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2F/当番ノート

一本の線で、心を響かせる何か。

当番ノート 第22期

kokisugita

昨日から熊本へ出張しており、

今日は今から高千穂の神社へ籠もり、作品制作をしてくる。

今までも神社に居候して制作してきたけれど、それは社務所の中で。

今回は、ご神体のある、とても貴重なスペースで制作をさせていただく。

空海や、良寛。

彼らは仏教や密教だけれども、

私の尊敬する文字を書く表現者たちは、

何年もこうした行をおこなっていると聞く。

ただ、私は修行者でもない。

修験者でもない。

私が書を始めた一つの理由に、『一本の線で心を響かせる作品を創りたい』がある。

書の歴史の中で、文字だけを書いていては学べないことがある。

それは体験だと思っていて。

私は『体験』を何より重視して生きてる。

文字を書く上で、アパートの一室で書いている作品なのか?

彼らのように庵や神聖な場で制作している作品なのか?

それだけで、そこに入るエナジーは違うものになるのではないか。

そう思う事があり、今回、高千穂のとある神社で、

一晩、籠って制作する。

書き続けた先には何も残らないにしても。

きっと書き続けた先の自分は変わっているのだと思う。

何かを続けるという事は、それだけ力がある。

今日は、ひたすら『線』を書き続けようと思う。

それは文字であれ、点であれ、線。

その体験が、今後の自分の大きな糧になりそう。

私は、そうして自分を鍛えてきた。

きっと書道教室にいっていたら見えなかった事が見えてる。

ただ、書道教室じゃなきゃ見えない事が見えない。

それでいいのだ。

自分は自分だと、近年思えるようにはなった。

今日の気付きは、また次回、書くことにします。

杉田 廣貴

杉田 廣貴

1983年3月生 / 宮崎県出身。鹿児島大学工学部卒。6歳から剣道。22歳から書や言葉を媒体とした表現の世界に入る。『道』を究めることをライフワークとし、アートやデザインは生き方の一つとして考える。NYを中心にアメリカでの個展も行ない、海外での活動も大切にしつつ、2015年より日本国内での活動を本格化している。

Reviewed by
淺野 彩香


「食べるものはきちんとしたものを食べなさい。
食べ物が自分を形作り、その自分が、物語を形作る。」

師事している先生から以前言われた言葉を思い出した。
杉田さんのコラムで書道では、自分という媒体ももちろんながら、
形作る場もまた、文字の一部分なのだと知った。

「一本の線で心を響かせる作品を創りたい」

書道に対する杉田さんの思いが込められた
コラムを是非ご覧ください。

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