Mais ou Menos
今回の往復書簡は、ポルトガルから日本へポストカードを送ったため、住所部分を一部加工させていただいています。お手紙の画像に不自然な空白部分がありますが、その旨ご理解いただけましたら幸いです。 —– —- Pちゃん、 ポルトガル旅行も、もう後半戦。疲れがでてるころですね。 ポルトガル、どこへ行っても歴史を感じるし、ブラジルに与えた影響についても考えてしまいます。ある…
当番ノート 第48期
いよいよ12月20日に公開を控えたシリーズ最終作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』楽しみですね~。あれ?なに?『スター・ウォーズ』観たことないって?あらま~そんなわけで今回は『スター・ウォーズ』シリーズをわずか5分で解説……ではなくてなんで『スター・ウォーズ』ってこんな話題になんのよ?っていう話です。 ●『スター・ウォーズ』ってなんだ? スター・ウォーズって~のは~スカイウォーカー家の…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
冬がやってきた。人々が「師走」と口にするそばから残された時間が零れていって、今にも最後のひと雫が消えてしまうような気持ちがする。慌ただしさで街が活気づくと思い出される短編が、江國香織の『つめたいよるに』の巻頭に収録されている「デューク」だ。 同じく暮れ迫る12月、飼い犬デュークを亡くしたばかりの女性の前に突如現れた見知らぬ男の子との、短いデートのお話。通勤ラッシュの電車のなかで泣いていた女性に男の…
当番ノート 第48期
インドの朝は、特別だ。 私がはじめてインドを訪れたのは2008年の冬、大学3年生のときのことだった。デリー、アーグラー、バナーラスをまわる一週間のツアー。 多くの旅行者と同じように、「インド臭い」「神聖な」ヒンドゥーの聖地、学問の都でもあるバナーラスに魅了され、いや、きっと他の旅行者たちよりも少しばかり魅了されすぎて、バナーラスについて卒論を書いてしまったほどだ(1)。 バナーラスには二泊したんだ…
長期滞在者
絹江ちゃんが無事に旅立ち、れいちゃんが入居。さてどんな生活になるかなと思いきや、今月は体調不良者が続出。急に寒くなったものね。 去年はどんな生活をしていたっけ・・・と去年の家日記を見てみたところ、どうやらこたつ布団はもう出ていたみたい。今年はちょっと遅れ気味。純君がお財布を忘れたエピソードが書いてあったけれど、今月は純君、お財布忘れていません! 写真は昴君が11月10日に渋谷のWWWでライブをした…
当番ノート 第48期
突然ですが皆さん、なんか好きなもんありますか?答えはイエスかノーかだとしたら俺はこう答えます。 「イエス」と。 自信満々で答える、しかもかなり食い気味に。 だって好きなんだもん。 「洋楽ロックと映画」が。 みんなは洋楽ロックと映画好きかい?俺は大好きだ。 私ロックス、第1回目『ロッキー』について暑苦しく語る回でございました。2回目はこちら偏愛について多いに語ろうと思います。 むしろ第1回目でそれ語…
お直しカフェ
家が寒すぎてカフェに来た。寒さというのは一体どこから来るのかを検証しているような京町家の我が家。まず、家の正面、全面が開くように4枚のガラス戸で閉じられた開口部から冷気が無限に入ってきて寒い。家の北側、薄い壁の向こうは細い路地になっていて、ベッドでごろんとしてるとなんとなくそっち側から冷気が来るような気配を感じる。1階の仮設でダイニングのように使っている土間は、もう本当にすごくて、鍋を囲んでようが…
当番ノート 第48期
gurur brahmā gurur viṣṇur gurur devo maheśvaraḥ | gurur eva paraṃ brahma tasmai śrīgurave namaḥ || 師はブラフマー神であり、師はヴィシュヌ神であり、師はシヴァ神である。 師はまさに最高のブラフマン(宇宙の原理)である。かのような師に私は帰命する。 このたび、当番ノートを執筆するお話をいただき、はじめて…
当番ノート 第48期
こんにちは。ロックスです。いや誰だよお前って、ロックスって言います。 今日からアパートメントの新たな住人になりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 得意ジャンルは映画。映画ライターなんて仕事もしてまして映画についてとことん語る連載にしていこうかな、と思っています。 ってことで記念すべき最初に取り扱う作品はこれです。 『ロッキー』 映画ライターなんて仕事してて1番好きな映画が『ロッキー』…
当番ノート 第47期
大きく息を吸った。澄み切った空気。 大きく息を吐いた。白く曇った水蒸気。 僕は、このアパートメントを出る。 ガラガラとスーツケースを引くかのように、僕はここで書いた文章を引っ張って また新たな旅に繰り出して行く。 世界は沼だったとして、生きづらさは人間が抱えた砂袋のようなものだ。 袋の中に入った砂が重くて、抱えた人間は沈んでいく。 浮かべば簡単に呼吸が出来るのに、抱えた砂袋のせいで浮かび上がれない…
当番ノート 第47期
アパートメントにきてまだ2ヵ月なのに。 1人だけれど、そっと誰かがいてくれるようなこの場所が大好きになった。心地よくて、何でもできて、ここは少し天国に近いのかもしれないとまで思う。寒くなってきたので電気ヒーターで足元を温めている。赤いケトルでお湯を沸かす。いつも飲みすぎるコーヒーはお休みにして、私は砂糖多めのココアを飲もうと思う。 昨日の晩のこと。お風呂から上がって体を拭きながら、ふと、鏡に映った…
当番ノート 第47期
洋子は自分の薄情さに失望した。父方の祖母が死んで、悲んでいない自分に気づいてしまったからである。 「祖母が死んだ」という母からの留守電を聞いたのは、友人である美央との楽しい飲みがひと段落した頃だった。それより前の時間にもう1件、知らない番号からの留守電が入っていたのを、洋子は飲みに行く前に気づいていた。けれども、どうせカード会社からの勧誘とかでしょうと思って、すぐに聞かなかった。 「もしもし、…