8月が終わる。
子どもの頃の夏休みの記憶があるからか、8月の終わりはどうしたって夏の終わりを感じる。
この夏も、昨年の夏と同じく、新型コロナウイルスの感染防止のため、マスクを外して行動することはできなかったし、昨年の夏よりも感染者の数が増えている。今年の夏も「来年の夏は今よりも良くなっているといいね」と言う機会が多かった。
自分の2021年の夏を振り返って、印象的だったことといえば、今年も「南田中図書館1日ラジオ放送局」を無事に開催できたことだ。練馬放送でのレギュラー番組「Voice of Heart」の公開収録をお届けし、マイクの前でラジオDJになった気分で、曲紹介にチャレンジしていただいたり、参加者にラジオの楽しさを伝えるこのイベントは、私の夏には欠かせない恒例行事となっている。
有り難いことに、毎回、このイベントに参加していただいた人たちが帰る頃には、充実した時間を過ごせたことをおもいっきり表してくれるような笑顔で「楽しかったです!」と言っていただいているのだが、今年はその表情や感想を伝えてくれる弾んだ声を聞いていてふと思った。
今、「今日は楽しかった!」と心から実感できる日が、一年の中でどれだけあるのだろうと。
私にできることは、そう多くはない。
けれども、自分がこうしてイベントを企画したり、番組を作ったりすることで、
その人にとって「今日は楽しかった!」と思う一日へと繋がっていくのなら。
こんなにも困難や不安な日々が続き、終わりの見えない世界の中で、そんな瞬間を生み出すことができるのなら。
私は今、そのために、生きていきたい。
「武村さんの生への渇望が白黒写真に出ているように感じます。」
詩の朗読と音楽のコラボレーションライブ、『世界に魅せられた者たちのライブ』でご一緒している、写真家であり音楽家でもある安達ロベルトさんに、自分が撮った写真を見ていただいたときに言われた最初に一言が、自分でも驚くくらいに、「あぁそのとおりだ」と思った。
モノクロの写真を撮り続けてみようと思ったのは、2020年の10月ごろ。
自分の目の前にある世界が色を無くしているように見えてしまっていた。
けれども、その世界にある美しさを、少しずつ残してみたいと思ったことがきっかけで、毎日の生活の中での写真を撮るようになった。気づけばそんな写真たちが、この夏で100枚を超えた。
最初は建物などの動かないものに向けていたレンズは、気がつけば街の中で生きている人に目が向くようになっていた。自分自身なぜそういう変化になったのかは、わかっていない。
けれどもロベルトさんからの「生への渇望」という言葉が、その理由だったのかもしれない。
7月、8月と新型コロナウイルスの2回のワクチン接種を終えた。
ワクチンを打つと言う行動に出ている私もなんだか不思議だった。
あぁ私はまだ生きたいのだなと。
「終わらせてしまいたい」と思うようなことが多かった私だ。ここ数年は特に。
それが気づいたら「生きたい」の行動をするようになった。
写真を撮るようになって、街に生きる人に目がいくようになってから、
前よりも一層、街に存在する一人ひとりに、かけがえのないその人だけの人生を見出すようになった。
今この瞬間にすれ違うだけの人にも、そんな想像力がさらに広がるようになった。
生きている人間への関心が向くようになったのが、私の「生への渇望」なのかもしれない。
今回の曲紹介は、街を歩く時に、よく聴いている一曲。
メロディと世界観が好きなのだが、
無意識に「And we’ll stay alive」という歌詞に惹かれていたのかもしれない。
【ラジオDJ武村貴世子の曲紹介】(“♪イントロ0秒なので、曲送りで紹介)
お送りした曲は、ブリトニー・スピアーズのナンバーです。
39歳となった、彼女の去年の誕生日、2020年12月2日にデジタルでリリースされましたが、
この曲は2016年のアルバム『GLOLY』の時に制作されて、これまで未発表となっていました。
切ないメロディの中にも、未来へ進む光が星のように降り注ぐ、そんな一曲に仕上がっています。
Britney Spears「Swimming In The Stars」でした。