ハッピーエンドで終わらない

第40期(2018年8月-9月)

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ハッピーエンドがいい。

めでたしめでたし、とか、その後2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ、とか。

そんなふうに終わる物語なら、私は「シンデレラ」が一番好き。別にお姫様になりたいわけでも、今の暮らしに手を差し伸べてくれる白馬の王子と出逢いたい訳でもないけれど、わかりやすく幸せだし、何よりガラスの靴というモチーフが好きだ。

わたしはまだ20年とおまけの4年くらいしか生きていないけれど、それでも「めでたしめでたし」で区切っていいような瞬間が何度かあった。

たとえば小さい頃に出た将棋大会で優勝した時だとか、死に物狂いで勉強して大学に受かった時だとか、はたまた苦労して女流棋士になった時とか。

物語ならハッピーエンドで、そこから続くことは無い。だけれど、私はその後も生きなくてはいけないので、とりあえずその後を生きている。

ハッピーエンドなんて、体感すると1秒くらいのものだ。「その後私はずっと幸せに暮らしましたとさ」なんてならない。むしろ「これまで目指してきたエンディングを迎えてしまって手持ち無沙汰な私」だったり「いざハッピーエンドを迎えてみたら、そんなもんかなと思って拍子抜けしてる私」が物語からぽつんと放り出されてしまって、ぽっかりと穴が空いたようになっている。

それでもハッピーエンドがいいなぁ、と思ってしまうのは、わかりやすく幸せになりたいからなのかもしれない。ガラスの靴は、まだ履けない。