000号室

第29期(2016年10月-11月)

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モザイクみたいにこまくて、膨大な

だけどひとつ、ひとつが、あわさって

わたしの視界はできている。

モザイクみたいにこまかくて、膨大な

そのひとつ、ひとつに、目をこらすたび

わたしはわたしの行方を失った。

こどものころ、枕元に置いたたくさんの人形を

ひとつ、ひとつ、毎日順番に、

かわるがわる抱いて眠らないといけないような気がしてた。

きっとそのころと何にも変わらない。

みんなしあわせだったらいいのに、とおもうこの思考は

きっとある種の怠慢で、なげやりで

なにを守る気もないのかもしれない。

なにも守ることができないのかもしれない。

だけどわたしは

みんなの愛が、叶えばいいのに。

そうおもうことをやめられない。

わたしには、叶えられっこないのに。

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このモザイクみたいにこまかくて、膨大な

アパートメントの窓明り

すべてがきちんと灯ればいいと、どうしようもなくねがってしまう。

あたたかな光でもいい

つめたい光でもいい

それぞれの体温で、灯ればいいと、ねがってしまう。

「生きてるだけで正義だよ」

いつかのわたしの、ことばが、ふってくる。

息を吸い、吐く。

「わたし」のほんの少しだけ外にある、

分子と出会い、別れる。

そこに生まれる、ちいさな灯火を

焚いて、燃やして、生きている。

煌煌と、生きている。

「生きてるだけで、正義だよ」

いつかのわたしが、今日のわたしに

その手で光を灯した。