畳の和室の隅に青い電球がチカチカ点滅する
小さなクリスマスツリーがある。
襖の鴨居には色紙を切ったわっかのモールが
画鋲でとめて飾ってある。
小学生の私が妹と2人、テレビを見ている。
その頃、クリスマスの日曜洋画劇場は
なぜか決まって「猿の惑星」シリーズ。
ぱさぱさしたスポンジケーキ。
バタークリームでこしらえた
大きなピンク色のばらの花。
銀色の紙の三角帽子をかぶり、
私たちは甘すぎるケーキに胸焼けしながら
未来の黙示録のような
禍々しいSF映画に見入っている。
そんなほの暗いお芝居のような記憶を胸に
今年も北欧フィンランドのログハウスを使った
おうちカフェtina*tinaでまるで外国みたいなクリスマスを過ごす。
暖炉の炎、洋書の絵本、深い夜の闇にまたたくイルミネーション。。
いろんな人の来訪を楽しみに
妹が一生懸命スイーツを作り、私は今年も飾りつけに精を出す・・
心やさしくも明るくもない、人嫌いのスクルージ爺に起こった
ディケンズの「クリスマスキャロル」の感動が、
日本の地方都市の片隅にこうやって存在するなんて
それこそが、まさに奇跡!!
私の人生に突然やってきた最高のプレゼントだ。
その、夢のような光に溢れたクリスマスの原点は
何を隠そう和室の猿の惑星だ。
ここまで激烈に時代が転換し、景色や状況が変貌したいまとなると
そのこと自体にわけわかんない啓示があるような気もして
ある意味カッコいいと思っている(笑