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「あなたの思いを声にすることで、きっと世界は優しく輝く。」【Naomi Scott「Speechless」】(2019年5月22日リリース)

長期滞在者

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私は今よりももっと声を上げていたのではないだろうか?
いつから言葉にすることにこんなに怖さが伴うようになったのだろう?

今年も6月20日の世界難民の日に向けて動いている。
ラジオに出演したり、イベントの司会の予定があったりと、多くの行動する機会をいただいている。

この文章を書いている時点でも、世界では明日は一体どうなるのだろう? と思うくらい、
あらゆる場所で緊張や不安が続いている。シリア、ベネズエラ、スーダン・・・。
昨年の世界難民の日に合わせて発表された、グローバル・トレンズ・レポートによると、
2017年末の時点で世界で家を追われた人の数は6850万人に上った。
今年はこの数字が7000万人という数字になってしまうのではないか? ということを仲間たちと語り合っている。

「難民支援をして何になるの?」

私がこの活動を始めた時に、番組のスタッフから言われたこの言葉はショックだった。
何かを得るために始めたわけじゃない。
ラジオを通してマイクから多くの人に伝えられる仕事をしている私は、
世界で起きていることを、そこで厳しい状況で暮らしている人がいる現実を伝える責務があると思って、動き出した。

難民支援に関わるようになってから、さらに社会への関心が増した。
20代の頃は全く関心がなかった政治や選挙、社会問題などあらゆるニュースや情報に敏感になった。

先日、昔からの友人から久しぶりに電話があった。
友人はもう何年にも及ぶパワハラに悩んでいて、精神がギリギリになった状態で、助けを求めるように連絡をしてくれた。
なぜ私に相談してくれたのか。
「キヨさんはそういう活動をしているからわかってくれるのではないか思って」という一言にはっとさせられた。

ツイッターで社会に関する情報を発言をしたり、リツイートをすると、フォロワーがわかりやすいくらい減る。
時には、自分が発言した言葉が勝手な解釈をされて、精神的にボコボコにダメージを受ける時もある。
ならばもういっそ黙ってしまおうかと全てを手放してしまいたくなる時もある。

しかし、自分が世界や社会に関心を持ち行動し発言することは、
身近な人が「この人だった話せる」というきっかけになっていた。

世界や社会に関心を持つことは、気づいたら自分にとっての身近な人間を救うことに繋がっていた。

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「今日の『A Whole New World』は、どのバージョンですか?」

最近、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーの近くでの結婚披露宴の司会の仕事が増えていて、とても楽しい。
披露宴の開宴からお開きまで、ディズニー関連の楽曲が会場を彩ったり、
ディズニーキャラクターが登場する映像があったり、隠れミッキーがいたり、
笑顔がこぼれる夢のある雰囲気でいっぱいである。

ここで、ほぼ必ず入ってくる曲が「A Whole New World」。
1992年の大ヒットアニメーション映画『アラジン』での歌唱担当、
ブラッド・ケインとリア・サロンガのキャストが歌うバージョンが多い気がするが、
もちろん、ディズニー史上唯一のビルボードナンバー1ヒット(1993年)となった、
ピーボ・ブライソンとレジーナ・ベルのバージョンも大人気。
歌唱が違うとイントロやアレンジなどが違うので、「A Whole New World」がかかる場合は、
どのバージョンか確認している。

そして、2019年実写版『アラジン』が公開されたことにより、
ここに、実写版キャストのメナ・マスマードとナオミ・スコットのバージョンと、
映画のエンドソングとなっていたゼインとジャヴァイア・ワードのバージョン、さらに日本版バージョンも加わる。

これは今後の仕事のためにも必ず実写版を観なければ! という気持ちと共に、
もともと私はディズニー映画が大好きなので、どんな作品に仕上がっているのか、どきどきしながら観に行った。

魔法の絨毯に乗って、アラジンとジャスミンが世界の夜空を駆け抜けるあのシーンを実写で観ると、
美しさも迫力も倍増で、胸がいっぱいになり、感動で涙があふれた。
アラジンとジャスミンの初めてのキスのシーンも、
魔法の絨毯がちょんとアラジンの足元を押しているところが実写で描かれるとなんともキュートでときめいた。

