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3F/長期滞在者&more

「あなたの心が輝く未来は必ず来ます。」【Alicia Keys「Underdog」(2020年1月9日リリース)】

長期滞在者

毎月1回、FOOL’S MATE channelで(ニコニコ生放送、FRESH)で放送している、動画生放送番組『Butterfly Vision』。
vistlipのギタリスト、Yuhさんがメインの番組で、sadsのドラマー、GOさんにもご協力をいただき、私はMCとしてこの番組に出演している。

4月の生放送はどのような形で行うのが良いかということを、番組に関わる全員で検討した。
そして、ソーシャルディスタンス、マスク着用などで感染症対策をしての生放送を実行した。

実際に番組を放送するまで、どんな雰囲気になるかわからなかった。不安も怖さもあった。
しかし、生放送を作り上げている現場の雰囲気はいつもと変わらぬ明るさがあった。
この状況の中で思うことを各々の言葉でしっかりと語り、そして、楽しさも届けることができた。
これは、2018年10月から放送してきた日々で積み上げてきた、出演者スタッフ、全員のチームワークと信頼関係の賜物以外の何物でもない。

放送を終えてから、次回の放送へ向けての打ち合わせをした。
それは番組後にいつもある時間なのだが、私の中では、未来への言葉を自然に口にできるそのときに、このチームなら、どんな困難があっても、必ずその時に合わせた「実現」を考えられると思った。

そう、私たちは誰一人未来への言葉を手放していない。

2月末から、Instagramにある、動画の生放送配信機能“インスタライブ”を使って、家の中から週に1回は必ず配信をしている。

世の中のざわめきの中に身を置いていて、自分の中に多くの言葉が渦を巻いた。
それはとてもじゃないけど、ツイッターの140文字では表現しきれない。
また、その140文字が自分の伝えたいこととは違う方向に引用されてしまうことがないようにと思い、自分が最も得意とする、この声で、放送で伝えようと思ったことをきっかけに始めた。

近年は、動画生配信のレギュラー番組も担当しているが、ラジオDJとして生きてきて、生放送で、かつ1人での配信では顔を出すことに戸惑いがあり、当初は顔は出さずに、家にあるぬいぐるみたちなどを映しながら配信していた。

しかし、ある夜、顔を出して配信をしてみたときに、今までにない感覚が自分の中にあった。
私は顔や姿を出して生放送を届けるということは、「きちんとした私」であることを自分に課していた。
けれども、このインスタライブという機能は、整えた姿であることよりも、「何者でもない私」で話すことの方が、より大事なのではないかと感じた。
気づけば今では、ノーメイクのまま、家の中にいる自分の姿で配信するまでに至っている。

このインスタライブで、視聴者からのコメントと会話をするように配信をしていると、気づくことがたくさんある。
新型コロナウイルスの影響を受けたそれぞれの生活は実に多様だ。

緊急事態宣言が出ていても、いつもと変わらずに職場に通わなければいけない人。
好きなバンドのライブが次々に延期や中止になって悲しんでいる人。
家族への感染リクスを減らすために、一人暮らしを始めた人。
自分に今何ができるか必死に模索している人。

一つわかることがあるとすれば、今、コンディションが良い人はいないであろうということ。
そして、それぞれの生活の背景を聴きながら、同じ時を生きている人たちとのインスタライブでのコミニュケーションを通して、最も多く登場している単語が「わからない」という言葉である。

Alicia Keys「Underdog」を最初に聴いたのは、今年の1月に行われた第62回グラミー賞の授賞式での彼女のパフォーマンスだった。上下デニムの衣装に身を包んだ彼女は多種多様な人たちと共に、クライマックスではグランドピアノを弾きながら高らかに歌いあげた。

この歌には様々な事情に置かれた人たちが出てくる。

シングルマザー。
若い教師。
研修医。
子供たち。
命の危険から逃れるために祖国を離れた人。

「今は人生の底にいても必ず這い上がれる、輝けるときがくる」と歌う彼女の歌に、私は心を揺さぶられ、強く励まされた。

2020年3月29日。
エルトン・ジョンがホストを務めた番組<The iHeart Living Room Concert for America>。エルトン・ジョンを含む全出演者が、リモート出演。バックストリート・ボーイズ、フー・ファイターズのデイヴ・グロール、ビリー・アイリッシュ、マライア・キャリーなどが自宅から演奏を届けた。

この番組で最初に演奏を披露したのが、アリシア・キーズだった。彼女は「Underdog」の歌詞を、新型コロナウイルスと立ち向かう人たち、ファースト・レスポンダー、医療関係者へ向けて歌詞の一部を変えて、紫のピアノを弾きながら歌った。1月に初めてこの曲を聴いたときには、新型コロナウイルスによる感染症COVID-19で世界中がこんなにも危機的な状況になるとは想像もしていなかった。初めて聴いたときのことを思い出しつつ耳を傾けた彼女の歌声が、私の心に呼びかけてきた。

“rise up”

今、私がこの状況下の中で、最も強く感じることが、一人ひとりが抱える問題が実に様々だということ。この世界には、誰一人として、同じ生き方などないということが浮き彫りになっている。一人ひとりがその人にしかない人生を生きている。だからこそ、孤独を感じてしまうことがあるだろう。「わからない」の連続の日々による不安が、自分独りを取り囲んで出口を塞いでいるような気分になることが私にもある。

「誰も孤独にしません。」

広島で僧侶として生きている友人がzoomを使って世界中に祈りを届けたとき、彼はカメラを真っ直ぐに見据えて、この言葉を声にした。

私は言葉の伝え手の一人として、「わからない」が次から次へと飛び交う中、今、言葉を言い切ることに、どれだけの勇気がいるかがわかる。故に「誰も孤独にしません。」と言い切ったその言葉に、私は心からの安堵と共に実に勇気づけられた。

言葉は未来を引き寄せる。
言葉を生業にしてきた私はそれだけは実感できている。
願いや理想をあきらめてはいけない。
どんなに困難であろうと、どんなに先が見えなくても、自分の言葉を信じることを、私は手放さない。

だから、私は言い切る。

あなたに会う。
あなたと一緒に笑う。
あなたと共に音楽を楽しむ。
あなたと一緒に夢を叶える。
あなたと共に自由にどこへでも行く。
「夢のような時間だね」と、あなたと一緒に最高の瞬間を過ごす。

必ず輝く日が来る。
誰一人孤独になることなく、この困難な状況は必ず終わる。

自分の言葉に願いをかける。
曖昧な言葉ではなく、必ず今に打ち勝つ日が来ると、
煌くような光を感じる優しさと強さを兼ね備えたこの曲が今、
私の鼓動と共に音を奏でる。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ〜9秒”に乗せて)!

今、あなたにはたくさんの叶えたい願いがあると思います。
どうかあなたの「好き」を手放さないでください。
あなたの心が輝く未来は必ず来ます。

Alicia Keys「Underdog」

武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
宮本 英実

じゃあ来月会おうね!この夏が楽しみだね!と、簡単に言えない時間を過ごす今。武村さんの文章を読みながら、昔友人にも言われた言葉を思い出した。「言葉は言い切ったほうがいい、言霊だよ」と。そうだった!と、他にも忘れていた大事なことをいくつか思いだしながら、明日からの楽しい日々のことを考えている。

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