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2F/当番ノート

プラバン

当番ノート 第31期

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好きな色は?と聞かれるとたくさんありすぎて困ってしまいます。翡翠の緑色も好きだし、渋い樹脂の灰色も好きだし、バラの深紅色も好きだし、南の島の海のいろいろな青色も好きだし、冬の海の色も好きだし、、、でも、何色であろうと半透明には無条件に惹かれます。磨り硝子、雨の日の曇った窓、トレーシングペーパー、そんなものを通して向こうを見ると、見えるようで見えない不思議さと、ものの輪郭がぼやける感覚になぜかとても心が惹かれるのです。
プラバンは小学校のころに流行っていて、平面に描いた絵や文字がキュッと小さく縮んで少し立体的になるのが面白くて、ともだちとキーホルダーを作ったりしていたのですが、最近また、紙に描くのとはちがった半透明の質感が得られるのが楽しくてときどき作っています。
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オーブンの温度によってはぐにゃりと曲がってしまったり、小さな気泡がたくさん入ってしまったり。。。
 
 
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パラフィン紙を胡桃の渋で染めて封筒を作り、プラバンの切手をつけました。

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この封筒にメッセージを入れて、、、郵便ポストに入れたことはありません。直接手渡しです。。。メッセージも透明のインクで書いてあぶり出しにすればよかったかな。
 
 
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ボタンを作りました。普通のボタンではなくて1から8までお話になっています。だからオハナシボタン。

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オーブンで焼いたあと、日に透かして見る。
 
 
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上はオーブンで焼く前のプラバンです。描いた絵に少々の粗があってもオーブンで焼くと縮まってあまりわからなくなります。
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上のプラバンを焼いて出来上がったシリトリボタンです。シリトリ、ではじまり、リモウコ(逆さまに読んでください)、コブタ、タヌキ、キツネ、ネコ、コイ、イノシシ、でまた最初のシリトリ、に戻ります。
 
 
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白黒の不透明バージョンも作ってみました。やっぱり透明なほうがいいなぁ。。。

きた えまこ

きた えまこ

絵本を描いたり、落書きしたり、工作したりしています。ひょんなことから人生二度目のパリ暮らし中。

Reviewed by
松渕さいこ

半透明にはえまこさんの言うように、不思議な魅力があると思う。

私が半透明で思い浮かべるのは
お風呂のなかの湯けむり、朧月夜、スウェーデンの旅で観た朝霧に包まれる湖畔の森。
えまこさんと同じように雨の日の室内から見る窓も思い出される。

世界が半透明に見えるとき、まわりの音はすこし静まり返ったように感じて
色彩も一段階トーンを落としたように落ち着いて見えるのに、
なぜか生気の増している気配を色濃く感じたりする。

それらを眺めるときの気持ちは、一様に捉えどころがない。
自分と半透明の世界との間には明確な線引きがされている気がして、少し遠い場所に感じる。
その距離感こそ半透明を覗き込んでいるときの心地よさなのかもしれない。

プラバンの半透明さには私もこどもの時にハマって、よく作った。
えまこさんのプラバンは本当に愛らしくて、ボタンのシリーズなんか
その物語付きのプラバン製ボタンをリネンのブラウスに着けたらどんなに可愛いかしら、とにっこり。

途端に羨ましい気持ちになった。
私が最近プラバンをやってみようと思い立った時、すっかりプラバンの基本ルールを忘れてしまっていて
色付けにマニキュアを使ったら、オーブンで爆発させるという大失敗をしてしまったのだ。
笑い話としてはなかなかだったけれど、本当はえまこさんみたいに作りたかったのだ。

もう一回、やり直してみようかな、ねぇ、えまこさん。
飽きるのにも、諦めるのにも、私はすこし早いみたい。

オーブンにいれる前にはあんなに大きくて、たしかに自分で描いたものなのに
オーブンにいれて手を離れた瞬間、あんなに小さく存在感を放つプラバンは
その仕組みを知っていてもなお、魔法で作り上げられているに違いないと思ってしまう。何度でも。
オーブンに住んでいる妖精が、えいっ!と魔法をかけてきゅっ!とプラバンが縮むのだ。

そのプラバンでできた切手を貼ったお手紙は、えまこさんからのINVITATIONなのだろう。
夢中で心愉しさを探求するえまこさんからのお裾わけ。
私はそれを確かに受け取ったと、思っている。

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