガー、塩、砂糖、オリーブオイルと入れて冷蔵庫・・・短時間であれば冷凍庫で冷やしておきましょう。
ビネガー・・・何でもいいのですが、できれば酸味の柔らかなビネガーを使った方がよりおいしくなります。上質なワインビネガーやシードルビネガー、フランボワーズビネガー等々がお勧めです。
また、オリーブオイルも加熱せずにソースにするので、エキストラバージンオリーブオイル。できればこちらもより上質なものをお勧めします。
まぁ・・・使いかけがあればとりあえずご家庭に貯蔵しているもので結構です(笑)
選ぶパスタはどうしましょう?。
今回は酸味のあるサッパリとしたトマトのパスタ。
皆さんならどんな麺を選びますか?
もし、私が選ぶのであれば細め(1.3mm位)のブロンズのスパゲッティを選びます。
カッペリーニだとちょっと具材感に麺が負けてしまい、皿の中で温度が上がるとともにソースが少しづつ緩くなるので、より絡みやすいブロンズ加工の方がお勧めです。
・・・はい、無理には買い足す必要もないので、自宅に残ったパスタがあればそれをつかってください。(笑)
それではさっそく(ようやく?)、麺を茹でましょう。
たっぷりのお湯に濃度1%になるくらいの塩を加えます。
この塩・・・なぜ入れるのか?
答えは単純、麺に下味をつけたいからです。
では同じ小麦粉で作られたうどんやそうめんを茹でる際には何故入れないのか?
何故なら、パスタは生地自体にほとんど塩が使われていないのに対し、うどんやそうめんは生地自体にかなりの塩が練りこまれているからです。
なぜ生地に塩を入れたり入れなかったり・・・というのは粉の種類によりグルテンが云々、と面倒くさくなるので、こちらも本日は割愛します。(笑)
下味の乗っていない麺は仕上がりの味わい(一体感)に、かなり影響します。
お湯に対して1%の塩・・・慣れないと結構大量に見えますが、ビビらずにしっかり入れましょう。
とても大事です。
また、お湯に塩を入れるのは沸点を上げる為という説もありますが・・・
水に塩を加えると沸点が上がること自体は事実ですが、人が口にできるレベルで塩を加えたところで上がる沸点は誤差のレベル。
残念ながら、麺の茹で上がりに影響するレベルではありません。
話が逸れました。
改めまして、今度こそ麺を茹でましょう。
冷製パスタにする際、いつもと同じゆで時間で作ると、冷水でしめた麺は通常より引き締まって硬すぎてしまいます。
使うパスタの種類やメーカーにもよりますが、いつものゆで時間より2分ほど多く茹でてみて、念のため途中で1~2本引き上げて冷やして味見しながら好みの硬さに調整してください。
さて、引き揚げたパスタを氷水で冷やすのですが、この氷水にも塩を一つまみ加えましょう。
真水で洗うと、せっかく麺にしみ込んだ下味が落ちてしまうので・・・。
きっちりと冷えたら麺を引き揚げ、タオル等でキッチリと水気をふき取ってください。
この水気をしっかりとふき取るのもポイントです。
水が残っているとソースが薄まってしまいますから。
スープに浮かぶうどんやラーメンと比べ、「水」に対するソースの塩梅の変化が大きいので要注意です。
このキッチリ水をふき取った冷たい麺はそのまま盛り付けのお皿へ・・・
お皿も冷蔵庫などで冷やしておくとよりおいしさも雰囲気もアップです。
ここまで来たら、先ほどから冷やしておいたトマトの瓶をシェイクシェイクシェイク!!
トマトやフルーツの水分とオリーブオイルが乳化してトロッとしたソースが出来上がります。
そのままパスタにかけてほぼ完成。
ミントやバジルを散らして爽やかに・・・。
リコッタチーズ(あった方がお勧めですが無くてもOK。お好みのクリーム状のチーズで代替え可)を添えて完成です。
夏らしいサッパリ冷製パスタ。是非お試しあれ。
ピリ辛が好きな方は、フレッシュの青唐辛子を適量みじん切りにしてソースと一緒にシェイクするといいでしょう。
その際の注意点としては、唐辛子を扱った手で身体の粘膜部には暫く触れないことをお勧めします 。
また、小さな傷口などにも触れてしまうとМっけを大分刺激することができます 。
軽く洗った程度では、意外とこのハンドパワーを失わないのでご注意を・・・。
特に眼をこすったりしてしまうと「バルス!」を唱えられたムスカ卿のようになってしまうので、くれぐれもお気を付けください。
また男性諸君は尿意を催した際は要要要注意です・・・ええ、これ以上は拡げません。(笑)
本日は以上・・・ではまた来週。