入居者名・記事名・タグで
検索できます。

2013年12月の相席(記/イルボン)

イルボンと小鳩ケンタの空席商会

◇出てくるひと(順不同・敬称略)
イルボン(gallery yolcha車掌/詩演家):以下、車掌
小鳩ケンタ(詩人):以下、鳩
山田あい子(サウンドアーティスト/ピアニスト/マトリョミン):以下、山
黒瀬正剛(画家/素描家/彫刻家):以下、黒

◇◆◇◆◇
【2013年12月の相席】

鳩:山へ 『(音楽活動は)個人でやられてるんですか?グループで?』

山:『あ、ちょっと名刺をお渡ししてもよろしいでしょうか?』

山田あい子 名刺

山田あい子 名刺

鳩:『あ、すいません(名刺を見て)いろいろ書いてありますねぇ…どこからどこまでが?この「ヒラメキ☆カフェ」ってのはグループ名ですか?「bibibibisco(ビビビビスコ)」がグループですか?割と攻めてますねよねぇ笑 ピアノ、サウンドアート、マトリョミン…』

車掌:『並べましたねぇ(笑)』

山:『やりたいことを(笑)今はですね、花が開花するときのちょっとした電流があるじゃないですか。何かしらエネルギーを発してますよね?』

鳩:『あ、ジム・オルークも同じようなことやってたよね!?植物でね?』

山:車掌へ『その微弱電流を数字に置き換えてそれを曲にしたいんですけどねぇ…全くやり方が判らなくって(笑)誰かご存じないですか?』

車掌:『それはえっと、え?そのエネルギーをとらえる機械が必要なわけですよね?そういう人がいないかと?(笑)』

山:『知らんがなって感じですよね?(笑)』

鳩:『でもそれを聞くんだったらイルボンさんに聞くよね?他に誰に聞いていいかわからないよね?(笑)』

(中略)

鳩:『(山田の名刺をふたたび眺めながら)ピアノ、サウンドアート、マトリョミンってことは…だいぶこれマトリョミンは重要な?』

車掌:『それ僕もちょっと思った(笑)』

鳩:『ふつうさぁ、ギター弾きってカズーとかって数に入れないじゃん?』

車掌:『カズーと数、かけましたよ(笑)』

鳩:『ギター弾きですって言ってもカズーのことは言い出さないけどさぁ、だからカズ―よりも全然大事な。』

車掌:『ボブ・ディランのハーモニカみたいなもんでしょうね。』

鳩:『あぁ重要ですね。(マトリョミンは)言うこと聞かんハーモニカですねぇ。』

車掌:『まぁこういう人って面白いと思うなぁ。そういうね、花のエネルギーで作曲するとか、そういう人ともっと出逢いたいわけですよ。ふつうに弾き語りしてる人とか幾らでもいるから。』

山:『そうそうそう、そうなんですよ。そういう人と一緒に面白いことやりたいんですよー。』

(中略)

鳩:山へ 『あのbibibibisico(山田あい子ソロ)やるときもそういう真珠のネックレス付けてやってるんですか?』

山:『いや決まってないですよ(笑)』

車掌:『やっぱりクラシック畑の人って違いますよね(笑)』

鳩:『いや違うもん、怖がってるんだもん、普通の…ボクは。』

山、車掌:『(爆笑)』

鳩:『この辺(ネタに)使えるんじゃない?(笑)そうそう大阪芸大でもさ、美術学科の棟の横に音楽学科があって全然ノリが違うからさ。』

山:『え?何学科だったんですか?』

鳩:『美術学科ですよ。僕らツナギで油絵で汚れてる時にさ、真珠のネックレス付けた綺麗な格好した人が楽器を持って来て…』

山:『(笑)』

車掌:『まぁちょっと(クラシックには)距離がありますよね。』

山:『え?bibibibiscoだったらどうですか?』

車掌:『だからね、そのギャップはいいですね笑 bibibibiscoということでだいぶ距離は。たとえばbibibibiscoってゆう活動しててそれこそツナギ着てて頭ボーンとかだったら、あーハイハイって感じだけど(笑)』

