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3F/長期滞在者&more

家日記 2018年9月

長期滞在者

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家族や友人にあらゆる種類の距離感が存在するように、シェアハウスも住人の距離感は多様だと思う。

私が住む家はパーティーといった類のことをしないので、住人であらたまって集まるのは何かを意思決定する必要のある住人会議のときだけ。それ以外は好きなときやタイミングが合ったときに話すくらいだ。

私にとってはその距離感が居心地良いと思っていたけれど、最近ちょっと鍋をしてみてもよいかな、と思う。そういえば昔、庭で燻製をやったこともあった。秋になると「何かやろうか」と声をかけたくなるものなのかもしれない。

9月1日(土)
絹江ちゃんが青いキレイなワンピースを着て夜出かけていった。誰と会うのだろう、最近恋愛の話をしていない・・・。

9月2日(日)
今日はなぜか街からにんにくの匂いがする。時々こういうことがあるのだ。お風呂の排水口からもにんにくの匂いがする。パイプユニッシュ案件となった。しかしやっぱりどこかにんにくの匂いが残る。

9月3日(月)
純君の代わりにゴミを捨てたと報告したら、今井くんから「謝謝」とメッセージが返ってきた。彼は今中国にいるのだ。おみやげはあまり期待しないで!と言われた。

9月4日(火)
とんでもなく大きな台風が西日本にやってきて、関東も強風と雨。今井君も純君も海外にいるので、家は静かだ。絹江ちゃんが遅くまで帰ってこないので心配。どこか安全なところにいるならいいのだけれど。

9月5日(水)
5人中2人もいないと流石に静かだなと思う。台所に入るとき、最近は周囲に警戒しながら入るのだけれど気配を感じない。お願いだからいきなり飛び出してくるといったことはしないでほしい。

9月6日(木)
今井くんが帰国。早速近所にできた新しいカフェ情報が提供された。私も何度も歩いているのに気づかなかった。さすがである。

9月7日(金)
ようやく今井くんの顔を見る。リフレッシュしたようである。純君はいつ帰ってくるのだろう?絹江ちゃんは日付が変わっても帰宅する気配がない。昴君は夕食後にうっかり珈琲を飲んでしまい、変な感じだとぼやいていた。

9月8日(土)
来客が来ていたらしいのだけれど、昼寝していたせいで全く記憶にない。

9月9日(日)
純君が帰国。どうやらiPhoneを無くしたらしい。無くすと不便なのはLINE、あとは二段階認証などができなくなるので家賃の振込もできなくなるとのこと。このご時世、携帯電話を無くしたときのダメージは大きい。

9月10日(月)
純君がiPhoneを見つけた!なんとバーレーンにあったとのこと。今井君が関西へと旅立っていった。まだ台風の爪痕が残っていると思うのだけれど大丈夫だろうか・・・。それにしても今井君の移動量は相変わらずこの家の住人を抜きん出ている。

9月11日(火)
純君がうっかり家賃を2ヶ月分滞納していたことが判明。予約振込ができていなかったらしい。電気料金の引き落としができなかったため、コンビニ振込をしてもらう。

日付が変わった頃、家には純君と絹江ちゃんがいるのだけれど、本当に静か。この家はわりと都心にあり、近くに大きな道路もあるのに静かなのだ。

9月12日(水)
驚くほど家に人気がない。5人も住んでるのに。

9月13日(木)
絹江ちゃんからMUSEという雑誌を貸してもらった。安室ちゃんが特集。私はお礼にやっぱり安室ちゃん特集のSweetを貸した。Sweetなんてあまりにも「女の子らしい」雑誌で、私は今まで買ったことがないのだけれど特集に惹かれて買ってしまった。これを安室特需と世間は呼んでいるのだろうな。

9月14日(金)
絹江ちゃんから近所にベーカリーカフェができたよ!という情報を住人チャットに共有してもらった。絶対に行かねば・・・。

そしてこの日は記念すべき、私がGと直接対峙した日となった。しかし残念ながらGは洗濯機の下へ。

9月15日(土)
この日から出張へ。洗濯機の下に残された残骸は、後日純くんに始末してもらうこととなった。申し訳ない・・・。

9月23日(日)
出張先から帰国。あまりにもクタクタで荷物の片付けが後回しに。夕食を作る気力もなく出かけようとしたら絹江ちゃんとすれ違って「おかえりなさい!」と声をかけられHPが回復する。

9月24日(月)
祝日。洗濯機置き場の近くにゴキブリホイホイが置かれていた。今井君と昴君が設置してくれたとのこと。ありがたい。

9月25日(火)
明け方から雨で家の中がしっとり。台風が近づいていることを知る。台風多いな・・・。

9月26日(水)
近所のカレー屋でテイクアウトのお弁当を待っていたら、今井君と遭遇した。どうやら季節の変わり目で今井君は調子を崩していたのだけれど、たくさん睡眠をとって回復したとのこと。確かに寒かったり暑かったりである。

9月27日(木)
涼しい。というよりは肌寒いくらい。今井君は長袖。昴君はパーカーを羽織っている。私も押入れからニットのカーディガンを出す。押入れの匂いがするカーディガン。

9月28日(金)
驚くほど静かな夜。居間に雑誌Penが置かれていた。特集は「新しい働き方」。きっと持ち主は純君だと思う。そういえば昔、絹江ちゃんがOggiを居間に置いておいたら昴君が興味深そうに覗いていた。私も今度雑誌を置いてみようか。私はあまり雑誌を買わないのだけれどPOPEYEはたまに買ってしまう。

9月29日(土)
家の中がしっとりとしているので居間は除湿機がフル稼働である。

9月30日(日)
ものすごい台風が近づいているというのに私と昴君以外は外出している模様。みんな無事に帰ってくればいいのだけれど・・・。深夜は家がギシギシとなるし、遠くから救急車の音が聞こえてきて怖かった。昴君と今井君が部屋にいるのはなんとなくわかるのだけれど、絹江ちゃんと純君はどうしてるんだろう。

浅井 真理子

浅井 真理子

もの書き。
エッセイを書いています。

Reviewed by
黒井 岬

思わず冬休みを思い出してしまうような冷え込む日が、そういえば先月はあった。嵐がいくつも日本の上を通り過ぎた。荒れた天気や空気の匂いの変わる速さに驚いているあいだに、虫の心配をしないで済む季節が少しずつ近いている、はず‥。

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