我々飲食店にとって・・・というより生きていくうえで、ですね(笑)
欠かせない存在の一つに「水」があります。
あらゆる料理に使うのはもちろん、洗う、冷ます、温める、そして飲む・・・
そんな水の恩恵を受けて生きている我々人間の体組成の大半は水からできています。
同様に、人間が生活してい地球の3分の2は水が占めていますが、そのうち97.5%は海水で飲むことができません。
我々人間が飲むことが可能なのが残りの約2.5%
つまりは地球上の水のうち、約2%の氷河と地表水と、残りわずか1%以下の地下水のみを我々は飲料用の水として利用することができるというわけです。
普段あまりあるように感じる水ですが、数字で見ると非常に貴重な存在に感じますね。
今年は梅雨の雨も少なく、例年以上の猛暑が予想されていることに伴い、水不足も心配されています。
必要な水をケチることはありませんが、無駄使いは控え、多少気を遣った方がよさそうです。(もちろん天候や水不足によらず、常にではあるのですが)
さて、皆様が「ミネラルウォーター」と呼び、コンビニやスーパーで購入できる水は、実は日本では4種類に分類されていることをご存知ですか?
皆様が普段「ミネラルウォーター」だと思って飲んでいる水も、実は「ミネラルウォーター」ではないかもしれません。
4つの違いをざっくりとわかりやすく説明しますと・・・
「ナチュラルウォーター」
特定の水源で採水された地下水で、認められる殺菌・除菌方法は加熱・濾過・沈殿のみ
「ナチュラルミネラルウォーター」
ナチュラルウォーターのうち、ミネラルが自然に溶け込み含有しているもの
「ミネラルウォーター」
複数の原水を混合したりミネラル分の調整、または転訛したもの
また、認められる殺菌方法も加熱・濾過・沈殿以外の方法も認められる
「ボトルドウォーター」
地下水以外の地表水や水道水を水源としたもの
よく目にし耳にするブランドの水は「ナチュラルミネラルウォーター」であることが比較的多いのですが、皆様も購入した所為商品のラベルの裏、製品名を確認してみると面白いかもしれないですね。
ところで有料の水と言えば数年前に、テレビでもおなじみの某有名シェフが「黙って水代を取られた」と批判され世間の話題になっていました。
一口に「炎上」とはいっても、様々な論点や切り取られ方で議論をされ、それぞれの立場なりに意見や価値観があるもの・・・。
仕事柄、決して無関係ではいられないという視点から、それはそれは興味深く経緯を拝見していました。
ちなみに私個人の意見としては・・・某シェフ及びお店の対応の面に関してはさておき、店で提供されるもの、他人から受けるサービスに関してはすべて有料であっても問題ないと思っています。(もちろん表記や説明は必要ですが)
極端な話、それが例え水道水であったとしても、です。
日本は非常にものに恵まれ「無料」にも慣れています。
そして「無料」という意味合いで使われる「サービス」に満ち溢れています。
商売としての付加価値として競争に競り勝つ、という意味合いでは決して悪いことではないでしょう。
それが資本主義社会であり、市場の原理です。
しかし、それはあくまで「企業努力」であり、サービスの享受する側(客)が「あたりまえ」だと思うことではありません。
「Service」とはそもそも、売買した後にモノの残らない高揚や満足を提供する、形のない「財」のことをさす言葉です。
そう・・・あくまでも「財」なのです。
「財」に対して、それを無償で提供するか対価を得るかを決める選択権は、あくまで「サービス」をする側にあるべきだと思います。
(もちろん、選ばれる選ばれないは別の問題ですが)
それは「水」であれ「時間」であれ「空間」であれ・・・
先日ネットでこんな記事を見つけました
「コンビニのトイレを借りたとき、お礼に「うまい棒」を何本買えばいいか悩んでいるひとへ」
(Shinya SUZUKI さんのnoteより)
是非全文読んでいただきたい内容ですが、ざっくりとまとめますと
・トイレを1回使用したときにかかる費用は約3.5円
・うまい棒(10円)の1本当たりの利益は1.5円から3円と言われている
・利益の平均を2円/本とすると、うまい棒を2本買えば、トイレのコストをまかなうことができる
・2回流したときは、うまい棒3本
・さらにたくさんお尻をふいてトイレットペーパーを沢山使った時は、うまい棒4~5本が目安
といった内容です。
一見、冗談のような内容ですが、その発想や考え方は非常に素敵で、思いやりに満ちていると思います。
私はどうしても経営者としての視点にはなってしまうのですが、家賃から交通費、水道光熱費から接客や準備の時間、お客様が滞在する空間に至るまで、事業者から見れば基本的にすべて「コスト」です。
改めて申し上げますが、「無料」はあらゆる「ホスピタリティー」の中の一つであり、あくまでも企業努力の方法としての選択肢の一つ。
決して「あたりまえ」ではないという認識を頭の本の片隅に残しておいていただければと思います。
また、その商品を創り出す為のコストはその時の原価や、その瞬間の手間隙のみではありません。
その技術を身につける為に大きな先行投資とも言える時間やお金、多大な努力といった大きなコストがかかっています。
お金や商売、競争が絡んでしまうので一見わかりにくいのですが、つまるところは双方における「思いやり」の問題ではないでしょうか?