鳩:『そこはうまいことできてるよ。』

車掌:『まぁバランス取れてますよね…人の名刺見て話すって面白いですね。』

鳩:『面白いですよ。例えばサウンドクラウド(自作曲を載せたりできるサイト)だけ載せてるんだなぁとか。Phoneの横の「+81」で始まる番号って何かなとか?え?これグーグルプラスとか?(笑)』

車掌、山:『それ日本の国番号ですよ(笑)』

(中略)

鳩:『このヒラメキ☆カフェってのはお仕事なんですか?』

山:『違うんですよねこれがまたね。(笑)』

車掌:『カフェっていうかサロン的なことでしょ?自宅で誰かゲスト呼んで。』

山:『何かいろいろやれるのに遠慮してる人が多いじゃないですか。たとえば資格を持ってるけど「わたしなんてまだまだ…」みたいな。「え!そんなん持ってるならまだまだとか言ってなくて今やっちゃいなよっ」ってゆう。』

車掌:『友達の本気を見たいって感じでしょ?(笑)』

山、車掌:『(爆笑)』

鳩:『いい話だねそれは!今の(音)録れてるよね?(笑)』

車掌:『それいいですよねぇ、そういう主旨だったのかぁ…』

山:『そうなんですよぉ。で、ひらめいちゃって、色んな人繋がっちゃって…そこからまた新しいものが生まれたら。たとえばアロマやってる人とか、音楽の人でもいいし…。』

(中略)

車掌:『そのね、「ヒラメキ☆カフェ」っていうのは、何であえてそういう名前を立ててやっていこうと思ったんですか?』

山:『何か屋号的なものがいるなと思ったんですよ。ただのお茶会でも良かったんですけど、やっぱり屋号を決めると来てくれる人の気持ちも違うかなってゆう。』

車掌:『割とちゃんとやってるんですねぇ、だって名刺に書いてあるぐらいだからね。』

山:『(笑)』

車掌:『ちょっとびっくりしたもん(笑)』

(ここで隣りに居合わせた黒瀬正剛さんが合流)

黒:山へ 『よかったら僕も名刺いただいてもいいですか?僕も「ヒラメキ☆カフェ」って何なのか気になっていて…』

鳩:『NHKの番組っぽいですよね、動機がフレッシュだよね。』

車掌:『ひらめくってのは、自分もひらめくし呼んだ人もひらめくと。』

山:『そうそうそう、そうです!』

(山田の名刺が黒瀬に、黒瀬の名刺がおもむろに全員に渡される。)

黒瀬正剛 名刺/表

黒瀬正剛 名刺/表

車掌:『ん? あのもしかして…絵を描いてはります?「HOSTEL64」というスペースで(展示)されてました?』

黒:『はいはいはい!一回しました!』

車掌:『観に行きたくて行けなかったんですけどね…めっちゃ好きだったんですけど!』

鳩:『お、告白?(笑)』

黒:『その頃からは(作風は)だいぶ変わってるんですけど。』

(中略)

黒:『僕も(ヨルチャのことは)名前は知ってたんですけど、今日はじめて来ることができました。不思議な場所ですね。』

鳩:『なんか電車…電車(のイメージ)らしいですよ…(面倒臭そうに)ごめん(笑)』

車掌:『(笑)』

黒:『そういうイメージがあるんですか?』

車掌:『(建物が先にあったんで)いや後追いでイメージ付けたんですけど、旅先の車内みたいなイメージで。この建物の(細長い)形状とか…わざわざこの砂利道を歩いて来てもらって、乗車しては降車してもらう感じ。』

黒:『それで「車掌」を名乗ってるんですか?』

車掌:『その車掌ってのも僕に自信がないだけですけどね。ギャラリーオーナーでもないし、(作家の)マネージャーというのも頭が高いし…このスペースを動かしているくらいの。』

