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融けていく組織

深夜図書室

僕は、どうやっても人生がまっすぐ進まなくて、いろいろあって、今は小さな会社を立ち上げたところ。

経営者としてのパブリックな発信ではなくて、ここでは、個人的な話をぽつぽつとしていこうと思っているよ。

今日は、最近考えている「融けていく組織」について、少しの時間聞いてもらえるとうれしいな。


組織ってなんなんだろうね。

ぼくは、メンタルヘルスを扱う会社をつくったんだけど、ふと困るのは、なんというか、組織と組織の間に引かれている線を意識するときだ。

線というのは、細胞を囲む細胞壁のようなイメージだね。

事業の計画を練っていると、やりたいことはたくさんあって、かつ自社でやったほうが収益は確保できる。

でも、そのためには、人や機能やナレッジを、全部自分たちで持たないといけない。例えば、「これがうちの競争優位です」とか言えたりするようにね。

そうして、できたら他社が参入できないように、一気に拡げられたら、なおいい。お金もたくさん集める必要があるね。

となると、複雑なリソースを確保して、複雑な組織を構築して、複雑なマネジメントをして、そして規模は大きいけど、利益率はひくい会社になるイメージを持ってしまう。関わるみんなが、とっても忙しくしていてね。

なんだか気が進まないんだ。

少なくとも、僕が経営できるイメージが沸かない。もう少しシンプルなやり方はないのだろうか。

そしてもうひとつ。

僕たちはメンタルヘルスの課題をもつ当事者が少しでもよくなるサービスを提供したいなと思っているんだけど、言ってしまえば、その人がどんなサービスを使うか(うちか、よそのサービスか)、あるいはお金をかけずによくなる方法を選ぶか、それは、どれでもいいと思うんだよね。

その人にとって信頼できるリソースがいくつもあることが大切で、自社のプロダクトを使ってもらわなくても、別に全然いいんじゃないって。

と考えたときに、僕やその他の組織が考えたほうがいいのは、「友と敵を区別すること」や「選ばれること」ではなくて、タイミングやチャネル・環境に応じて、それぞれが使いやすいようにゆるやかにつながりあうことだと思うんだ。

友と敵を区別せず、ゆるやかにつながりながら、そしてしっかりと収益をあげる方法って、どんな道があるのかな。


僕は学生の時、授業にでられなくなってしまってね。
なんでなのかわらないんだけど。
多くの時間を図書館で過ごしていたんだ。

ナボコフの「ヨーロッパ文学講義」、レッシグの「CODE」、ジェイン・ジェイコブズの「市場の倫理・統治の倫理」…

本をたくさん読もう、と思うタイミングは、だいたい人生の休憩時間だったり仕事の休職期間だったりするのでその季節自体にいい思い出は少ない。

でも、また走り出して、いろいろと思い悩むんだときに助けてくれるのは、そういう暗い時期に読んだ本たちだったりする。


この週末に、きちんと考える時間をとったんだ。

「友と敵を区別せず、ゆるやかにつながりながら、そしてしっかりと収益をあげる方法って、どんなのがあるのかな」という事を。

これまでに影響を受けた本の事を考えながら。
新しく買い込んだ本をペラペラ捲りながら。

そうしたら、「この方向に未来があるな」というアイデアが生まれたんだ。

それは「融けていく組織」ということだ。

未来像を仲間たちに伝えたら「よくやった」「それで行こう」と即座にGOがでた。

まだ会社として公表していないことだからここには詳しく書けないのだけど、この文章を読んでくれている少数の読者のみんなも、ちょっと考えてみてほしい。

そして、「融けていく組織って、もしかして、こういうことかな?」と僕にこっそり尋ねてほしい。

もし僕たちの考えと一緒だったら、にこりと笑って「それだよ!」「具体的にはね…」「すごいでしょう?」と楽しく盛り上がろう。

もしタイミングが合うようなら、一緒にこの愉快なプロジェクトを進めよう。

あなただったら、どうやって組織を融かす?

とうどうやすひろ

とうどうやすひろ

1981年生まれ。自身のうつ経験をもとにした会社「U2plus」を創業、その後株式会社LITALICOへ事業譲渡。株式会社CAMPFIREにて「GoodMorning」をつくる。2020年4月に株式会社かいじゅうカンパニーを創業。

仕事は上手ではないが、仕事を考えるのは好き。

Reviewed by
moto

とうどうさんの新連載、深夜図書館。

人が寝静まった静かな夜、図書館で、パラパラと本をめくる音と共に、静かに語られる言葉がある。

そんな、精神の鎮まりの中で聴く穏やかな音楽のように、しかし確固たる信念を感じるような、とうどうさんの新連載の幕開けです。

融けていく組織。何かの溶媒に溶けて均質に見えなくなってしまうわけではなく、融解して姿形を変えて流動性を得ながら、尚もその本質は変わらないようなもの。

自分も、組織ということをよく考えるにあたって、脳が指令を出す中央集権的な"人型"組織の限界の先に、神経が末端まで浸透していてどこで切っても自律的に稼働する"タコ型"組織の方が良いんじゃないとか、むしろ出入り自由で細胞壁が緩やかに融けているような組織の方が良いんじゃないのとか、色々思ってきたのだけれど、さて、とうどうさんが考えていることはどんなことなのだろう。

焦らずに、ゆっくりと、耳を傾けていきたい。だって、深夜の、それも図書館なのだから。静かな声で、じっくりお話しましょう。

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