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3F/長期滞在者&more

「今、世界に起きている現実から、あなたは目を逸していませんか?」【KATY PERRY「CHAINED TO THE RHYTHM FEAT. SKIP MARY」(2017年2月10日リリース)】

長期滞在者

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今日の私はずっと笑っているな。
そのことが自分でもよくわかる日だった。

2017年6月20日、世界難民の日に、UNHCRユース/J-FUNユースは10周年を迎え、
記念のパーティーが6月24日に行われた。

難民問題や人道支援に対する学生の関心の高まりから2007年6月20日に発足した「UNHCRユース」、
そして、2009年6月26日に新たにスタートした後身の団体である「J-FUNユース」。

「難民を取り巻く社会の状況を良くする」
「将来社会で活躍する人々の学びの場となる」

この2つの理念のもと、UNHCRやNGO、企業と協力しながら「普段着の難民支援」を軸にしている。
「普段着の難民支援」とは、誰もができる身近な活動を表す。
また、深刻になりがちな難民・人道支援に「FUN(楽しさ・面白さ)」の要素を加味していくために、
アイディアを考え続けている。

2007年4月。
前年にカンボジアに行ったことをきっかけに難民問題に関心を持った私は、
その年のゴールデンウィークに、一人でミャンマーに行こうと考えながら、ある街を歩いていた。
いろいろと思考を巡らせて歩いている道の途中で、
たまたま、当時のUNHCR駐日事務所の副代表と会った。
時間があるならとお茶に誘って頂き、ミャンマーへの旅でいろいろ考えていた時だったので、
アドバイスが欲しくてご一緒した。

「学生達のユースを立ち上げようと思っている。よかったら、お姉さん役として参加してみないか?」と、
その席で声をかけて頂いた。これがきっかけで、ユースの発足から関わることになった。

聡明でユニークで、まっすぐな学生たちとの出会いは、刺激的だった。
難民支援に関わり出したもののまだまだ勉強不足だった私は、彼らと言葉を交わすことで、学びを深め、
自分に何ができるかを掴んでいった。

以来、主にユースの主催するイベントの司会などで関わって、2017年に10年を迎えた。
私は今年ラジオDJとして20周年となるので、その半分には、この難民支援との関わりがある。

10周年のパーティーの告知文でこの表現が私はとても好きだった。
“それぞれの「魔法瓶」の中で温め続けている「難民支援マインド」”

ユースを卒業したメンバーは、世界のあちこちにちらばり、各々の力を発揮している。
その活躍を耳にする度に、私は意欲が掻き立てられる。
世界中に「魔法瓶」を持つ仲間がいるというのは、とても心強い。

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この1ヶ月、随分と余裕のない日々だった。
一瞬でも気を緩めたらやるべきことが終わらない。

新しい音楽を聴いて頭をリフレッシュしたいと思って、
Apple Musicで選んだ、ケイティ・ペリーのニューアルバム『WITNESS』が、すっと馴染んだ。
1曲目の「WITNESS」が、とても自分に近い感覚がして好みだった。
そのまま聴き進めていたら、アルバム全曲どれも好きな曲ばかりだった。
私の中で勝手に彼女はカラフルなポップスターという印象があったのだが、どうも違う。
私はすぐにこのアルバムをCDで買った。

このアルバムを聴こうと思ったのは、第59回グラミー賞で、
「CHAINED TO THE RHYTHM FEAT. SKIP MARY」を披露した時の彼女のパフォーマンスがかっこよかったからだ。
今年のグラミー賞は、アメリカのトランプ大統領への“NO”の意志表示をするアーティストが多かった。
私は彼らの声を上げる姿に共感していた。

手にしたアルバムのブックレットで、「CHAINED TO THE RHYTHM FEAT. SKIP MARY」の歌詞を確認した。
冒頭から“Are we crazy Living our lives thrugh a lens”と、
レンズ越しに世界を見ながら生きていることについて、問いかけてくる。

“So put your rose-colored glass on And party on”

この曲のMVでは、パステルカラーのテーマパークでにこやかな顔で過ごしているケイティ・ペリーが描かれている。
そして、彼女が赤と青の3D眼鏡をかけて見ている映画から、この曲にフィーチャーされている、
ボブ・マーリーの孫であるスキップ・マーリーが出てきて、こう告げたことをきっかけに、彼女は眼鏡を外し、立ち上がる。

“It is my desire Break down the walls to connect,inspire”

壁を壊し、繋がり、思いを奮い起こす。

難民問題は「世界の問題の縮図」だと言われている。
最初にこの問題に関わり始めたころにはその言葉の意味がよくわかっていなかったが、今ならわかる。
難民問題には、紛争、貧困、差別、教育など、今の世界が抱えている問題の全てがある。

例えばもしも私が難民問題に関わらなかったら、この曲の歌詞のようにバラ色に見える眼鏡をかけたまま、
安全な幻想の中で世界を見ていただろう。
きっと、何も気づかなかった。

街を歩いていると、強烈な違和感を感じることがある。
まるで、世界には何も悲しいことなど起きていないのではないかと思うような景色に、
本当にこのままでいいのだろうか? と考えることは少なくない。

難民問題に関わるなんて、難しいことや大変なことをしていますねとよく言われる。
もう1度、2枚目の写真を見て欲しい。
大変なことをしているように見えるだろうか?

こんなふうに全員が笑顔を浮かべることができるのは、学び知っているからこそだ。
誰もが平和に暮らし、その人にとって幸せだと思える日々を生きられることを願い、
そのために行動するという、共通の思いが生み出した笑顔だ。

社会に向き合うことは、こんなに知らないことがあったのか? と思うことばかりだ。 
しかし、気づくことで自分の人生を豊かにしている人たちを私はたくさん知っている。
その誰もが優しくて、綺麗な笑顔を浮かべている。

つい最近、私にアラビア語を教えてくれている、イラク人の先生がこう言っていた。
「ここまでめちゃくちゃになってしまったっていうことは、今、時代が変わろうとしている時なのよ」と。

そう。どんどん変わっていく。
だからこそ、この曲も、2017年という時代に生まれたのだろう。

ねぇ、あなたは、本当に気づいていないの?

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪アウトロ3分32秒〜3分50秒に乗せて。3分51秒にくる“To the rhythm”を聴かせる。)

6月にリリースされたケイティ・ペリーのニューアルバム『WITNESS』。
このアルバムから伝わってくる彼女の思いは、言葉を超えて私の中に響いてきました。
この時代に伝えたいメッセージを、臆することなく音楽にした彼女の姿勢はとてもかっこいいです。
今、世界に起きている現実から、あなたは目を逸していませんか?

お送りしたのは、Katty Perry「CHAINED TO THE RHYTHM FEAT. SKIP MARY」でした。

武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
宮本 英実

変わるときなのかもしれない。映画のような現実が、もはや日常になりつつある。色眼鏡で見ていた世界を直視したときに見えてくる本当の世界があり、それを知ることで、変わる世界がたくさんある。私が知らなかった知りたい世界が武村さんの文章にあって、私もまた変わっていく気配を感じている。

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