黒:『運転しているってゆう…』

車掌:『そう、運転してるってゆうくらいのものかなって。』

(イルボンが黒瀬の名刺を見ながら)

車掌:『(名刺の字を見て)これは直筆ですか?』

黒:『あの、書いたやつをスキャンして。』

車掌:『うん、好きな字だなぁ。』

鳩:『あの、大人の字ですよね。』

黒:『でもそれをものすごく練習してやっとそれになったんで…格好いい文字を書きたかったんですけど、その動機付けとして名刺に使うっていう目標を決めたら練習するかなって思って。』

鳩:『この(名刺のホームページアドレス)simposion…って何ですか?』

黒:『昔のギリシア語で「うたげ」って意味なんですけど。自分はこういうことをしてます、で、あなたはどう思われましたか?という意見交換の場としてあったらいいなという気持ちでつけたんですけどね…』

(中略)

黒瀬正剛 名刺/裏

黒瀬正剛 名刺/裏

車掌:『(黒瀬の名刺の住所を見ながら)『ん?「むらさきの扉」!!これは!?マンション名?』

鳩:『(英語表記では)「purple door」で始まってるよね。』

黒:『あの、うち二階建ての長屋を借りていて、一階を家として二階はアトリエとして使っていて…郵便物が届かないんですよ。特に部屋番とかないんで…扉の色も同じだし…』

車掌、鳩、山:(昂奮して)『はぁーーーーーーー!!!!』

車掌:『いい話録ったぁ!!(笑)』

鳩:『うつくしいなぁ…』

山:『今、キちゃいましたよね!』

車掌:『鳥肌立った!』

黒:『じゃ(扉の)色塗ってもいいよねって。』

車掌:『それで塗ったと!』

山、鳩:『カ、カッコイイ…カッコイイですね…』

山:『しかも淡々と(黒瀬の口調で)語られたら…』

車掌:『オちましたね今…いやぁ名刺もらうもんですねぇ!(笑)』

鳩:『そしたらここ以外は全部白の扉なんですか?』

黒:『あの、プリントの木目の日焼けしたような色なんですよ、田舎にあるような。』

車掌:(あらためて)『へぇぇ「パープルドア」カッコイイぃ~!』

鳩:『ずるくない?僕だったらまんまと黄色とかに塗ってしまいそうだよ(笑)むらさきっていうのがさぁ…』

車掌:『え、これで(郵便物は)届くわけですよね?』

黒:『あの、市役所にもそれで提出して。』

鳩:『え?そんな自分の味出していいのっ?』

黒:『届けれるみたいで。』

車掌:『もっとみんな自分の住所作るムーブメント起こそかなぁ!』

鳩:『(住所の)最後がワンチャンスあるってことでしょ?「小鳥の置き物」とか…』

黒:『「レンガの花壇」とかね。』

車掌:『へぇぇ(今日はオイシイ話)ありがとうございますー(笑)』

鳩:『すごい素敵な話ですね。』

文責/イルボン

イルボン

イルボン

詩人/詩演家。またはgallery yolchaの車掌。
ジンジャーエールと短編映画と文化的探検が好物。

2006年、第一詩集「迷子放送」を上梓。
2007年、自らの詩の語りとパフォーマンスに半即興的に音を乗せる、活劇詩楽団「セボンゐレボン」を結成。
2010年、大阪で多目的ギャラリー「gallery yolcha」を運行開始。

※gallery yolchaは、大阪・梅田近くの豊崎長屋(登録有形文化財)に位置する特殊な木造建築です。この屋根裏部屋とバーカウンターがあるギャラリースペースを使って、共に真剣に遊んでくれる作家を常時募集しております。詳細は上記リンク先をご覧下さい。

小鳩 ケンタ

小鳩 ケンタ

詩人/コバトレーベル主宰

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る