ぽかーんとしたからだ

第37期(2018年2月-3月)

からだって、建物みたいだなあと思う。
骨組みとはよく言ったもので、例えば立ち上がった時、足の裏が一番底辺にあって、二本の足は股関節から骨盤を拠点に一本の背骨となり、そのてっぺんに頭が乗っかかる。

私の足の大きさは23.5センチ。
二つの足の裏で自重を支えてバランスをとっているんだから、こりゃすごい。
からだは私が知らないうちに、多くの仕事をしてくれている。

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感覚と身体運動について考える。

数年前に外科的な要因で腰の手術をした。
全身麻酔の手術から目が覚めて、1日目はベッドに寝たまま(後にも先にも、この1日が本当に辛かった…)
2日目、車椅子に乗って、足でぴょこぴょこ進みながらお手洗いに行けるように。
そのうち歩行器を使って病院の館内を周回したり、手すりを持って簡単なストレッチをするようになった。
この入院中、体験したことで忘れられないことがある。

術後、初めて車椅子から「立つ」時。
なんとも不思議な感覚に陥った。

「立てない」

なんというか、からだが解散〜!した状態で、それまで感じたことのない、感覚と実際の身体運動の差異を感じた。
ちなみに私の頭の中で交わされていたことはこんなセリフ。

私1「はい、立ちまーす」
私2「、、、あれ、、、どうやって立つんやったっけ」
私1「え、、、」
私2「どこに力を入れたらいいか、どこがどうなったら立てるのかわからない」

完全にずれていた。
ぽかーんとしたからだ。

そこで、ふと、術前に少し学んでいたボディーワークの言葉を思い出した。
「足の裏で床を踏んで、その力を骨盤、背骨に伝えて、その上に頭を乗せる」
そんな当たり前(もう、意識以前のことかも)を頭の中でゆっくり唱えると、「立つ」ことができた。

この「ぽかーん」とした一瞬の体験というのは、強烈だった。
それ以降、自身のからだの内的感覚を辿り踊ることや、外的な形の面白さに、以前よりも増して興味を持つようになった。
もう二度と体験したくないけど、確実にいまの私の芯になっている。

人ってなまものだなと思う。
心もからだも。

植物や動物、季節や気候と同じように、その日その日で変化していく。
愉快な時もあれば辛い時もあって、柔らかい時もあれば硬い時もある。
春が来て夏が来て、秋になって冬になる。
ゆるやかにしなやかに、緊張と弛緩を繰り替えし、循環しながら生きている。
寝転がって、うーーーんと深呼吸して「さあ、今日はどんな感じ?」と日々新しくなる自分に問いかけてみようと思う。

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