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3F/長期滞在者&more

忘れてしまったふりをして守った気でいたが それは空しいものだと

長期滞在者

1-1

ないてもないても まだいたむ
ふいてもふいても ちがにじむ
ひとりできった  くすりゆび

こばやしのぞみ 8さい
(当時の日記より)

子供の頃の私はひどく臆病だった。
「のぞみちゃんはおもしろいね」って言われるとほっとしていた。

いつも
あとひとことを
あとひとときを
急いでくしゃくしゃに固く固く丸めて
そのちいさな塊を飲み込んでは
乱雑に見えない場所へと追いやって
うずたかく積み上げていた。
どうしていいのかわからなくておどけては
自分を保ったつもりでいた
自分自身を 時には周りも 見失いながら。

あの頃のことを思い出そうとすると
内臓をきゅるきゅる摑まれたような心持ちになる。


ふと転がり出してきたこの塊のせい

絵を描くようになってから
絵を通して人と触れ合う方法を知ってから
わたしはもう一度自分を探し直す方法を知って
いくぶんかは取り戻したように思う。

でも今も瞬間瞬間のコトしか信じることは出来ない。
言の葉(端)でもって、拙いながらも心を通わせたコト
確かに受け取りあったというあのトキのまなざし

トキやコトがモノになった瞬間から
それは最初に在った形を歪めて(よくも悪くも)変化していく。
すべてのモノは変わり続けるもので
私もあなたもあのトキの私とあなたではないし、そのトキは永遠に戻ることはない。

これは 逆に
どのようにうつり変わっても信じる ということなのかな。
もしかしたら

まだ、よくわからない。

今 ちいさなわたしのかなしみを
おおきなわたしはあたためることができる。

塊を融かしきることはできないけれど
塊をほぐして 皺をのばす。
そしてこのトキを 此処に書き留める。

記憶 と 経験
まとわりつく空しさに希望を見出して

.
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空性(くうせい・くうしょう)
タイセツナモノハ ミエナイモノバカリ

.
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グループ展に小作品を数点出展します。

『ミクロサロン2013』
2013.12.7 (Sat) – 12.28 (Sat)

国内外問わず新世代からキャリアを積んだベテラン作家まで、
東京画廊+BTAPの取り扱うアーティストたちの小品が一挙に展示されます。

◎オープニングパーティー
2013年12月7日(Sat)|13:00 –
酒肴を調え立食パーティーの形式を取り、出展作家が(もちろん私も)多数在廊します。
入場はご自由ですので気兼ねなくぜひお越し下さい。

東京画廊+BTAP
〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7階
Tel: 03-3571-1808 Fax: 03-3571-7689
開廊時間:火~金11:00am – 7:00pm 土 11:00am – 5:00pm
休廊日:日・月・祝

年末のお忙しい時期ですが、ご高覧いただけたら幸いです。
とてもとてもしあわせです。

よろしくお願いいたします。

古林
希望

古林 希望

古林 希望

絵描き

私が作品を制作するあたって 
もっとも意識しているのは「重なり」の作業です。

鉛筆で点を打ったモノクロの世界、意識と無意識の間で滲み 撥ね 広がっていく色彩の世界、破いて捲った和紙の穴が膨らみ交差する世界、上辺を金色の連なりが交差し 漂う それぞれテクスチャの違う世界が表からも裏からも幾重にも重なり、層となり、ひとつの作品を形作っています。

私たちはみんな同じひとつの人間という「もの」であるにすぎず、表面から見えるものはさほどの違いはありません。
「個」の存在に導くのは 私たちひとりひとりが経験してきた数え切れない「こと」を「あいだ」がつなぎ 内包し 重なりあうことで「個」の存在が導かれるのだと思います。

私の作品は一本の木のようなものです。
ただし木の幹の太さや 生い茂る緑 そこに集う鳥たちを見てほしいのではありません。その木の年輪を、木の内側の重なりを感じて欲しいのです。

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