ふたりへ。

第1期(2012年2月-3月)

ふたりの写真展「apart」に行けなくてごめんね。
最終日に顔出す予定だったんだけど突然の不幸な便りが舞い込んだりして行けなかった。

僕がふたりと知り合ったのは、この写真展でも数多くの写真が見られたであろう
東北の仕事が一緒だったから。

僕にとっての東北の仕事は単に手伝いで、バイトみたいなものだった。
クリスマス休暇を利用して東北での撮影の3泊。

誰とも友達にもならずに、話すこともなく終わっても不思議でないたった3泊。

ふたりとはじめて会ったのは、山形の撮影会場の裏口だったと思う。
良太くんは会場だったかな。

アサヒロカオリです。という名前が覚えにくくて「かおりん」となれなれしく呼んでみた。
良太君は、森山良子と直太朗をくっつけたみたいでしょ、って言うからすぐに覚えた。
今のマンションに引っ越す前の隣の家にも良太君という男の子がいたからね。大丈夫。

こういう他人がたくさん集まってやる仕事は必ず手を抜く人がいる。
日当以外の仕事はしませんよ。っていう主張を持っている人が。

かおりさんも良太くんも、誰も見ていないところで、自分以外の仕事も一生懸命やっていたね。

僕はこの仕事に慣れていなくて、ちょっと不安な場面で分かりそうな誰かを振り向いて探すと
決まってかおりさんが「大丈夫ですか?」って笑顔で助けてくれたっけ。
良太君は音響設備をめざとくみつけて、撮影の空間が和むように音楽をかけてくれたし、
他の誰よりサクサクと多くの仕事をこなしていたね。

そんなふたりとほぼ同じ時間を過ごしたのだから、その合間を縫って撮影した数百枚の中から
ふたりで選んだ100点づつの写真は凄く見たかったんだ。

その3泊はね、仕事して、食事して、移動して寝たら終わりの仕事。
実際そういう人たちが殆どだったと思う。僕も含めて。

同じ時間、同じ空間を過ごした中でのふたりがシャッターを切った場面を、そして、お互いの
写真を2枚ひと組にしてある作品はどんなだっただろう。

シャッターを切るという事。それは、脳なのか、もっと感覚的なものなのか分からないけど、
みんなが居眠りしている間に、ふたりはファインダーを覗いて、東北での空気を確かに切り取ったんだね。

ただの時間を永遠の時間に変えた「apart」を是非見たかったな。
そして、小さな空間で、その時の事をふたりと話したかった。
僕にとってはただのバイトの時間を、君たちはどんな風に過ごしていたのかを。

今日は東京は大雪。これが今季は最後の雪かな。
窓越しに降る雪を見ていると東北での3日間を思い出す。
かおりん、良太君。ふたりのおかげで、僕も3日間がこのアパートメントに繋がったのは、きっと
シャッターを切るように声をかけてくれたからだと思ってる。

ありがとう。そして、これからもよろしくね。