長期滞在者
理想的な年の終え方。早めに仕事を切り上げること。友人と語り明かすこと。旅に出ること。旅先で心に風を通すこと。旅から帰って家族に会うこと。 どれも叶わなかった。失望しているかというと、そうでもない。この家で笑って過ごすことができた。 ため息を吐くと福が逃げるという。けれど、私はべつに逃げても構わない。福はまたやってくるに違いないし、何なら捕まえてみせる。 強かに生き延びようではないか。 12月1日(…
長期滞在者
このアパートメントでは、自分が声の仕事をしているときの写真を多く使ってきているが、この写真を見たときに2020年のことを思い出すのだろう。口の前にシールドをして司会をするようなことになるとは、1年前には全く考えもしなかった。 2020年12月2日。「日本を代表する、外国籍人材活躍の現場」にスポットライトを当てる、Global one team Award 2020。記念すべき第1回で司会を務めた。…
長期滞在者
今年も残すところ1週間、今回がもちろん今年最後の投稿。 今年最後は、これまで出会った同僚たちについて書いていきたい。 偶然同じ会社に入社した人や、アルバイト現場で出くわした同僚たちの中には、直ぐに意気投合できるような人から心の中が解せない人まで様々な人達が混ざり合っている。 が、趣味や感覚も異なるからこそ、共に過ごす中でとても愛すべき瞬間もやってきた。 こうした偶然出くわした同僚たちについて振り返…
長期滞在者
仕事が超繁忙期で、何かとストレスも積もるので、無理に一日休んでウサを晴らすことにした。とりあえず自転車で100km走ろうと決めた。100kmという距離に別に意味はなく、ただキリのいい数字ということ。家(尼崎)から片道50kmの地点を探せばいいのである。夏に頻繁に和泉市の光明池まで通っていたときは片道40kmだった。もう少しだけ遠いところ、と目星をつけてGoogle Mapで探す。河内長野市・河内長…
長期滞在者
先月訪れた赤崎の港町から米子空港からの帰路の途中、バスに乗って皆生温泉に立ち寄り、街の中を少し歩きました。塩谷さんが地元の街並みや大山の景色を写していた頃、岩宮武二さんは、この温泉街で療養生活を送っていました。入院生活を送る仲間や、看護師さんとのふれあいをカメラに収め、のちにいくつかの写真が発表されることになります。温泉街は米子市から少し離れた海岸線沿いにあって、旅館が立ち並ぶ街はずれは松林の美し…
長期滞在者
冬に向かう日々。 流行り病の情報をインプットされた状態で生活すると、誰かに指示されたわけでもないのに窮屈な箱の中で生きているような気持ちになる。そのせいか、誰かと食事をして語り合う時間は心の底からほっとする。 それでも、大掃除の話や年末年始の過ごし方を話し合っているうちに、本当に一年は終わっちゃうの?という気持ちになる。私たちの一年、誰がこんなふうになると想像できただろうか。 明るい未来を描いてや…
長期滞在者
小さい頃からの癖で、ことばに書き出すのが習慣にあまりない。主に、五感で体験できる事物をつくったり、表現したり。言語と非言語の狭間をことばとして日常で用いていたのかもしれない。3歳からタップダンスに出会ったり、子役として演技をしていて身についた部分なのかなと今は思う。 この文字に出力してみて、気持ちを伝えたり思考と想像を綴るのは、発病したPTSDにおいてもリハビリとしての側面があるので積極的に実践し…
長期滞在者
コロナ禍で遠出することが無く外出する頻度は確実に減ったが、ここ1-2ヶ月は遠出することが増えた。 <出張> 職場で様々な地域に入り込む案件が増える中、国内を出張する機会が増えた。 免許を持っているものの、学生時代に取得してから一度も運転していないためレンタカーを使うこともできず、コロナ禍ではあるが電車で移動せざるを得ない。 (満員電車や地下鉄を除き)基本的に電車に乗ることが好きだが、それは小さい頃…
長期滞在者
小学生のころ1~2年だけヤマハの音楽教室に通っていたことがあり、短い期間なので残念ながらこれと誇れる楽器の熟達には至らなかったのだが、楽典の基本は子供なりに学んだ。なので楽譜は読めるのである。読めるといっても、まぁあれだ。サリエリがモーツァルトの総譜を見ただけで涙を流す、みたいな「読める」ではなく、時間をかければ解読できる、というレベルなのだけれど。 中学高校のころYMOの一大ブームがあり、市立の…
長期滞在者
先日鳥取県は赤崎という小さな港町へ出かけてきました。 目的は日本のピクトリアリズム期を代表する塩谷定好さんの記念館に一度行ってみたかったのです。東京ではあまり話題にのぼることが少ないですが、大正モダンの時代から綿々と続く「芸術写真」の聖地なのです。はたして、鳥取駅から汽車を乗り継いで2時間弱、赤崎の駅に降り立ったのですが、黒く焼かれた西日本杉板壁と黒っぽい瓦葺きの低い屋根の建物が、肩を寄せあうよう…
長期滞在者
待ち望んでいたその日は、こんな輝かしい天気の日に良いことが起きないなんてあり得ないと思うくらいの青空が広がる朝だった。 これから大事な仕事に行くという日の朝には、U2「Beautiful Day」を聴く。2000年10月30日に発表された、U2にとって10枚目となるスタジオ・アルバム『All That You Can’t Leave Behind』からのリードシングルとなったこの楽曲は…
長期滞在者
未来が明るいものだと信じて生きたわけでは決してないけれど、だからといってやさぐれた気持ちで生きてきたわけでもない。 ただ今月は、どんどん視野が狭くなっていくような気持ちがして怖くなるときが何度かあった。 どうにもならない、逃げ場のない感覚。 友人と会って、能を鑑賞して、食事をしながらなんとなしに喋る時間があると、その薄暗い感覚が和らいでいくようだった。 やっぱり、人と会わない、外の世界に触れない、…