日本のヤバい女の子
【6月のヤバい女の子/夏服とヤバい女の子】 ●山姫 春が更け、衣替えの季節です。 夜でもぬるぬると重い、湿気に満ちた空気が透明な息苦しさになって体を喜ばせる。腕の内側を風がすり抜けていくのがおもしろい。 毎朝袖丈やら上着やらに悩んでしまってあわや遅刻の日々です。先週の日曜、衣装箪笥の中身をすっかり入れ替えました。 誰からも恐れられる女の子も夏の装いを楽しみにしているでしょうか。彼女たちも青い開襟シ…
当番ノート 第27期
少し、だけど遥か昔のよう。 僕は子どものころ、 クラスのみんなと同じになりたいと毎日もがいていた。 小さな集団が、あの時の僕の全てで、 そこに居場所を作るためには、 波風を立てずみんなに合わせる方法が 一番だとそう思っていた。 赤面症で、人前で失敗を犯すことの方が恐ろしく、 周りからどう見られているかを自分でも嫌になるくらい 意識していて、今、思えば自分で勝手に作り上げた 脅迫じみた固定観念と向き…
長期滞在者
日々、同じ時間に起きて、同じ時間に家を出る。そんな生活が始まって、もうすぐで三週間になろうとしている。そうしたルーティンがある仕事は、実のところ数年ぶり。 先月の今頃は、今後の生活がどうなるのかまったくもって不確定だったから、毎日が不安で仕方がなかった。熊本の地震でかなりナイーブにもなっていたし、それにこの家はよく揺れる。首都高に近いし、地下には電車が走ってる。そんな、常に地面が揺れているような感…
当番ノート 第26期
その彼は1人ユニットだが、3人を表す名前を付けていた。僕はその彼をよく知らないので、それが本名だと思っていた。「大橋鳥夫」と。即座に友人から完全否定された。鳥夫は「大橋トリオ」だったのだ。元々は3人組だったのか?とか、最初から1人でなぜトリオという名前を付けたのか、そもそも由来は何なのか?とか、もちろん調べる気は起こらない。自分はこのまま彼の音楽を聞かずに死んでいくのだろうか。 相川七瀬の「恋心」…
当番ノート 第26期
どうやってここへ来て なぜここに居て どうやって生きていくんだろう からっぽで何もなくて何も見えない 人との繋がりや社会の中では 自分が居てはいけないような息苦しさと不安を感じ 正しく健やかな人をみては 自分の愚かさが露になる ニュースは世界の理不尽さや悪意や混乱を伝え それが自分の中に育とうとする 失う恐怖と悲しみは私を飲み込み怪物になって 自分を守るために 言葉をナイフに変えて振りかざす 静謐…
長期滞在者
この連載のタイトルは「暁」と「人類学」という、二つの名詞からできています。どちらも何かと何かの「あいだ」に生じます。夜と朝のあいだに暁が現れるように、フィールドと母国のあいだ、生活経験と学問的概念のあいだ、他者と自己のあいだに人類学が発生する。 「あいだ」にあり続けることは、時に淋しく辛いことでもあります。不眠症者が朝の到来に怯えるように、フィールドで経験を積んだ人類学者ほど母国への適応に怯みます…
ギャラリー・カラバコ
ここはとあるアパートの一角にある、小さなギャラリー「カラバコ」。 白い壁に空っぽの額縁が無造作にならび、その下には題字だけが添えられています。 タイトルだけを頼りに、二人の作家が別々に文と絵を寄せ、2つが合わさった時に初めて作品が完成するのです。 01 桟橋 02 物差し 作品が届く時は何より楽しい瞬間なのですが、待っている2ヶ月間は、なかなか待ち遠しいものがありますねぇ。遠距離恋愛、みたいな。 …
当番ノート 第26期
たからさがし。2回目の旅は熊本のお隣、大分だった。 なんで大分に行ったかというと、 山田崇さんに会うため。 ヤマダタカシさんって誰なのかというと、 わたしたちも会ったことはなかった。 たまたまネットで見つけた動画のなかで 山田さんは自分が取り組んでいる商店街活性化について プレゼンテーションをしていた。 そのアツい思いと面白さが気になって気になって仕方なくなって、 ”この人にもまちづくりについて話…
当番ノート 第26期
NHKで金曜の夜に放送されているドキュメント72時間という番組がある。 ある場所を72時間観察し続け、そこに出入りする人たちを取材し、人間ドラマを切り出す30分の番組。極寒の地、商店街の銭湯、バスターミナル、学生寮、駄菓子屋、ケバブ屋、薬局、登山口、コインロッカー、八百屋などどこでも撮る。学生時代に見た回がとても面白くそれ以降見ていたのだが、この番組の放送後に決まって連絡をとり合う友人がいた。「今…
当番ノート 第26期
けん玉について綴ってきた最終回としては遅すぎる感もあるのですが、けん玉の魅力について書いていきたいと思います。 けん玉ってしたら何かいいことあるの?まずはけん玉を触ってみましょう。けん玉触ってみたら、大きな皿にすら載らなくて悔しくなってちょっとの間やってしまいます。 そんなことを言っても、始めるきっかけ、モチベーションがないので、なかなか触ろうと思わないということでしょう。というわけで、けん玉の利…
当番ノート 第26期
※ビートたけしになったつもりでお読みください ①たて笛が異様に長い奴がいる では授業を始めます!なんて取り出したらあれ、なんつってね。蛇使いみたいなやつ持ってきちゃって。そいつも一生懸命周りに合わせて吹くんだけどやたら高い音しか出なくて、先生も「うーん」なんて頭抱えちゃって。どういうことだ!って問いただしたら「これ実はお父さんのお下がりなんです」って、よく聞いたらそいつの親父が東京コミックショーだ…
当番ノート 第26期
ときどき ことばの贈り物をいただくことがある 素朴なやさしいことばの花束にうれしくなって 私も同じように花束を拵えようとするけれど 数本の萎れかけた花のようなものになってしまってり くしゃくしゃのティッシュのようなものになってしまったりする 状況や関係性や性格などによって 意味が変わってしまうことが怖くて 適切な言葉というものに自信がなくて どう伝えればいいかと考えてるうちに 自分の言葉からどんど…