人は誰かと出会うことで、世界を広げていく。世界を広げてくれた人と豊かな愛を築くことで、人生が輝く。
この実写版のシーンからも「A Whole New Wolrd」は、さらに結婚披露宴に寄り添う音楽として人気になるなと思った。

そして、この実写版『アラジン』を観て驚いたのが、新たに生まれた楽曲「Speechless」である。

アグラバー王国の美しき王女、ジャスミン。
自立した心と強い好奇心を持つ彼女は、アラジンと出会ったことでさらに自分の人生を自由に切り開くことを願い、
国の人たちの幸せのために行動したいという強い意志を持っている。

そんなジャスミンを演じるナオミ・スコットが映画のクライマックスで、自分の思いを高らかに宣言するように歌うのが、「Speechless」である。
作曲はディズニー映画の音楽といえばこの人、アラン・メンケン。
作詞はPasek and Paul(ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール)。
あの「This Is Me」のソングライティングを手掛けた2人である。

「もう黙っていられない!」
「私は黙るつもりなんてない!!」

スクリーンの中で力強く歌うジャスミン(ナオミ・スコット)はとてもかっこよかった。
同時に、「そう! そうなのよ!!」と私は強く共感していた。震えた。そして、泣けた。
まさか『アラジン』でここまで強く、現代の女性たちが声にしたい思いを歌にしてくれるとは思わなかった。

「余計なことは言わないほうがいいよ」
「それは黙っていたほうがいいよ」
「あなたが発言して何になるの?」

本当にそうなのだろうか? 確かに自分一人では、めちゃめちゃ微力なのは承知の上だ。
けれども、黙っていたら、何も変わらない。

ディスニーのプリンセスが「私は黙るつもりなんてない!!」とはっきりと歌う姿に、
世界中のどれだけの女性が勇気づけられることだろう。
あぁこの歌は、これから世界で女性たちが立ち上がる時に多く歌われる楽曲になっていくだろうなと、私は思った。
少なくとも、発言することに以前よりも臆病になっていた私は、
この楽曲を、その歌声を、身体中で感じることで力が湧いてくる。

「難民支援をして何になるの?」

世界の大きな問題に向き合っていくことは時に酷い絶望も伴う。
けれども、自分が一歩踏み出した先で出会った人が、世界を広げてくれた。
広がった世界で見えてきた様々な課題や問題が、思考に深みを与え、行動へと駆り立てた。
私が声に出すことで、声に出せずに戸惑っていた人の気持ちの扉を開くことができた。

発言や行動には怖さもあるけれど、それでも確実に可能性は広げてくれている。
一歩踏み出した先には、想像を超える優しくて美しい世界があることを信じて。

私は黙らない。

【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ〜7秒”に乗せて)
あなたの思いを声にすることで、きっと世界は優しく輝く。

Naomi Scott「Speechless」

武村貴世子

武村貴世子

ラジオDJ、MC、ライター。
これまで、FM802、Fm yokohama、FM-FUJIなどで番組を担当。

ラジオ番組、司会、ライター、トーク&アナウンス講師はもちろん、
朗読と音楽のコラボレーションライブも展開中。

国連UNHCR協会 国連難民サポーターとして、
難民支援を始め、世界や社会への関心が深く、社会貢献活動にも積極的に取り組む。

また、タロット・リーディングの学びも深め、
フリーランスでその活動の幅を広げ続けている。

Reviewed by
宮本 英実

「ここだけの話なんだけど」という枕詞から始まる話が多くある。自分だけに話をしてくれているのかなと、ルンルンで聞き始めた話の先に、”ここだけの話”にせざるを得ない事情が含まれていたりすると、なんとも言えぬ気持ちになることがある。もっと広く、知らせたくなるような話もたくさん。

誰かの言葉に突き動かされることがよくある。友人が意を決して伝えてくれた言葉で、私が動く。その姿を見て、私もまた言葉にする。そうやって、ちょっとずつ世界が動く。だから、言う。

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