これからどんどんあなたとすごした季節がやってくる。
もうすぐ季節はあなたに出会う。
はじめて袖を通したセーターから
小さく出した指先が向かう先へ、
両手でつつんだカップの中
紅く染まったホットワインからあがる
シナモンの香りの湯気の奥へ、
表情も無くなった横顔が
「春のにおい、」とつぶやいたとき
かろやかに痛んだその場所へ、
そして、
一人天井を見つめて聞いた
蝉のざわめきのなかへ、と。
これからどんどんあなたとすごした季節がやってくる。
あなたのかたちに
すっぽりと穴の空いた季節たちが
行儀よく、無作法に、
どんどん、どんどん、やってくる。
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今週は、いつかの9月25日に、ことばを継ぎました。
季節に嫉妬していたときがあって
あんなにも360度、全方位的に
だれしもを包み込める、
一瞬にして時を超えたどこかへ連れていけるなんて
いくらなんでもずるいって、おもった。
だから、いまわたしはこうして
季節に負けじと文字を書いています。
平面の文字が、ふんわりと立ち上がるその時まで
そうっと、そうっと、
息を吹き込んでいます。