いや、まぁ別に「お客さん」が「経営者」や「事業者」に常々気を遣えというわけではもちろんありませんし、逆に経営者や事業者は常に気を使うべきで、それが足りていない事業者、サービスの提供者も多々存在するとは思うのですが・・・
そう・・・人と人との間に必要な「思いやり」が、より多く、より大きな幸せを産み出すのではないでしょうか?
ネットが普及した現代は「比較」と「検討」からくるコストパフォーマンスが求められる時代です。
サービス提供者がコストパフォーマンスを上げる方法は二つ
クオリティ(内容)を上げるか、価格を下げるか・・・
前者が常々行われて、各業界自体が切磋琢磨でレベルアップすることが理想的ですが、消費者としては後者の魅力も捨てられないのが事実です。
しかし後者がエスカレートすると価格競争によるデフレスパイラルが起こりどうしても業界全体が疲弊します。
疲弊した先には・・・我々の業界ではワ〇ミや、〇き屋のような事件が出てきてしまうわけです。
今回は他人様の記事のご紹介ばかりで大変恐縮ですが・・・
「お店が無くなる理由 」(こちらは有料記事で尚更恐縮ですが)
と、その記事に対する批評記事
「飲食店オーナーのコラムに賛否両論 「大好きな店を閉店させたくないならちゃんと通おう」は正しいのか」(こちらは無料記事です)
もちろんお客さんが来ない理由はお店に理由がある事も大変多いですし、常に店としての鮮度を保つことは不可欠、常連客を大切にすることも当然、等々は大前提としたうえで・・・。
(飲食業に関わらずですが)、商売には・・・そしてその維持にはお客さんであり得るあなたの力、みなさんの力、一人一人の積み重ねが非常に重要で、必要不可欠なのです。
どうしても外食業の話題になってしまって申し訳ありませんが、
日本人、外国人に関わらず海外の生活を経験した方が口をそろえて言うのが、「日本の飲食店は(クオリティに対して)安すぎる」ということです。
それは相対的に見て居酒屋さんから高級レストランに至るまで共通して言えることだそうです。
手前味噌にはなりますが、当店でもNY在住のお客様の全く別の2名から
「この店をそのままNYに持っていったら、値段を倍にしても日々満席で、ミシュランも1~2星(現状はビブグルマン)は確実にとれる。」
という、偶然にも全く同じ内容のお言葉を頂きました。
もちろんリップサービス分差し引いて聞かなくてはなりませんが・・・(笑)
といいますのは、決して自慢がしたいわけではなく、アメリカ以外のお客様からも似たようなお言葉を耳にすることができることを考えると、(当店に関わらず)国内レストランのコストパフォーマンスは世界的に見ると圧倒的であるということです。
コストパフォーマンスを求めること・・・それは決して悪いことではありません。
かくいう自分もネット検索で同一商品の価格の比較をすることも多々あります。
より良い商品をよりやすく手に入れることは素晴らしいことでしょう。
各業界内に切磋琢磨を産み出し、よりクオリティの高いものを作り上げる外的要因になり得ることも否定できません。
そして勿論、国内で国内の顧客を相手にしているからには、一概に海外と比較しても仕方がないかとも思います。
ただ、これ以上の・・・必要以上のコストパフォーマンスを追い求めるがあまり、「思いやり」を失ってしまうことは避けたいものですね。
仕事の顧客に対して・・・
あなたにお給料を出している雇用者に対して・・・
親兄弟に対して・・・
配偶者や恋人に対して・・・
自らを省みて、あなた自身ののコストパフォーマンスにはどの程度自信をもてますか?
と、誰に対してなのか、えらく説教めいた話をしつつ・・・今日の予約も空席が目立ちます。
不安な未来を憂うと、非常にのどが渇くので・・・とりあえず、水でも飲みますか(笑)